読書の効果の1つに、脳を活性化させる効果が挙げられます。
英国・オックスフォード大学のジョン・シュタイン名誉教授は「読書は脳全体を使用する活動であるため、脳のトレーニングになる」と述べています。
本に書かれている物語をイメージすることによって、大脳が活性化されるのです。
読書とは、単純に物語を追うだけの行為ではありません。
読書中の脳をMRIで分析する実験では、本の中に「風景描写」や「音の表現」「におい」「味」などが登場すると、それに応じて脳の「視覚」「聴覚」「嗅覚」「味覚」を司る部分が活性化し、新しい神経回路が誕生するということが分かりました。
つまり、本の中の情報を想像することによって、脳が本当にそれを体験したかのように反応するのです!
テレビやゲームなど、その他の媒体ではこのような効果を得ることはできないともいわれています。読書ならではの優れた効果といえますよね。
読書は、もの忘れを抑える効果も期待できるといわれています。
米国・カリフォルニア大学バークレイ校のスーザン・ランダウ博士は「日常的に読書や文章を書くなどの知的活動を行っている人ほど、晩年になってアルツハイマー病にかかりにくい」と述べています。
同氏の研究によって、幼少期から中年期にかけて読書などの知的活動を続けてきた高齢者の脳には、アルツハイマー病の原因となる「ベータアミロイド」の蓄積量が少ないことが判明しました。読書によって脳を刺激することが、ベータアミロイドの形成を抑制することにつながっているのかもしれません。
歳をとってからの読書にも効果があるようですが、若いころから日常的に行う方がより効果的だといわれています。「まだまだ先の話だし」と思わずに、早い内から読書の習慣を身に付けてはいかがでしょうか。
読書にはストレス解消の効果があるという調査結果も出ています。英国・サセックス大学のデイビット・ルイス博士による調査です。
それを証明したのがある1つの実験。はじめに、複数の被験者にさまざまなテストや運動をさせて心身のストレスを高めます。その後、「読書」「音楽鑑賞」「1杯のコーヒー・紅茶」「散歩」「TVゲーム」といった、昔からストレス解消に効果的とされてきた方法をそれぞれ試してもらい、どの方法が最もストレス解消に効果的だったのかを検証しました。
実験の結果、読書はストレスを68%も減少させることが判明!他の方法と比べて最もストレス解消に効果的だと実証されたのです。さらに、静かな場所で行う読書は、たった6分間で60%ものストレスが軽減され、リラックスできることが分かりました。
ルイス博士は「脳内で本のストーリーを理解し、登場人物に共感することが大切」と述べています。つまり、読書でストレスを解消して心を落ち着かせるためには、「どのような内容の本を読むのか」ではなく、いかに「本の世界に没頭できるか」が重要!ということ。
ミステリーや恋愛小説など、本のジャンルはさまざま。まずは自分が興味を持ちやすいジャンルの本から読み始めてみると良いかもしれませんね。
読書のストレス解消&リラックス効果を得るポイントは、夢中になって読める本を選ぶことです。
読んでみてつまらない本だった場合は、無理して最後まで読む必要はありません。読むのをやめて、次の本を読み始めてもOK。忙しい毎日を送っている人も、通勤時間や半身浴をしている時間など、10分くらいのちょっとした隙間時間を活用して読書をしてみませんか?