印象よく見せるために、何か努力していることはありますか?身だしなみに気遣って、だらしない格好にならないようにしたり、立ち振る舞いに細心の注意を払って配慮のない人と思われないようにしたり……。でも印象を良くするには、「見える部分を配慮するだけではなく話し方も重要な要素」と話すのは、和田裕美さん。
「和田裕美の人に好かれる話し方」など著作を沢山持たれている和田さんは、外資系教育会社の営業でお客様の98%から契約を獲得。世界142カ国中、第2位の成績を収め、20代で女性初の支社長となった輝かしいキャリアを持つ女性です。そんな和田さんが実践している、話し方の基礎や会話がはずむコツ、話に説得力を加える方法など、人に好かれる話し方の極意を紹介します!
和田さんいわく「会話を始めるとき、まずそこに漂う空気が大切」とのこと。会話自体のスキルに目が行きがちですが、話すという行為の前に「この人と話したい」と思ってもらえるかどうかが重要なのです。
「人に好かれる話し方の最初のステップは、明るくて雰囲気の良い空気づくりをすることです。楽しいと思っている人には明るく穏やかな空気が流れ、イライラしている人にはピリッと張り詰めた空気が漂うもの。この空気が、言葉を交わす前に人の気持ちにも影響します。明るい空気は良い印象を、ピリッとした空気は嫌な印象を与えてしまうんです」(和田さん)
──明るくて良い空気をつくるには、どうしたらいいのでしょう?
「楽しい、幸せ、と心から思うことです。ワクワクしている人の空気は、相手もワクワクさせるんです。でも、常にハッピーではいられないのも事実。そんなときのために、物事をプラスの面で見る訓練が必要です。
例えば、水が半分入っているコップを見て、『半分も入っている』と捉えるのと、『半分しか入っていない』と捉えるのとでは全く違いますよね。このように、プラスの方向で物事を捉えることを、私は『陽転思考』と呼んでいます。イライラしたりつらかったりするときでも平常心でいるためには、このプラスの考え方が必要なのです」(和田さん)
明るく良い空気づくりができたら、次は「聞き上手になることが大切」と和田さんは話します。
「聞き上手になるには、笑顔をまじえて、相手の話に耳を貸すことが大切です。でも、笑顔だけではダメ。TPOに合わせて共感しなければいけません。表情に出したり、ジェスチャーを加えたりして、『共感しています』ということを、相手にいかに伝えるかが重要です。そしてときには、相手から聞かれたことに対して質問返しをするのも効果的。興味を持っているということが伝わりますよ」(和田さん)
──しかし、中には話が脱線する人やよく喋る人など、聞くのに疲れてしまう人もいます。そういう場合はどうすれば……?
「話が脱線する人には、リズムを変えていく必要があります。脱線していることに気づいたら、『ところで』、『そういえば』、『思い出したのですが』といった言葉で、話に変化を加えること。思い出したかのように急に相槌をいれて、リズムを変えていくとよいでしょう。
よく喋る人には、ロジカルに相手の話を聞いてみてください。順番に最初からメモをとっておいて、後で要点だけまとめて話していくのです。これは難しいと思うので、話の関連性を見出すトレーニングをしましょう。テレビでもいいので、人の話を聞いてメモを取る習慣をつくり、一度メモをとったら、箇条書きで要点をまとめるのです。このトレーニングで、できるようになりますよ」(和田さん)
和田さんいわく、「世の中には、会話のキャッチボールが苦手という人が結構いる」とのこと。会話を続けることにもコツがあるようです。
「会話が弾まない人、すぐに途切れてしまう人は、言葉をチェーン上に繋げていくということを心がけて。会話には話に沿った順番も必要なのです。
例えば、スキーに行ったという話になったとします。『日曜日にスキーに行った』と言われたら、もっと情報を得るために『どちらに行かれたのですか?』と場所の質問を返しましょう。すると『苗場です』という答えが返ってくるはず。次は交通手段やかかった時間などの質問をして、『スキーに行った』という言葉から、場所→手段→かかった時間……と、どんどんチェーンのごとくつなげていくのです。そして、最後は相手に同意して『それはいいですね。ぜひ今度ご一緒させてください』と共感しましょう。最初から共感してしまうと、『調子いいやつだな』と思われるか、盛り上がりもないまま話が終わってしまいますので気をつけて」(和田さん)
また、ボキャブラリーの多さも会話を盛り上げる方法のひとつ。
「ボキャブラリーを増やすには、まず文字を読むこと。ボキャブラリーはあるけど、使い方が下手な人や表現が下手な人は、小説やエッセイを読むことをおすすめします」(和田さん)
人に好かれる話し方には、声も大きく関係してくるとのこと。相手をイライラさせたり、つまらないと思わせてしまう人は、声で損をしていることも多いようです。
「まずは、ボイスレコーダーでも、携帯電話などの留守番電話の録音メッセージでもいいので、自分の声を録音して聞いてみてください。自分の話し方はどんな声で、どんなリズムで、聞き取りやすいのかどうか。自分で感じて知ることが大切です」(和田さん)
自分の声を聞いてみて、声が高いとか、ボソボソ話しているとか、早口だなといった、聞き取りにくい特徴があったら、意識的に改善を。
「声が高めなのは可愛いという印象がある一方で、説得力にかけてしまうという傾向があります。声が高めの人は、ものまねトレーニングがおすすめです。声は訓練次第でいろいろな音域をだせるようになるので、低めの声質の人のものまねを続けてみましょう。早口の人は短いセンテンスで区切って話すようにしましょう。自分の頭の中にメトロノームを置いて、一定のリズムをつくって話すのもいいですね」(和田さん)
話をするなら説得力を持たせたいもの。和田さんによると、説得力のある話し方には2つの条件があるようです。
「相手を説得させるにはロジカルに話さないと伝わりません。『事実は◯◯で、中身は◯◯で、問題は◯◯で、◯◯をすれば◯◯のようになるので解決できます』のような論理的な話し方です。ただし、専門用語を使って知識をひけらかすような話し方はNGです。
また、2つ目の『体を使って表現する』というのはいわゆるジェスチャーです。表情やジェスチャーなどの視覚的効果を使ってリアリティを出しましょう。話し方に抑揚もつくので、感情も伝わりやすくなります」(和田さん)
人から好かれる話し方は、まずは「話しやすい空気づくり」、そして「聞くこと」という土台が大切です。そのうえで、会話が途切れないように意識したり、自分の声のトーンとリズムをチェックなどといったトレーニングをすると、話し方は上達していきます。言葉は、人を幸せにも、不幸にします。周りの人も自分自身も幸せになるような話し方で、仕事も人間関係も上手に築いていきましょう。
和田さんが行っている講座以外でも、ユーキャンの「話し方講座」や「コミュニケーション・スキルアップ講座」で、さらなる話し方のスキルアップをめざせます。
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