最近何かと話題になっているのが、免疫力。免疫力を高めるためには、腸内環境を整え、善玉菌を増やすことも大切です。日本の食文化に欠かせない発酵食品を食生活に取り入れることで、その素晴らしさを体感できたという柴田さんに、発酵食品に注目したきっかけを伺いました。
「管理栄養士として活動しながら、改めて食について学んだ時に、米食や発酵食品の大切さに気付いたんです。ごはんをしっかりと食べ、毎日の食事にみそ汁、納豆、漬物といった発酵食品を積極的に取り入れただけで、小さい頃からひどかった便秘が改善して、風邪をひきにくくなり、お肌の調子も良くなりました。そこから、ぬか漬けを始めたり、塩麹を作ってみたり、みそや梅干しを毎年仕込んだりしています」(柴田真希さん)
柴田さんはユーキャンの『発酵食品ソムリエ講座』のレシピ開発をされていますが、レシピではなんと85種類もの発酵食品を使用されたそうです。
「もともと発酵食品は積極的にとるようにしていましたが、試作を重ねたことにより、さらに体が喜んでいるように感じました。撮影は数日かけて行いましたが、撮影で作った料理を試食したスタイリストさんやカメラマンさんからは『毎日快調(腸)!』と声をかけていただきましたよ(笑)」(柴田真希さん)
数日食べただけで効果が出るなんてすごいですね。善玉菌の宝庫である発酵食品は、食べて体内に取り入れても発酵の働きが止まることなく継続され、腸内環境を改善し、病気になりにくい体を作ると言われています。次は、その発酵食品のメカニズムについて教えていただきましょう。
腸内の善玉菌を増やして、免疫力アップをサポートする発酵食品とは、そもそもどのようなものなのでしょうか?
「『発酵』とは、微生物(細菌)の力によって物質を分解させたり、変化させたりして、人間にとって有効に働ける状態にすること。逆に、人間にとって有害に働く状態になることを『腐敗』と言います」(柴田真希さん)
発酵に欠かせない微生物としては、ビフィズス菌や乳酸菌、麹菌、酵母菌、納豆菌、酢酸菌などがよく知られています。それらの微生物が有効に働くことで、旨みや甘み成分が増し、よりおいしいと感じることができるのが発酵食品です。そんな発酵食品を摂取する際に心がけたいことについて、柴田さんにアドバイスをいただきました。
・毎日続けて摂取して、腸にストックしておきましょう
みそや納豆、漬物、ヨーグルトといった発酵食品などに含まれる善玉菌「プロバイオティクス」は、腸内である程度の期間は存在しても、すみ着くことはないと言われています。
・善玉菌のエサとなる食材も一緒に摂取しましょう
善玉菌を増やす作用のある「プレバイオティクス」は、食物繊維やオリゴ糖を指し、穀類、豆類、野菜類、果物類に多く含まれています。
「これらを毎日継続することは決して難しいことではありません。野菜(食物繊維)をだし汁で煮て、みそ(発酵食品)を溶いた『みそ汁』。もしくは、果物(食物繊維)の上に、ヨーグルト(発酵食品)とハチミツ(オリゴ糖)をかけた『フルーツヨーグルト』など、日々の食事で自然と取り入れている方は多いと思います」(柴田真希さん)
発酵食品が持つ底力を最大限に引き出すには、毎日継続して摂取することが重要なポイントになります。いよいよ、次は実践編です。発酵食品を使ったおすすめ簡単レシピで、毎日腸に善玉菌を補充しましょう!
微生物(細菌)の多くは40℃以上の加熱で死滅すると言われています。とはいえ、たとえ死滅してしまっても、腸内にもともと存在する善玉菌のエサとなり、善玉菌の数を増やしてくれるので、無駄になることはありません。
「発酵食品を使った料理は、菌をできるだけ死滅させないことはもちろん、風味を保つためにも加熱しすぎないことが大切です。効果的に取り入れるなら、メインの食材は温めて、加熱していない発酵食品のソースをかけるといった調理方法がおすすめです。和食に欠かせないみそ汁は、火を止めてからみそを溶かすと良いでしょう」(柴田真希さん)
栄養素が変化してしまうため、調理法は重要ですが、発酵食品ばかり食べていても免疫力は上がりません。
「基本は『バランスの良い食事』ですので、主食、汁もの、主菜、副菜が揃った定食スタイルを心がけましょう」(柴田真希さん)
今回は、発酵食品を使った選りすぐりのレシピ3品をご紹介します。
アボカドと梅の和風チーズうどん
(調理時間:15分)
ポイント
梅干しとチーズを使ったさっぱりメニュー。アボカドは食物繊維が豊富なため、発酵食品と一緒にとることでお腹の調子を整える効果も期待できます。
材料(2人分)
作り方
麻婆納豆なす
(調理時間:15分)
ポイント
ひき肉の代わりに納豆を使ったヘルシーレシピ。納豆を加えたら、加熱時間を短くさっと炒めましょう。
材料(2人分)
作り方
タンドリーチキン
(調理時間:30分)
ポイント
みそとヨーグルトの相乗効果を狙ったレシピ。じっくり漬け込むことにより、鶏モモ肉も柔らかく仕上がります。
材料(2人分)
作り方
発酵食品の素晴らしさを実感したことで、柴田さんは発酵食品作りにも、どっぷりとはまっていったそうです。
「梅干しやみそ、ぬか漬けなどの発酵食品は生き物なので、マニュアル通りに作ってもうまくいかないこともあります。同じ梅干しの作り方でも住む場所によって出来が異なりましたし、ぬか漬けも毎日かき混ぜられなかったら、それでも耐えられるぬか床になりました」(柴田真希さん)
まさに生き物のなせる業。そんな生き物の力を体調管理に活用していきたいですね。毎日の食事に発酵食品を無理なく取り入れるためのアドバイスをいただきました。
「朝食を和食にするだけでも、みそ、納豆、漬物と、自然と発酵食品がとりやすくなりますよ。面倒だなと思ったら市販の発酵食品を使ってもいいですし、甘い物が好きな方ならおやつに甘酒やティラミス、チーズケーキを作ってみるのも良いでしょう。今はそれらのスイーツもコンビニなどで手軽に購入することができるので、意識して選ぶ習慣がつくといいですね。食は『楽しむ』ものであり、『おいしい』と五感で感じることが一番大切。健康になるために『食べなきゃ』ではおいしく感じないものです」(柴田真希さん)
『発酵食品ソムリエ講座』のレシピを開発する際、「新しい発見」と「発酵ライフが毎日続けられるメニューであること」を意識したという柴田さんは、最後にこう締めくくります。
「毎日発酵食品を食べて腸内環境を良くすることが、免疫力アップへとつながります。正解はありませんので、ご自身のペースに合った発酵ライフを楽しんでみてください」(柴田真希さん)