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2021.04.28

50歳から飛びこんだ介護の世界!ゆるゆらりさんに聞く、介護職の醍醐味

50歳から飛びこんだ介護の世界!ゆるゆらりさんに聞く、介護職の醍醐味

介護デイサービスのヘルパーとして活動する様子を紹介したコミックエッセイが人気の介護福祉士、ゆるゆらりさん。50歳、無資格の状況から始めた「ヘルパー」という仕事を、今では天職に感じているというゆるゆらりさんに、介護職の醍醐味を伺いました。

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50代専業主婦がヘルパーに!?おかんの一大決心とは

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結婚後3年目に二世帯住宅を建て、義母、そして夫の妹である義妹との同居が始まったゆるゆらりさん。同居に嫁姑問題はつきものですが、毎日のご飯作りはもちろん、義母による小言や生活への干渉も当たり前。ゆるゆらりさんは、同居を続けつつも、いつか好きなことに没頭できる自分の城(ワンルームマンション)を持つことを夢見て、介護デイサービスの仕事を始めたと言います。特技も資格もなかったアラフィフ専業主婦に「独立」の転機が訪れたのは、二世帯同居20年目のこと……。

「同居も限界でノイローゼ気味になっていたので、とにかく一人になれる場所、時間がほしくて、ワンルームマンションを借りるお金を貯めるために仕事を探しました。結婚前はデザインの仕事をしていたのでイラストで食べていきたいという思いがありましたが、専業主婦で実績もなく、絵の仕事を見つけるのは難しい。そんなとき、夫が『介護なら人手不足だし、すぐに働けるのでは?』とアドバイスしてくれて。それをきっかけにデイサービスの会社で働くことになりました。始めた当初、『どうせすぐやめるだろう』と言っていた息子が、しばらくすると『3ヵ月続いたら、ずっと続けるだろうなって思ってたよ。なかなか始めないけど、一度始めたらできる人だよね』と言ってくれたんです。夫や子どもたちは私の独立に協力的で、私がいないときに息子や娘が姑のご飯を作ってくれたり、病院に連れて行ってくれたり。面倒を見てくれているので、本当に助かっています」(ゆるゆらりさん)

仕事を始めた直後、義母が何気なく言い放った心ない言葉に思わず激怒した、ゆるゆらりさん。義母に「私のことが嫌いなのか?」と聞かれ、「だいっきらいですよ!」と宣戦布告したそう。この大げんかをきっかけに、ついにワンルームマンションを借りることになりました。自分の城で一人になれる時間を得たことで、介護の仕事にも本腰を入れられるようになったと言います。

自分の向き合い方次第で、介護への意識が変わる

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50歳、無資格からのスタートとなった介護デイサービスでのヘルパーの仕事。車椅子の動かし方さえわからず、できることも限られていたため、まずは仕事をしながら介護職員初任者研修の勉強を始めることにしたそうです。週2回ほど講義を受けて、1ヵ月ほどで無事に取得。さらに3年ほどして、介護福祉士の受験資格を満たすとすぐに実務者研修を受け、資格を取得されました。さぞかし苦労も多かっただろうと想像しますが、「介護は奥が深く、非常にやりがいがある」仕事だと話すゆるゆらりさん。現場にいるからこその気づきや、この仕事に就いてよかったと感じるエピソードを伺いました。

「この仕事に就く前と後で、いちばん大きく変わったのが認知症に対する考え方です。認知症の方って、『ありがとうと言いたい』『人の役に立ちたい』という気持ちがあります。自分のリハビリパンツも上げられない利用者さんが、ゴミ箱に高く積まれた紙タオルを見て、次の人のためにぐっとゴミを押し込んで入れやすくしたり、自分が誰かもわからなくなってしまった人が、一生懸命毛布をみんなに配ろうとしていたこともありました」(ゆるゆらりさん)

50歳から飛びこんだ介護の世界!ゆるゆらりさんに聞く、介護職の醍醐味

そういった裏側にある気持ちを理解していないと、認知症の方は「訳のわからないことをする面倒な人」と思われがちですが、きちんと話に耳を傾けて共感し、寄り添っていると、表情がイキイキして信頼してくれるようになると言います。

「認知症の方を相手にする介護は、すごく人間性を問われる仕事です。例えば、誰も見ていないところで認知症の方のトイレのお世話をするときに、どう介護をするのか。そこで利用者さんに喜んでもらえるヘルパーさんは一流だと思います。でも、そのすごさは他の誰にもわかってもらえない。人の見ていないところで『あなたでよかった』と言ってもらえる介護を追求できる方は、この仕事に向いていると思います」(ゆるゆらりさん)

また、ゆるゆらりさんは特技でもあるイラストを生かしたレクリエーションで、介護現場で人気者になっていったそうです。どんな活動をしていたのでしょうか?

「デイサービスでは、ゲームや制作活動、体操といったレクリエーションの時間があるのですが、私は大好きなイラストを活用していました。利用者さんが知っていそうな昔の映画のワンシーンや、歌の情景をイラストにすると皆さんとっても喜んでくれて、目をキラキラ輝かせてくれるんです。以前、昔の道具のイラストを描いて『この道具の使い方を教えてください』と質問したら、車椅子の方がすくっと立ち上がって、前に出てきて使い方を教えてくださったということもありました。利用者さんに喜んでもらえたり、『ありがとう』と言ってもらえるのはすごく嬉しいことですよね。これまでの人生でそういう経験はあまりないことなので、私の方が利用者さんに助けてもらっているなと感じます」(ゆるゆらりさん)

50歳から飛びこんだ介護の世界!ゆるゆらりさんに聞く、介護職の醍醐味

最近は、ブログを通じて「介護の仕事をしてみたい」と相談を受けることもあるとか。そんなとき、ゆるゆらりさんはどのようにアドバイスしているのでしょうか?

「一つの施設だけで判断せずに、自分に合う施設が見つかるまでいくつか試してほしいですね。最近では、レクリエーションやアートに力を入れているところ、家事のスキルが生かせるところ、短時間のパートタイムや副業で働けるところなど、などさまざまな介護施設があります。自分の得意なことを生かせる施設を見つけることもできると思います」(ゆるゆらりさん)

介護職は、何歳になってからでも夢の持てる仕事

介護職は、何歳になってからでも夢の持てる仕事

現在はデイサービスから訪問介護へと活躍の場を移した、ゆるゆらりさん。ブログやSNSで現場のリアルを紹介しつつも、「介護は40歳、50歳からでも夢を持てる仕事」と介護の魅力を語ります。なにより介護職は同居のストレスにより、いつも暗い顔をしていたゆるゆらりさんの人生を大きく変えました。仕事をすることで義母のことも客観的に見られるようになり、義母とのエピソードが漫画のネタになることを考えると「この人が姑でよかった」と思えるまでになったと笑います。そして「忙しそうだけど、イキイキしていて、今のお母さんの方が断然いいよね」という家族の言葉は、お金や評価には代えられない、とっておきのご褒美だと、ゆるゆらりさんは話します。50歳で一念発起したゆるゆらりさんのように、何歳からでも自分らしい人生を切りひらくことはできるもの。仕事を始めたことがきっかけとなり、人生の喜びを見出したゆるゆらりさんから、勇気を持って一歩を踏み出す大切さを教わりました。

プロフィール
ゆるゆらりさん
ゆるゆらりさん
大阪府在住。介護士。訪問介護ヘルパー。資格なし、特技なし、アラフィフの専業主婦から、独り立ちを目論んでヘルパーになったエピソードを漫画とともにブログ「ヘルパーおかん。アラフィフ専業主婦からのハローワーク。」に掲載し、話題に。著書にコミックエッセイ『アラフィフでヘルパーはじめました』(KADOKAWA)がある。
 

笑いあり涙ありの介護!人気イラストレーターから学ぶ向き合い方のコツ

 

誰もがいつかは直面するかもしれない、家族の介護という重く深いテーマを、コミックエッセイとしてほのぼのと発信しているイラストレーターのなとみみわさん。嫁として、認知症の義母「ばあさん」の介護に長年向き合……

 
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