ウイルスや花粉などの異物が体内に侵入することを防ぎ、侵入した異物を排除する「免疫力」。この力が低下してしまうと、私たちの体にはさまざまな不調が現れてきます。西畑さんによれば、「免疫力が低下する要因の1つはストレス」なのだとか。
「ストレスがかかりすぎると自律神経のバランスが崩れ、免疫力の低下につながります。また、睡眠不足や食生活の偏り、生活時間の乱れのほか、疲労や運動不足、喫煙、過度の飲酒といったことも一因と言えるでしょう」(西畑亜美さん)
では、免疫力を高めるには、どのようなことをすればよいのでしょうか?
「先ほどもお話ししたように、1つは自律神経を整えること。自律神経がバランス良く働くことは、免疫力が正常に機能するためのカギとなります。また、腸には免疫細胞の約6~7割が存在すると言われているので、腸内環境を整えることも必要です。
このほかにも大切なのが、体を温めること。免疫細胞は血液中に存在しており、体温が下がって血行が悪くなると、体内で異物を発見しても素早く攻撃できません。免疫力は体温が1℃下がると約30%低下し、1℃上がれば一時的には最大5〜6倍アップするとも言われています」(西畑亜美さん)
免疫力を高めるために大切なのは、自律神経と腸内環境を整え、体を温めること。この3つの助けとなってくれるのが、ヨガなのだそうです。
「ヨガには、ストレスや緊張によって硬くなった筋肉をほぐす効果があります。さらに、血行の改善や自律神経を整える働きもあるため、体が温まり、腸のぜん動運動を促して腸内環境を整えることができます」(西畑亜美さん)
そう語る西畑さんも、ヨガと出会ったことで心身の不調から解放されたのだとか。
「前職では忙しく、体が常にだるくて不眠症にも悩まされていたんです。さらに腰痛が悪化したため、“何とかしなきゃ”とヨガか整体に行くことを思い立ち、たまたま予約を取れたのがヨガでした。特に体を動かすことが好きだったわけではありませんが、実際に始めてみたところ、自分と向き合うことができ、その時間が心地良く大切であることに気付いたんです」(西畑亜美さん)
ヨガと出会い、「体がゆるむと心がゆるむ」「体の軸が安定すると、心の軸も安定する」と知った西畑さん。続けるうちにこの経験を広く伝えたいと考えるようになり、ヨガインストラクターへの転身を決意したのだそう。今では都内のヨガスタジオやプライベートスタジオでのレッスンのほか、1,000人規模のイベントでも講師を担当されています。
「ストレスが免疫力低下の要因となるように、体と心はつながっているのだと思います。ヨガで体を動かしたり、呼吸を感じたりすれば自分と向き合うこともできるはず。この後ご紹介する3ポーズはストレスリリース、リラックスといった面もあるので、実感していただけるとうれしいですね」(西畑亜美さん)
それでは早速、西畑さんに教えてもらった、おすすめのヨガポーズ3つをご紹介します。西畑さんいわく「続けなきゃ、と義務のように思うと続かないので、無理のない範囲で気が向いた時に行ってください」とのこと。気負わず実践してみましょう。
自律神経を整える「キャット&カウ」
手順
「背骨を適度に刺激し、背骨の中を走る自律神経を整えるポーズ。筋肉の余計な緊張をゆるめることにもつながります。吸って反る・吐いて丸めるを1呼吸として3呼吸から5呼吸、行いましょう。ポイントは、背骨を意識して動かすこと。反る時はお腹の力が抜けないように、おへそを引き入れた状態を保ち、手でしっかり床を押します。首だけを上げるのではなく、背骨、胸の骨、首の骨がすべてつながっていることを意識して行いましょう」(西畑亜美さん)
腸内環境を整える「ねじりのポーズ」
手順
「息を吸いながら背骨とお腹を伸ばし、お腹がペタンコになるまで息を吐き切って、お腹を刺激するイメージです。お腹をねじることで、腸のぜん動運動が活発化して副交感神経が優位になり、リラックス効果が期待できます。気分が落ち着かない時や、寝る前のリラックスしたい時におすすめ。なお、ねじる時は背中が丸くなりやすいので、背骨をしっかり伸ばすようにしましょう」(西畑亜美さん)
体を温める「戦士のポーズ2」
手順
「前側の足を踏み込む時は、おしりの筋肉が働いていることと、内腿が伸びていくことを感じてください。前側の足を内側に入れないように注意しながら、後ろ側の足もまっすぐ伸ばすことを意識して。足裏全体で床をしっかり押し、膝裏の筋肉を押し上げるようにすると、後ろ側の足の付け根や、そけい部周りも伸ばすことができます。全身を使ったポーズなので、体幹が鍛えられ、血行促進にもつながります」(西畑亜美さん)
「免疫力を高めるには、ヨガ以外でできることもたくさんあります」と、西畑さん。
「ストレスをためないための十分な睡眠や、腸内環境を整えるバランスの良い食事、体温を上げる軽い運動なども方法の1つ。特にストレスは免疫力の大敵です。抱え込まないよう、自分自身の好きなことをする時間を作り、上手にストレスリリースをしてください」(西畑亜美さん)
ちなみに西畑さんの場合、「ヨガや運動、おいしい食事、旅行や温泉」でストレスリリースをしているそうです。
「疲れていると思ったら、なるべく休息することも大切です。疲れていると気付くには、やっぱりヨガが有効。テレビなどから離れて静かな時間を作り、自分の呼吸を感じることで、疲れだけでなく“こういうことがしたかった”と気付いたり、“こうなっていきたい自分”がクリアになると思います。それがストレスリリースとなり、免疫力を高めることにつながるので、5分でも10分でもそういう時間を作っていただきたいですね」(西畑亜美さん)
また、ヨガは初心者でも始めやすい運動の1つ。特に、「おうちヨガ」は周りを気にすることなく、自分のペースに合わせて行うことができるのでおすすめです。
「最近はオンラインのスタジオや、無料動画サイトでのヨガレッスンも充実しています。今回、ご紹介したような滑る動きがないポーズならヨガマットなども必要ないので、お金もかけずにできるはず。まずは自分と向き合うツールとして、ヨガを始めていただけるとうれしいです」(西畑亜美さん)