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2020.07.10

脳科学者が解説!『レクリエーション介護』が効果を期待できる理由とは?

脳科学者が解説!『レクリエーション介護』が効果を期待できる理由とは?

「認知症の予防や症状の抑止につながる効果を期待できる」と、近年注目を集めているレクリエーション介護。今回は脳科学者・篠原菊紀先生に、レクリエーション介護が高い効果を期待できる理由をインタビュー。脳科学の観点を踏まえてお答えいただきました。脳の活性化に効くレクリエーションについても紹介します。

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レクリエーション介護の意義と注目される理由

近年の介護現場では、従来の機能的回復や介護予防を目的としたサービス(いわゆる設備面の充実や食事の提供など)だけでなく、高齢者に「喜び」や「楽しみ」を提供することで「生きがい」を見つけてもらうことが重要視されています。体や脳、心の健康に良い影響を与えるレクリエーションは、まさに近年の介護現場にぴったり。高齢化社会という背景もあり、レクリエーション介護への注目は高まってきています。体や脳、心の健康に良い影響が期待できるレクリエーション介護の意義について、篠原先生に伺いました。

「楽しい活動をしていると、脳の領域のうち、やる気や頑張りといった意欲をつかさどる快感中核『側坐核』が活性化します。これが活動すると、感情や理性・記憶をつかさどる領域『前頭前野』や、身体部位に随意運動の命令をだす領域『運動野』を介してパフォーマンスが上がりやすくなるんです。また、リハビリのさなかに『側坐核』が活動を止めてしまうと、リハビリ効果が消失することも知られています」(篠原菊紀先生)

2014年には、介護の基礎知識をはじめ、高齢者とのコミュニケーション、レクリエーションの知識や、それらを安全に実行できるスキルの習得を証明する新たな介護関連資格として「レクリエーション介護士」が新設されました。現在までの資格取得者はじつに2万人以上。毎年、資格取得を希望する人が増え続けており、人々の関心が高まっていることが窺えます。

脳科学の観点から語る、レクリエーション介護の効果を期待できる理由

レクリエーション介護が脳に与える影響や効果について、教えてください。

「レクリエーションの種類によって、前頭葉(記憶や情報を少し保持しながら加工するような頭の使い方の時)や、側頭葉(言語系課題、音楽系課題、顔認知課題、細かな観察課題)、後頭葉(視覚刺激系、注意課題)に、頭頂葉刺(空間認知系課題)が刺激されたりします」(篠原菊紀先生)

脳科学者が解説!『レクリエーション介護』が効果を期待できる理由とは?

「例えば頭を使う遊び(クイズ・パズルなど)や、言葉や指先を使った遊び(創作・クラフトなど)をすることで脳が活性化し、認知症の予防や症状の進行を抑止する効果が期待できます。また、複数人で行なう遊びであれば、コミュニケーションの促進にもつながります。あとは歌やダンスもいいですね。このような表現活動は、感情にかかわる『大脳辺縁系』、運動にかかわる『大脳基底核』・『小脳』など、脳の内側・外側のあらゆる部分が盛んに使われることが分かっています。
頭や体を動かすこと以外の活動であれば、自然体験。人は自然のなかにいるだけでストレスが低下します。これは前頭葉が活発化しながら、ストレス耐性にかかわる『眼窩(がんか)部』が鎮静化するため。自然体験の活動は実施期間が長いほど、またその期間中にトラブルが多いほど、『生きる力が伸びる』という研究結果もでています」(篠原菊紀先生)

こんなレクリエーションが脳の活性化に効く!

『グーパー体操』

脳科学者が解説!『レクリエーション介護』が効果を期待できる理由とは?

やり方

1.ふとんやマットの上に寝た状態で、右手を上げて「パー」に、左手は下げて「グー」にします。次に右手を下げて「グー」、左手は上げて「パー」にします。
2.右手を上げて「グー」、左手は下げて「チョキ」に。
次に右手を下げて「チョキ」、左手を上げて「グー」に。
3.右手を上げて「チョキ」、左手は下げて「パー」に。
次に右手を下げて「パー」、左手を上げて「チョキ」にします。
※これを繰り返します。スムーズにできない場合は、グー、パー、グー、パー、またはグー、チョキ、パーと繰り返すだけでもOKです。

■期待できる効果
手は脳のさまざまな部位とつながっています。つまり、手をよく動かすことで、脳の多くの部分を活性化させることができます。また、足を使ってグーパー体操を行うと、手よりもやりにくい分、前頭葉の活動が高まりやすくなります。

『茶つみ・手遊び』

脳科学者が解説!『レクリエーション介護』が効果を期待できる理由とは?

やり方

1.全員で円形に座ります。
2.「茶つみ」を歌いながら、カスタネットを叩くように、右手で自分の左の手のひら→右隣の人の手のひらと交互に叩きます。

■期待できる効果

「茶つみ」や「ずいずいずっころばし」などの昔からの定番遊びは、前頭葉や小脳を活性化する効果があります。相手と横に並び、手をタッチさせるタイミングを合わせること、リズムの変化に対応することは、まさに前頭葉トレーニングです。

※参考資料/【ボケない頭をつくる60秒活脳体操】篠原 菊紀 著/株式会社法研

もっと楽しく、もっと効果的な介護を

最後に、レクリエーション介護に興味がある方や、現在介護の現場で働いていてこれからもっと知識を深めたいという方に対して、「高齢者にレクリエーションを楽しんでもらうためのポイント」「注意すべきポイント」などを教えてください。

「あまり複雑に考えないことをおすすめします。レクリエーションですから、楽しむことが一番です。高齢者のなかには、もしかしたら最初はあまり楽しいと思わない方もいるかもしれません。そんな時は『人は頑張っている時には前頭前野が活性化しているんです。それは、とっても体に良いことなんですよ』と優しく背中を押してあげてください。できるだけ無理をさせずに、気持ちに寄り添いながらしっかりと説明をしてあげる、ということが大切だと思います。そして介護予防が『修行・辛いもの・大変なもの』ではなく、『楽しいもの・ワクワクするもの』になればいいと思っています」(篠原菊紀先生)

歳を重ねても健康で、自分らしくいきいきと暮らしていくためにも効果的なレクリエーション介護という活動。脳への影響を意識しながら、身近にいる高齢者と一緒に試してみてはいかがでしょうか。

【取材協力】
篠原 菊紀(しのはら きくのり)さん
東京大学大学院教育学研究科博士課程等を経て、公立諏訪東京理科大学情報応用工学科教授、医療介護健康工学部門長、学生相談室長。茅野市縄文ふるさと大使。専門は応用健康科学、脳神経科学。日常的な脳活動を研究し、その成果を地域活性化や社会的変革に生かす試みを続けている。著書には『バカは性格か!?』(ブックマン)、『しなやか脳でストレスを消す技術』(幻冬舎)、『仕事が変わる五つの脳グセ』(大和出版)、『「すぐにやる脳」に変わる37の習慣』(KADOKAWA)など多数。
 

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