(C)YUKI TOKUDA/ TV ASAHI MUSIC CO., LTD.2019.
イカや枝豆、焼き鳥など、思わず「これって本物!?」と驚くほどリアルなイラストがTwitterで話題のイラストレーター・徳田有希さん。一方で、女の子をメインにしたパステル調のポップなイラストも大人気。この「本当に同じ人が描いているの?」と思うほど、振り幅のあるテイストのギャップが大きな魅力です。子どもの頃から、絵を描くことが大好きだったという徳田さんは、実は鳥山明さんの大ファン!学生時代は漫画『ドラゴンボール』の絵をマネして描いて、友達と見せ合ったりしていたそう。
「今のテイストとは全然違うんですが、ずっと『ドラゴンボール』の絵をマネして描いていました。学校の友達に見せたり、高校生になるとネットの掲示板にイラストを投稿するようになりました。ネット上には自分よりもずっと絵の上手な人がたくさんいて、自分ももっと上手くなりたいと思ったのが、ちゃんと絵を勉強したり練習したりするようになったきっかけです。とはいっても、自分の場合は全部独学で……。学校に通ったとか、誰かに教わったというのはなくて。高校卒業後に上京して、少しずつ出版社に作品の持ち込みをするようになりました。その後人にすすめてもらって、Twitterにイラストを投稿するようになって。ちゃんとイラストレーターと名乗ってお仕事するようになったのは22歳ぐらいのことです」(徳田有希さん)
今もSNSに多くの作品を投稿しつつ、広告や本の装丁など活動の幅を広げ続けている徳田さん。全く違うテイストのイラストを描く際、書き方の違いなどはあるのでしょうか?
「自分では気持ちを切り替えるとかいった意識はなくて、どちらも同じような感覚で描いています。自分の場合は絵を描くことの気分転換が、違う絵を描くことなんですよね(笑)。例えば、リアルな絵を描いていて疲れてきたら、休憩に真逆のゆるい絵を描くといった感じで、全く違う絵が描きたくなるんです。だから、自然とテイストの振り幅が大きくなるのかもしれませんね。それが外から見たら全然違うことをやっているように見えるのかもしれないです」(徳田有希さん)
(C)YUKI TOKUDA/ TV ASAHI MUSIC CO., LTD.2019.
徳田さんのポップなテイストのイラストは、独特の色使いと世界観で女性を中心に大人気!そんな徳田さんのイラストをぜひマネして描いてみたいという人のために、かわいいイラストを描くコツや練習法について教えていただきました。
1 まずは好きなイラストを徹底的にマネしてみる
徳田さんも絵が上手になるために実践したのが、この方法。練習のために漫画『ドラゴンボール』全巻のキャラクターを模写して絵の練習をしたそうです。まずは、自分が好きなイラスト、こんな絵が描きたいというものを見つけて、徹底的にそれをマネしてみるのがおすすめとのこと。徳田さんは、最初は見本を見て描いて、その後、見ないで記憶を元に描く。それから自分の描いたものを見て描くということを繰り返したそうです。そうすることで、だんだん改善点が見えてくるのだとか。
2 自分と自分のイラストを客観的に見る
「自分で自分のイラストを見て、『改善点を見つけられるようになる』というのがすごく大事」と徳田さん。「例えば、あらためて見ると腕の曲がり方が不自然とか、頭と体のバランスが悪いなとか、いろいろと気付くことがあって。それを自分で見つけることで上達していく部分は大きいです」。とは言っても、最初は難しいので、友達や周りの人に見せて、おかしなところを指摘してもらったり、アドバイスをもらったりするのがおすすめです。
また、自分が描くのが早いのか遅いのか、筆圧が強いのか弱いのかといった、描き方のクセをちゃんと把握することで、自分に合った道具や紙などを選ぶことができるようになるので、そういった意味でも自分を知ることはとても大事です。
3 描きたいものを五感をフルに使って観察する
描きたいものをよく見て描くというのは、当たり前のようですが、見る以外に、触ったり、においを嗅いだりして、感覚をフルに使って観察することが大事。特に柔らかいものを描く場合には、とにかく触るそうです。すると、自然と描き方も柔らかくなるそうです。見るだけではなく、五感をフルに使って観察すると、自然と表現力を磨くことができます。
4 配色は「どんな風に思われたいか」で決める
徳田さんが色使いで気を付けているのが、色が被って、お互いの色が邪魔しないように配色すること。そのためにまず、メインに使うカラーを決めることから始めるそうです。例えば、ピンクをメインにしたいと決めた場合は、そこからどんな風に見せたいか、思われたいかで、組み合わせる色を考えます。ポップにするなら黄色、ちょっと毒々しい感じにするなら青や紫を組み合わせる、といった感じに。まずはいろいろな色の組み合わせを試してみて、その色の組み合わせをどう思うか考えてみることから始めてみるのがおすすめです。
絵が上達する一番のコツは、「とにかく好きなものをたくさん描くこと!」と徳田さん。
「そこからいろいろな発見があると思います。まずは気になった絵をマネしながら、本当に自分の好きなテイストを見つけ、自分についてよく知ることから始めてみてください。とにかく楽しむことが大事です!」(徳田有希さん)
徳田さん自身、仕事も趣味も楽しみながらイラストを描くことを大事にしているそうです。
「やったことがないことには、これからもどんどん挑戦していきたいです。最近は今までの集大成的なことも少しやりたいなと思っていて。リアルな絵とポップなイラストを組み合わせて、また新しい世界観の作品を描いてみたいなと。これまでやってきたことを全て繋げる感じですね。将来的にはアニメのキャラクターデザインの仕事をしてみたいなと思っています。自分が描いているっていうのはあまり知られなくても、キャラクターがみんなに愛されて、ひとり歩きしてくれるような。いつかそんな仕事ができたらいいなと思います」(徳田有希さん)