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2020.11.05

スポーツ栄養士kannaさんに聞く!運動の効果を最大化する食事とタイミング

スポーツ栄養士kannaさんに聞く!運動の効果を最大化する食事とタイミング

健康やダイエットのためなど、なにかしらの目的を持って行われる運動。しかし間違った食事が原因で、その効果が半減しているかもしれないことをご存じでしょうか。今回は運動の効果を最大化する食事とタイミングについて、スポーツ栄養士のkannaさんに教えていただきました。

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運動前はエネルギーを注入!空腹は避けよう

運動前はエネルギーを注入!空腹は避けよう

私たちは食べたものをエネルギーに変えることで脳を働かせ、体を動かしています。運動時は普段よりたくさんのエネルギーを必要とするため、空腹の状態で運動を行うとエネルギーが行き届かず、集中力の低下や手足の震え、失神などの低血糖症状を引き起こすリスクがあります。安全に運動をするためにも、食事のタイミングに合わせた適切な食べ物を選ぶ習慣をつけましょう。

運動2~3時間前

  運動中に消化不良を起こさないためにも、しっかりとした食事はこの時間帯までに済ませておきます。例えば、朝11時から運動をする場合、朝8時までには朝食を済ませるように計画しましょう。ごはんと焼き魚、サラダ、果物とヨーグルトなど、五大栄養素(炭水化物〔糖質・食物繊維〕・たんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラル)をバランス良く摂取できるようなメニューが理想です。パンを食べる場合は、ロールパンや食パンなどシンプルなものを選びましょう。デニッシュなどの脂質の多い菓子パンは胃腸での滞留時間が長いため、運動時に下痢や吐き気を起こす原因となるため注意が必要です。

運動1~2時間前

この時間帯で鍵となる栄養素は「糖質」です。私たちの体はたんぱく質、脂質、糖質をエネルギー源として活用していますが、その中でも糖質は消化吸収されやすく、早い段階でエネルギーとして使うことができるからです。この時間帯は運動開始までにまだ少し余裕があるため、糖質の中でも比較的ゆっくり消化される食べ物を摂るようにしましょう。具体的には、おにぎり、うどん、あんパン、団子・大福などです。他にはさつま芋、玄米などもよいのですが、これらの食材は食物繊維が多くガスがたまりやすいため、運動中に下痢にならないよう注意が必要です。

運動30分前

この時間帯は、主に水分の補給と糖質の補給にとどめておきます。運動時に胃腸に食べ物が残っていると内臓への血流量が多くなるため、筋肉に十分な血液が行き届かない可能性があるためです。固形物は避けて、スポーツドリンクやゼリータイプの飲料を飲むようにしましょう。飲料に含まれる糖類(ブドウ糖)は、素早く吸収され、すぐにエネルギーとして活用することができるという点もポイントです。特に、筋力トレーニングなど強度の高い運動では、より多くの糖質が消費されるため、事前に補給しておくとパフォーマンスの向上が見込めます。

運動前は時間と相談しながらも、しっかりと栄養補給をしておくことが大切です。運動を開始する時間から逆算して、適切な食べ物を選ぶ習慣を身に付けていけるといいですね。

運動後は糖質、たんぱく質、ビタミンを速やかに補給!

運動後は糖質、たんぱく質、ビタミンを速やかに補給!

ここからは、運動後の栄養補給についてお話ししていきます。運動で消費された栄養素を速やかに補給することで、疲労回復を早めるなどの効果が期待できます。

<糖質>

運動後は、いかに早く糖質を補給できるかが重要なポイントです。早いタイミングで糖質を補給することで、筋肉の疲労回復を早めることができます。エネルギーを使い果たして疲れ切った筋肉に、栄養を届けるイメージですね。遅くとも30分以内には糖質補給ができるとベストです。量の目安は、体重1㎏あたり糖質1~1.2gといわれていて、例えば体重50㎏であれば50~60gの糖質。これは、コンビニおにぎり約1.5個分に相当します。

<たんぱく質・ビタミンC>

筋肉の材料となるたんぱく質も、糖質と同じようにできるだけ早く補給するといいです。ダイエット目的で食事制限をしながら運動している人の中には、エネルギーやたんぱく質が不足して筋肉が落ち、それに伴い基礎代謝が落ちることで消費エネルギーが減り、逆に太りやすくなるという悪循環を起こす人がいます。筋肉量を維持しながら余分な体脂肪を落とすためにも、運動後にたんぱく質の補給を心がけましょう。
たんぱく質源となる肉や卵は持ち歩きが難しいため、プロテインなどのサプリメントを活用するのも一つの方法です。また、ビタミンCはたんぱく質の吸収率を向上させるため、100%のオレンジジュースや果物を一緒に摂るのも効果的です。

<ビタミンB群>

糖質や脂質をエネルギーに変える際には、ビタミンB群の働きが必要です。運動中はたくさんのエネルギーを消費するため、その分ビタミンB群も多く消費されています。ビタミンB1は豚肉や豆腐などの大豆製品に、ビタミンB2は魚や卵、納豆に多く含まれています。持ち歩きが難しい食材が多いので、栄養補助食品などの活用がおすすめです。豚肉や豆腐、納豆は普段の食事に意識して取り入れられるといいですね。

各栄養素の特徴と、おすすめの食材についてご紹介しました。運動後の栄養補給をしっかり行うことで、運動の効果を最大化させていきましょう。

しっかりとした食事を取る際はココに注意!

理想の体に近づくためには、運動前後の栄養補給に加えて、しっかりとした食事が欠かせません。ここからは、目指す体型や生活スタイルに合わせた食事のポイントをご紹介していきます。

スポーツ栄養士kannaさんに聞く!運動の効果を最大化する食事とタイミング

体重を落としたい場合

せっかく運動をしても、極端に食事量を減らしてしまうと筋肉がつかず、逆に代謝が悪くなってしまうこともあります。食事量を減らすのではなく、脂質を控えてカロリーを減らすという風に考えていきましょう。揚げ物や炒め物は脂質が多く高カロリーになりやすいため、蒸す、煮る、焼くなどの調理法を選ぶのがおすすめです。例えば、鶏もも肉であれば唐揚げ(3個100g)を焼き鳥(タレ2本100g)に代えるだけで93キロカロリーも削減できます。

引き締まった体を目指す場合

筋肉をつけて引き締まった体をつくるためには、糖質、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルをバランスよく摂ることが重要です。主食(糖質)・主菜 (たんぱく質、脂質)・副菜 (ビタミン、ミネラル)を毎食揃えるように心がけましょう。
特に、たんぱく質は一度にたくさんの量を摂るよりも、3食に分割して摂るほうが体内で吸収されやすく、効率的に筋肉の合成に役立てることができます。忙しい中でも朝食から、卵や納豆などを取り入れる習慣をつけましょう。おすすめは、調理せずにパパッと食べられて約10gのたんぱく質が摂れるギリシャヨーグルト(納豆1パックは約8g含有)です!

夕食が遅くなる場合

ジムなどで運動した後、夕食が遅くなってしまうこともありますよね。遅い時間の食事は体脂肪として蓄積されやすいため、ちょっとした工夫をしてみましょう。例えば、摂取カロリーを減らすために鶏ささみやマグロの赤身など、脂質が少ない食材を選ぶのもポイントです。もしくは、主食となるおにぎり等は運動前に食べて、運動後に主菜・副菜を食べるように分割するのも一つの方法です。その場合も、脂っこくない、さっぱりとしたメニューにすると体脂肪の蓄積や胃腸への負担を抑えられます。

目的に合わせた食事のポイントについてお伝えしました。これらを参考に、ぜひ一度ご自身の食事を振り返り、取り入れやすいところから始めてみてください。

汗をかいた後のアルコールが最高!これっていいの?!

汗をかいた後のアルコールが最高!これっていいの?!

アルコールには血行を促進させたり、精神的な緊張をほぐすメリットがあります。そして何より、頑張った後にキンキンに冷えたビールをプシュッと開けて、ごくごくと喉ごしの良さを感じるのは最高ですよね。しかし、運動後のアルコール摂取には注意しなければなりません。

アルコールは、それ自体に脱水を促進させる作用があります。たくさん運動をして汗をかいた後にアルコールを摂取すると、さらに脱水症状に陥りやすくなり、失神、めまい、震えなどを起こす可能性があります。アルコールは水分補給にはならないため、運動直後の摂取は控えましょう。また、サウナや温泉に入る前のアルコール摂取は大変危険です。アルコールで血行が促進された上に、気温の高い空間に入ることで血管が拡張し、血圧が大幅に変動する危険性があります。

結論として、運動後のアルコール摂取はおすすめできません。どうしてもお酒を飲んでしまう時は、水を一緒に飲み、脱水症状がでていないか注意してください。

運動することに加えて、上手に食事を取れば、理想の自分に近づくことができます。目的は何であれ、運動も食事も継続することが大切です。健康的で、自信を持てる自分になるためにも、今日からできることを始めていきましょう。

【執筆者プロフィール】
kanna(カンナ)さん
管理栄養士、料理家。働く世代のダイエット指導や、サッカーチーム・フットサルチームの食事サポートに携わる。個人の食事指導やセミナー等を通じて、これまでに500名以上の食事サポートを経験。自身も7㎏の減量に成功した経験をもとに、がっつり食べられるヘルシーレシピを得意とし、料理家としても活動している。Instagramでは「7㎏瘦せたダイエットレシピ」を発信している。
 

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