デジタルイラストとは、簡単に言うとパソコンを使って描くイラストのこと。線や影、色などを自在に操ることができるので、立体感のあるイラストを手軽に描くことができます。
準備するものは、基本的にはパソコンとイラストが描けるソフトのみ。ソフトは無料のものからプロ仕様の有料のものまで豊富にあるので、用途やレベルに合わせて選びましょう。パソコンに元々入っているソフトは仕事用として使用するには適さないため、「イラスト用」と謳っているものを選ぶとよいそう。「レイヤー作成」や「PSD形式の書き出し」はあると便利な機能。ソフトにより機能が異なるため、導入前に確認してみましょう。使うツールは、マウスでも描けますが、ペンタブレットがあるとよりスムーズにイラストを描くことができます。もっと気軽に始めたい!という方には、タブレット端末にイラスト作成アプリをダウンロードする方法も。場所を選ばず描けるのが魅力です。
必要なスキルについては、「絵を描くことが好きなら、イラストソフトの使い方を覚えるだけで充分に仕事が始められると思います」と言うyaki*mayuさん。
企業やメディアのイラスト制作を手掛けるyaki*mayuさん自身も、なんと独学なのだそう!絵の学校に通ったり専門的な勉強をするといった経験はなく、現在のようにプロになる前はイラストとは無関係の仕事をしていたのだとか。デジタルイラストの描き方については、インターネットで「メイキング」や「講座」を調べ、YouTubeの動画なども見ながらとにかく見様見真似で練習。毎日何枚も描き続けることでスキルがアップしたとのこと。それでも「勉強しているという感覚は全くなかった」と話すyaki*mayuさん。とにかく絵を描くのが好きで、小中学生の頃からアナログで毎日何枚も描き、中学生でペンタブレットを手にしてからはデジタルに移行。夢中で絵を描きネットに投稿しているうちに、だんだんと依頼がくるようになり趣味が仕事になっていったと言います。
これからデジタルイラストを仕事にしたい、副業にしたいという人たちにとって、「楽しくて、手軽に始めることができる」という要素はとても心強いですよね!
(YouTube「焼まゆるのお絵かきちゃんねる」より抜粋)
では、デジタルイラストを活かした仕事にはどんな種類があるのでしょうか?
yaki*mayuさんによると、「数えきれないほどたくさんの仕事があります。特にYouTubeのようなデジタルコンテンツが豊富になることで今後もより増えていくでしょう」とのこと。たくさんのなかから、大きく3つに分けてどのような仕事があるのかを教えてもらいました。
「1つ目は、個人依頼の仕事。SNS用のアイコンイラストから自費制作のCDジャケット、電子書籍の挿絵までさまざまありますが、最近はYouTuberさんからの依頼が本当に増えています。チャンネルページのヘッダーやアイコン、オープニング映像にイラストを使う方が増え、そのイラスト作成の依頼をいただくことが多いです。また最近ではVTuber(バーチャルYouTuber)さんのキャラクターデザインの依頼も多いですね。顔を出さずに始められるため、ここ数年で何万人ものVTuberさんがデビューしています。さらに芸能人のYouTube参入も増えているので、今後この関連のお仕事はどんどん増えそうだなと感じています。2つ目は、企業依頼の仕事。本や雑誌の挿絵に始まり、グッズに使うイラスト、ソーシャルゲームやトレーディングカードゲームのキャラクターデザインなど多岐にわたります。そして3つ目は、オリジナルの仕事です。LINEスタンプやTシャツデザインなど、オリジナルグッズを作って販売します」(yaki*mayuさん)
なかでも、yaki*mayuさんが副業におすすめだというのが、3つ目に挙げたオリジナルの仕事。依頼を受ける形ではないので好きなイラストを思いのままに描くことができるうえ、締切りもないため本業に支障をきたすことなく行えるので安心。また、受注生産の場合が多く在庫を抱えないので損失もないことから、初心者さんでも安心して仕事を始めることができると言います。
とはいえ、始めのうちはなかなか仕事がないことも……。そんな時は、SNSに自作のイラストを投稿して仕事募集を呼びかけたり、クラウドサービスを活用したりして少しずつ実績を積み重ねていきましょう。
誰でも手軽に始められるデジタルイラストの仕事ですが、一方で、副業として長続きさせることができる人やイラストがお金になる人はそう多くはありません。息の長い仕事として付き合っていくために、最も大事なことは「自分自身が楽しむこと」だと言う、yaki*mayuさん。
「平日は会社、休日は絵の仕事……となると、常に仕事モードで心身共に疲れてしまいますよね。無理をすると、最初は頑張れても長く続けるのは難しくなるので、趣味の延長のような気分で楽しみながら絵を描くことが継続のコツです。他にも、例えば『自分の絵が、ゲームキャラクターとして採用されたり、Tシャツやバッグといったグッズになって発売されたりする』なんていうのも継続のモチベーションに繋がりますよね。自分なりの楽しみをたくさん見いだしていくとよいと思います」(yaki*mayuさん)
継続が難しいと感じたら一度離れて、また再開することができるのも副業の魅力。大好きで始めた絵の仕事を嫌いになってしまうことが一番悲しいことだと思うので、マイペースでいきましょう!
情勢に左右されない在宅ワークかつ、年齢やライフステージにもとらわれず働けるデジタルイラストは、まさに現代にぴったりな「手に職」のスキル。yaki*mayuさんのように、副業として続けていくうちにプロのイラストレーターとして独立することができる点も魅力です。
yaki*mayuさんが前述するように、楽しみながら描き続けることがデジタルイラスト上達のコツですが、そのスキルを維持するためには「インプット」も大事な要素だと言います。
「イラストにも流行のタッチやキャラクターデザインがあるため、トレンドやどんな需要が多いかなどを知っておくと、末長く活躍できるイラストレーターになれると思います。具体的に私が行っている方法としては、人気イラストレーターさんのイラストをチェックして、トレンド傾向の把握やイラストの練習の資料にしたり、SNSでイラスト関連の情報をこまめに見たりして日々勉強しています。特に最近のトレンドでいうと、スマートフォンで見て映えるイラストが重視されています。きっちりきっかりとしたイラストのきれいさよりも全体で見た時にバランスが良い絵が好まれるなど、トレンドにより求められるイラストが変わるので、常にアンテナをはっておくのは大切ですね」(yaki*mayuさん)
人気イラストレーターになった今でも、「まだまだこれから。最近はデッサンなども本格的に始めていて、毎日が勉強です!」と言うyaki*mayuさん。苦手なことを勉強し続けるのは大変ですが、好きなことなら趣味も実益も兼ねられるので一石二鳥。さらに仕事に繋がって未来が広がるというメリットまでついてくるのも嬉しいですね。