今やスーパーやコンビニだけでなく、自動販売機でも購入できるほど人気になった甘酒。20~30代の女性を中心に大きな支持を集めています。ですが、意外と知られていないのが甘酒に種類があること。どんな種類があって、何が違うのか。早速、榎本さんに聞いてみましょう。
「甘酒は、大きく分けて2種類あります。一つ目は米麹とごはんやおかゆを発酵させて作る『米麹甘酒』。そして二つ目が日本酒の酒粕と砂糖・水を温め、溶き伸ばして作る『酒粕甘酒』です。大きな違いは、砂糖を使っているかどうか。砂糖で甘味をつける酒粕甘酒に対して、米麹甘酒は砂糖を一切使いません。では、あの甘味は何なのか……。答えはお米に含まれるデンプンです。米麹はお米に麹菌という菌をつけたものですが、その麹菌の出す酵素の働きによってお米のデンプンが糖化され、甘味となっているんです」(榎本美沙さん)
「甘酒は“酒”という字が入っていますが、米麹甘酒はアルコール0%なので、妊婦さんや赤ちゃんでも安心して飲むことができます。酒粕甘酒もアルコール1%未満ですが、小さいお子さんに飲ませる場合などには、一度お鍋に入れて沸騰させ、アルコールをしっかり飛ばしてあげるとより安心だと思います。あと、ときどき『米麹甘酒は砂糖が入っていないからカロリーが低い』という話を耳にするのですが、たとえ砂糖が入っていなくてもデンプンなので、カロリーはそれなりに高いです。つまり、米麹甘酒だけがカロリーが低くてヘルシーという考え方は、間違い。糖分の摂り過ぎを防ぐためにも、飲み過ぎにはご注意ください」(榎本美沙さん)
「飲む点滴」「飲む美容液」とも称される甘酒ですが、具体的にはどんな効果が期待できるのでしょうか。また、1日に飲むのに適した量や、飲むタイミング、一緒に摂取すると効果的な食べ物などもあれば、教えてください。
期待できる効果について
「甘酒には酵素やビタミン、必須アミノ酸など、豊富な栄養成分が含まれています。米麹に含まれる麹菌という微生物の作用や、甘酒に含まれるオリゴ糖が腸内細胞のエサになることから、腸内環境を正常化させることができ、それによってダイエット効果や美肌効果、免疫力の向上などが期待できますし、ビタミンB群が豊富なのでエネルギー代謝が促進され、疲労回復にも繋がりやすいです。
あとは、必須アミノ酸。これは人が生きていくうえで欠かせない栄養成分なのですが、必須アミノ酸は体内では合成できないため、食べ物から摂取しなければなりません。必須アミノ酸は全部で9種類あり、そのすべてを含んでいるのが米麹甘酒です。その他にも、コウジ酸という成分はくすみを抑制する働きがあるので、こちらも美肌効果が見込まれます」(榎本美沙さん)
1日に飲む量の目安や、飲むタイミングについて
「1日に飲む量の目安は、コップ1杯程度の100~200ml。また、飲むタイミングとしては疲労回復の効果が早いので、「朝のアポイントが早くて体がだるい」「午前中の会議で頭を使いすぎた」「残業してもうひとがんばりしよう」といった場面が良いと思います。若い方はよくエナジードリンクを飲みますよね。そこを、ぜひ甘酒にしてほしいです。脳の働きが良くなりますし、集中力も上がります。がんばった方にも、これからがんばろうという方にも、ぜひ甘酒をおすすめしたいです」(榎本美沙さん)
一緒に摂取すると効果的な食べ物は?
「一緒に摂取すると効果的な食べ物というのは、基本的にはありません。ただ、甘酒には豊富な栄養成分が含まれている一方でビタミンAやビタミンCなど含まれない栄養成分もあります。なので、野菜などそれらを補給できるものが良いでしょう。『甘酒を飲んでいるからといって他の食べ物を摂らなくて良いのではない』、ということを頭に入れておきましょう」(榎本美沙さん)
「市販されている甘酒は、品質の変化を防ぐために熱殺菌(火入れ)処理がされていることが多く、酵素が失活(しっかつ。活性が失われること)している可能性があります。甘酒の力を最大限に引き出したいのであれば、手作り甘酒をおすすめします。保温機能のある炊飯器やヨーグルトメーカーがあれば簡単に手作りできます。今回は炊飯器を使った作り方をご紹介します」(榎本美沙さん)
自宅で手軽にできる米麹甘酒の作り方
材料:作りやすい量
作り方
「スーパーなどで手に入る米麹には、乾燥米麹と生米麹がありますが、今回は手に入りやすい乾燥米麹を使用しました。注意すべき点は、雑菌が入らないように器具は清潔なものを使用すること。雑菌が入ってしまうと、味が変わったり、甘くならなかったりする場合があります。あとは、保温する温度を55℃~60℃に保つため、必ず炊飯器のフタは開けたままにします。70℃以上になってしまうと酵素が失活し、発酵が進まなくなってしまいます」(榎本美沙さん)
榎本さんおすすめ!さらに甘酒を楽しみたい人に…
甘酒を使ったアレンジレシピ
甘酒×料理
「手作り甘酒にはタンパク質分解酵素が含まれているので、肉や魚を漬け込んで調理すると、ふっくら柔らかく仕上がります。また、ホワイトシチューに入れるとまろやかになりますし、発酵食品同士の相性も抜群なので、寒い時期ならキムチ鍋や味噌ベースのお鍋、豆乳系のスープに入れるのもおすすめ。甘酒とオリーブオイルとお酢を混ぜればドレッシングにもなるなど、和洋中どんなジャンルの料理にもオールマイティに使えます」(榎本美沙さん)
甘酒×別の飲み物
「甘酒に豆乳や牛乳を加えると飲みやすくなります。他には、ほうじ茶やトマトジュースも良いですね。スッキリ系にしたかったら炭酸と合わせたり、体を温める効果を高めたかったら生姜を小さじ1杯程度加えたり。バリエーションは無限にあると思います。私はよくグリーンスムージーに甘酒を入れて朝食代わりにしています。ぜひ、いろいろな飲み方を試してみてください」(榎本美沙さん)
甘酒×スイーツ
「おすすめはアイスです。ファスナー付きの保存用バッグで冷凍した甘酒をほぐして食べるのですが、シャリシャリ感が強く、シャーベットに近い食感でおいしいです。お好みで抹茶やきなこ、黒蜜をかけたり、黒豆と合わせてぜんざい風にしたりするのもおすすめです。私の一押しは甘酒とイチゴのアイス。濃いめの甘酒(2倍濃縮)とイチゴをミキサーにかけて冷凍庫に入れ、完全に凍る直前にもう一回ミキサーにかけます。すると空気が入ってよりなめらかな食感になります」(榎本美沙さん)
「大切なのは適切な量を毎日継続して摂取すること。といっても気負う必要はありません。作るのが面倒だったら市販品でも良いと思います。発酵食品というのは他の食品ととても相性が良いので、まだまだ甘酒に合う料理や飲み物はたくさんあるはずです。「今度あの料理に使ってみよう」「このジュースと合うかな」など、ぜひあなたなりのオリジナルレシピを作ってみてください。この記事をきっかけに、甘酒ライフを楽しんでいただけたら幸いです」(榎本美沙さん)