2019.08.29

他人事ではない介護。最低限、備えておきたい知識や心構えとは?

他人事ではない介護。最低限、備えておきたい知識や心構えとは?

介護の問題は、つい考えるのを先延ばしにしがちですが、決して他人事ではなく、ある日突然直面するもの。介護経験者に聞いてみると、「早めに準備しておけばよかった」と感じることはたくさんあるようです。そこで今回は、「カリスマ介護アドバイザー」と呼ばれる横井孝治さんに、20~30代からしておくべき、介護の準備について伺いました。

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準備が早ければ早いほど、介護の負担は軽くなる

準備が早ければ早いほど、介護の負担は軽くなる

「介護にまったく関わらずに、一生を終えられる人はほとんどいません」と言うのは、ご自身もご両親の介護経験がある横井孝治さん。何の準備もなく始まった介護に悩み、追い詰められ、無駄なお金も使い……今振り返ると後悔することが山ほどあるそうです。

「自分の親はまだ大丈夫と、見て見ぬふりをしたい方が大半でしょう。でも、きちんと備えておけば、いざという時に慌てずに済みます。準備が早ければ早いほど、介護に立ち向かうための選択肢が多く、問題が軽いうちに対処できるはず。結果、介護する人をラクにしてくれるのです」(横井孝治さん)

介護には、たくさんの時間とお金がかかります。自分の負担をできるだけ軽くして賢く介護するために、20~30代の方でも、他人事とは思わずに準備を始めることが大切です。

アンケート調査で見えてくる、介護で「事前に準備しておけばよかったこと」

アンケート調査で見えてくる、介護で「事前に準備しておけばよかったこと」

それでは、実際に介護を経験した方は、介護前にどんなことをやっておけばよかった、何が足りなかったと感じているのでしょうか。アンケート調査の結果を元に、横井さんにポイントを解説していただきましょう。

第1位:「心構えや覚悟」が足りなかった

「まず前提として、うちの親は大丈夫、という思い込みを捨ててください。いずれ来る現実なのだと、しっかりと向き合う必要があります。心構えのないまま介護が始まってしまうと、追い込まれて『誰にも相談できない』『自分が頑張るしかない』と無理をしがち。一人で抱え込んでしまって、介護離職になるケースも珍しくありません」(横井孝治さん)

第2位:「介護サービスや介護制度」の理解が足りなかった

「介護サービスの使い方をシミュレーションできるWebサイトもあります。それを知っているだけでも、介護に対する漠然とした不安は解消されるのではないでしょうか。介護制度は3年に1度の割合で見直されるので、現時点で詳細まで理解しておく必要はありません」(横井孝治さん)

第3位:「介護に対する情報収集」が足りなかった

「まずは、介護初期の心構えや手続きなどを体系的に解説しているWebサイトで、介護というものの概要をざっと掴んでおきましょう。次に、親の居住地の『地域包括支援センター』に足を運ぶことをおすすめします。その地域で利用できる各種制度やサービスのパンフレットを入手して、目を通しておくといいですね」(横井孝治さん)

介護では「親との会話」が大切。「認知症」や「お金の問題」に備えよう

介護では「親との会話」が大切。「認知症」や「お金の問題」に備えよう

介護の準備として今日から始めてほしいのは、「親との会話」だと言う横井さん。

「特に、親と離れて暮らしている方は、1週間に1回、1分程度の電話を習慣にしてみてください。最初は、世間話など他愛のない会話で十分です」(横井孝治さん)

親との会話を増やすことには、どんな意味や効果があるのでしょうか。

要介護の原因になる「認知症」は、早期発見すれば改善が期待できる

「親との会話を増やすことで、健康状態や生活の状況を把握しやすくなります。今、要介護の原因の1位になっているのは『認知症』です。早期で発見できれば、治療による改善が期待できるので、様子がおかしければすぐに病院へ。時間の経過とともに症状は悪化し、すると介護の負担は増えてしまいます」(横井孝治さん)

タブー視される「お金の問題」をできるだけスムーズに

「介護のサービスや制度は、ほとんどが有料です。実際にいくらかけられるかは、親の預貯金や年金などの資産を知る必要があるのですが、すんなり聞き出すのは難しいでしょう。1分間の電話を、半年から1年続けてみて、ゆっくり信頼関係を再構築してください。タイミングを見て、直接会って話し合うのがいいと思います」(横井孝治さん)

認知症などを患うと、満足に会話が成立しなくなることもあります。元気なうちに、いろいろな会話をして、介護方法の希望なども聞いておきましょう。

また親だけでなく、一緒に支える配偶者や兄弟姉妹とのコミュニケーションも大切なのだとか。いざという時の役割分担や、介護に無理なく出せる金額などを話し合っておくことも、重要な備えになります。

いざという時、無理や苦労の少ない介護をするには

いざという時、無理や苦労の少ない介護をするには

20~30代の若い方であっても、介護を他人事と思わずに早めに準備をしておけば、自分で自分を助けることになると、横井さんは言います。高齢者一人に対する介護期間が平均で14~15年にも及ぶ昨今(70歳の人の平均寿命をもとに算出※)、長期間、介護と上手に戦っていく方法を考えなければなりません。

横井さんは、ご自身が苦労した経験から、長期間の介護に立ち向かうためには「無理をしない・無理をさせない」が一番だと強く思ったそうです。では、無理や苦労を少なくするためには、どんな準備をすればいいのでしょうか。

介護する側の心身の健康を守る

「すべて一人でやろうとすると、疲れ果てて心身の健康を損ないます。兄弟姉妹がいれば、準備段階から巻き込んで、プロのサポートもどんどん利用してください。健康だけでなく、社会生活や趣味など、自分が守りたいものを捨てないことも介護のコツです」(横井孝治さん)

ショートステイなどの通所型のサービスを使い、日常の介護から離れてひとときの休息をとることを「レスパイト」と呼ぶそうです。長期戦に備えて定期的にリフレッシュし、心身の健康を保つ方法を知っておきましょう。

時には、親の意思を尊重しない覚悟を

親が望むことを何でも叶えてあげたくなるのが人情ですが、時には、親の意思とは合わない決断をする覚悟も大事だそうです。

「例えば、『自宅で安心・安全に介護ができなければ、施設への入所も考える』『金銭面でどうしても厳しい場合は、違う介護方法を選ぶ』など……介護する側が無理や我慢を強いられないために、時には親の意思とは違う選択をするという心構えと覚悟をしておきましょう」(横井孝治さん)

介護は情報戦。今できる準備から始めよう

介護は情報戦。今できる準備から始めよう

「『介護は情報戦』とよく言われるように、サービスや制度の知識はとても大切です。準備段階であれば、どんなものがあるのかをざっくり知っていれば大丈夫。最低限押さえておきたいのは、どこに行けば詳しい情報が得られるか、相談できる人はどこにいるかということです」(横井孝治さん)

そして、知識は実際の介護に役立ててこそ意味のあるもの。横井さんは、「必ず『知ること』と『使うこと』の2つがセットであることを覚えておいてほしい」と言います。

できるだけ早く介護に備えておき、いざとなったら使えるサービスや制度は賢く利用していきましょう。事前に備えておくことで、心身の負担が軽く、時間やお金の無駄も少ない介護が実現しやすくなるはずです。未来の自分を助けるために、今できる準備から始めてみませんか?

【出典】
※厚生労働省「平成28年簡易生命表の概況」「国民生活基礎調査による推計(2018年3月発表)」

取材協力
横井孝治(よこいこうじ)さん
2001年の夏から急に始まった両親の介護を通して、多くのことを考え、悩み、そして学んできました。現在は、正しい介護情報を多くの方々と共有するため、親を介護する人のための情報サイト「親ケア.com」、介護家族のための情報管理ツール「おやろぐ」などを運営。執筆、講演活動も積極的に行っています。
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