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2021.01.27

アスリートの体重管理術に学ぶ!リバウンド知らずの体になる食事ルール

アスリートの体重管理術に学ぶ!リバウンド知らずの体になる食事ルール

一時的に痩せるもののいつの間にか元の体重に戻ってしまう、リバウンド。今回は、ダイエットの鍵を握る「食事」の面から、リバウンドしにくい体を作るための方法をご紹介します。アスリートの体重管理を支える公認スポーツ栄養士の田澤梓さんに教えていただきました。

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リバウンドはなぜ起こる?リバウンドのしくみを知ろう

リバウンドはなぜ起こる?リバウンドのしくみを知ろう

ダイエットにおけるリバウンドとは、減量に成功しても元の体重に戻ってしまう、もしくはそれ以上に増えてしまう状態のこと。しくみはシンプルで、「消費エネルギーに対して、食事量(摂取エネルギー)が上回ることが原因」だと田澤梓さんは言います。

「減量の基本は、消費エネルギーよりも摂取エネルギーが少なくなること。ダイエット中は食事制限をして摂取エネルギーを減らしたり、運動などで消費エネルギーを上げたりして頑張っていたのではないでしょうか。ダイエット終了とともに消費エネルギーよりも摂取エネルギーが多くなることで、緩やかに体重が増えていきます」(田澤梓さん)

どうやら、目標体重に到達したら終了!というわけにはいかないのがダイエットのようです。リバウンドを避けるためにはダイエットを生活に組み込んで、体重管理を継続することが大事ということですね。

リバウンド回避の秘訣は、食事バランスを整えること

リバウンド回避のために欠かせない、体重管理の継続。だからといって、無理な食事制限によるダイエットは禁物です。田澤さんいわく、「少量の食事や偏食という方法でダイエットを行うと、リバウンドの原因になるだけでなく体に支障をきたすうえ、精神的にもストレスが溜まって続きません」とのこと。

「エネルギーや栄養素の不足は血管や心臓に悪影響を与えたり、消化器官の働きを鈍らせたりします。成長期であれば成長や発育にもかかわりますし、女性の場合は月経異常の心配も。その他にも骨や内分泌系、代謝や免疫、メンタル面への影響とさまざまなリスクがあります」(田澤梓さん)

そこで健康的に体重をキープし続けるための方法として田澤さんがおすすめするのが、「バランスの良い食事を習慣にする」こと。この方法は、目的に応じて体重をコントロールしているアスリートも、体重管理のベースにしていると言います。

「無理なくダイエットを継続させるためには、食事のバランスを保つことが最善の方法です。食事の基本的な形は、主食・主菜・副菜をメインに、できれば1日1回乳製品・果物を揃えることで完成します。このバランスは崩さずに食事量や内容、エネルギー量を調節すれば食事に満足感を得られるはず。つまり、リバウンドすることなく目標体重をキープできるはずですよ」(田澤梓さん)

アスリートの体重管理術に学ぶ!リバウンド知らずの体になる食事ルール

(参考:https://www.maff.go.jp/j/balance_guide/kakudaizu.html)

毎食バランスの整った食事をするのは大変そう……と思うかもしれませんが、難しく考えなくて大丈夫です。例えば、外食時など主菜に肉を選ぶ場合は、脂身が多くてエネルギーの高いサーロインより脂肪の少ないヒレを選びましょう。調理法であれば、揚げるより焼いたり茹でたりと油分が少なくなるほうを選ぶといったところから見直すと取り入れやすく、習慣として身に付きやすくなります。

どんなものを食べるとよいかは、農林水産省の「食事バランスガイド」を参考にすると分かりやすくておすすめです。具体例を田澤さんに教えていただきました。

「例えば、18歳以上の女性の場合だと、1日の主菜は3~5sv※が目安です。1svは卵なら1個、魚なら1/2切れ、鶏モモ肉皮付きなら約30gなので、朝食で卵1個、昼食に魚1切れ、夕食で鶏モモ肉でしたら約60gを摂るが目安になります。

女性の場合、月経により貧血を起こしやすくなったり、無理なダイエットにより必要なエネルギーや栄養素が不足しがちになったりしてしまうため、たんぱく質、鉄分、カルシウムは意識して摂るようにしましょう。」(田澤梓さん)

※SV(=サービング)とは食事の提供量の単位の略です。
料理の分量を1つ(SV)という統一した単位で数え、料理区分ごとに1日に取りたい数を示しています。
(参考:https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/zissen_navi/balance/division.html)

食事バランスを整えるほかにも「ダラダラ食べないこと、朝昼の食事はしっかり取って活動量が減る夜に備えて夕食は軽めにすることを意識することも、リバウンド回避に役立ちます」と言う、田澤さん。

「特に、ダラダラ食べる習慣がある人は今すぐに見直しを。食べた量を把握しにくくなり、食べ過ぎに繋がります。3食決まった時間に食べ、新聞や雑誌、スマホなどを見ながら食べないようにしましょう。また、リバウンドを避けるためには『甘い飲み物や清涼飲料水は飲み過ぎない、衝動的にたくさん食べるなど食事でストレス解消をしない、早食いせずにゆっくり楽しむ』といったことにも注意するとよいですね」

アスリートも実践!体重キープのポイントは「可視化」にあり

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リバウンドしにくい体作りの方法として、田澤さんがもう一つおすすめだというのが、体重を記録すること。アスリートの多くが毎日行っているというこの方法、一体どんな効果があるのでしょうか?

「多くのアスリートは練習ノートをつけていて、そこに練習メニューだけでなく毎朝のトイレに行った後の体重も記載しています。

体重管理は長期にわたって行うことなので、すぐに結果が出るものではありません。可視化することで継続のモチベーションになりますし、その時に必要な目標や計画に沿って実行できているかを把握することができます。一般の方にもぜひ取り入れてほしいですね。

体重は記録するだけでなく、グラフにすることもおすすめです。日ごとの体重の増減に一喜一憂することなく、増えている傾向にあるか、減っている傾向にあるのかが把握しやすくなります。上がり下がりが可視化しやすい折れ線グラフが良いと思います。また、一般の人でも運動や散歩など、ダイエットに繋がることをした場合は併せてメモするとより分かりやすくなりますよ」(田澤梓さん)

アスリートの体重管理術に学ぶ!リバウンド知らずの体になる食事ルール

記録するダイエットというと、カロリー計算を思い浮かべる人も多いと思います。しかし、田澤さんいわく、「摂取エネルギー(=カロリー)は消費エネルギーとセットで初めて成立するもの。1日の消費エネルギーが予測できないなか、摂取エネルギーだけを気にするのはあまり意味がない」とのこと。

「それに比べて、毎日の体重を記録する方法は、『食べた食事の内容や量、タイミングが活動量と見合っていたか』がダイレクトに分かります。体重が数日で増えていれば、摂取エネルギーが多過ぎたか、消費エネルギーが少なかったかのどちらかです。1日ごとに省みることができるので『いつの間にこんなに太ったの?!』と驚くことはなくなるはず!」だと田澤さんは言います。

とはいえ、毎日継続するモチベーションを保つことがダイエットの難しいところ。アスリートの場合は大会などで成果を出すという目標がダイエットに繋がりますが、一般的にはどうすれば継続しやすくなるのでしょうか?

「健康(減量)は手段であって、目的ではないことが大切。減量した結果、動きやすくなる、イキイキと生活できる、興味あることに積極的に取り組めるなど、自分なりの目標が見つかるのが理想的です。痩せたらどんな自分になりたいか、痩せたらどんな自分を手にいれることができるかを具体的にイメージすると、モチベーションを保ちやすくなると思いますよ」(田澤梓さん)

最後に、田澤さんからメッセージをいただきました。

「自身の食事を考えて食べることは、体を大切に扱うこと、自分自身を大切に扱うことにも繋がり、心の余裕を生みます。体は食べたもので作られるとよく言われますが、私たちの体は日々作り替えられており、歯や髪の毛以外の身体の細胞は約3ヵ月でほぼ入れ替わっていて、作り替えるのに必要な材料(栄養素)が入ってこなければ、正確に作り替えることができません。

また、食事はエネルギーや栄養素を補うためだけでなく、コミュニケーションの場、やすらぎの場でもあります。食事を家族、友人と楽しみながら取ることで、体も心も充実した未来に繋げていただきたいです」(田澤梓さん)

食事バランスを整え正しい食習慣を身に付けて、健康的に体重キープできるダイエットを行いましょう!

【取材協力】
田澤 梓(たざわ あずさ)さん
田澤 梓(たざわ あずさ)さん
管理栄養士。公認スポーツ栄養士。 2002年管理栄養士を取得、帝京平成大学等で教鞭を執りながら、競技選手やスポーツ愛好家の栄養サポートにかかわる。アスリートのための栄養食育サイトでのコラム・レシピの執筆、食生活アドバイザー資格対策講座講師としても活動。栄養素中心でない日常の食生活を重視することを大切に、食の窓口から人生を楽しむサポートを心がけて活動している。「女性アスリートの育成・支援プロジェクトによる栄養サポート報告」(Journal of High Performance Sport vol.4)発表、「子どものためのスポーツ食トレ」亀井明子著(少年写真出版社)料理レシピ担当
 

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