日々の健康管理を含めた食生活全般を、独自の視点からアドバイスし、食のスペシャリストとして活動するKOICHIです。毎日食べるものだからこそ、おいしく、ヘルシーに味わいたい。そんな理想の食生活を追求し、ちょっとしたひと手間で普段の味わいが格段にアップするレシピを発信しています。
私が料理で何よりも大切にしているのが、下準備のひと手間です。例えば、野菜はアク抜きを怠ると見た目がよくないだけでなく、味にも悪影響を及ぼします。調理前にアクを取り除いておくことは、味わいのある料理に仕上げるための基本です。
またコンニャクならアク抜き、豆腐なら水切り、油揚げなら油抜きをしておくだけで、味が染みておいしくなります。ホウレンソウやタケノコも、下ゆでしてしっかりアク抜きをすることで、カルシウムの吸収を妨げるシュウ酸を取り除くことができます。
さらに、栄養面を高めるなら、相性の良い食材と調味料選びが重要になります。食材は組み合わせ方次第で、おいしさと栄養面に差が出ます。例えば、トマトに多く含まれるリコピンは、オリーブオイルやアボカド、ナッツ類などに含まれるビタミンEと組み合わせることで、リコピンの吸収率がアップします。このリコピンや、ニンジンやホウレンソウ、ブロッコリーなどに含まれるβカロテンは、油で炒めることで抗酸化作用を高めることができます。また牛乳や生クリームを使う料理には、シャケや干しシイタケ、キクラゲを組み合わせることで、骨粗しょう症の予防効果が期待できると言われています。
では、次はおいしいの強化について。いつもの「ふつうごはん」がレストランのような味わいになる、とっておきの実践テクニックをご紹介していきましょう。
味わいの基本となる「甘味」「酸味」「塩味」「苦味」「うま味」の5つの味を上手に活かすことが、「ふつうごはん」を格段においしくするコツです。また、数種の味を合わせると、互いに作用して、味に変化をもたらします。コンブとカツオの合わせダシでうま味を増したり、塩によって甘味を強めたり、食材や調味料の組み合わせで、より効果的においしさを引き出すことができます。味付けの他にも「ふつうごはん」をおいしくするポイントを簡単にご紹介します。
野菜のおいしさは、切り方で引き出す
野菜本来の栄養を損なわずに摂取するには、栄養豊富な皮はむかないことが大原則です。切り方によって、同じ野菜でも全く異なる食感が味わえます。
どのような切り方でも加熱時間が短いと辛味を感じやすく、風味もよくありません。甘味やうま味はしっかり炒めたり、煮込んだりすることにより、引き立つものなのです。ピーマンは苦味の強い種やワタを取り除き、縦切りにしっかり火を通せば、野菜嫌いを克服できる可能性も高まるはずですし、ニンジンやナスは油で加熱することにより、栄養成分の吸収率をアップさせることができます。さらに、変色しやすい野菜は少量の油にしばらく馴染ませてから炒めると、火の通りが早くなり、変色防止にもなりますよ。
肉や魚は下準備と焼き方にコツあり!
肉や魚を焼く前の下準備で大切なのは、塩をふって、しばらく放置することです。この時に身の表面から浮き出てくる水分は、特有の生臭さや雑味の原因となり、食材本来のおいしさを損なわせてしまいます。余分な水分をペーパータオルでしっかり拭き取って、臭みや雑味を抑えることがおいしさの秘訣です。
肉や魚を焼いた時に出る水分は、うま味成分たっぷりの肉汁が主です。焼く際は、なるべく低温で調理し、余分な水分の流出を避けましょう。細胞繊維の収縮を抑える低温調理なら、ジューシーに味わうことができます。
4種のキノコとトマトのコク旨ハッシュドビーフ
市販のルーやデミグラスソースなどがなくても、中濃ソースやウスターソースでおいしくできます!数種類の果物や野菜が熟成されたソースにトマトが加わることで、より深みのある味わいに。さらに、バターやトマトペースト、ハチミツを使うことでコク旨に仕上がります。
●おいしさをアップさせるためのひと手間
タマネギは電子レンジでチンして水分を飛ばすことにより、辛味が消え、うま味がぐ~んとアップしますよ。
●下準備のコツ
牛肉は食べやすい大きさに切り、塩(小さじ1/3)をふりかけて3分間放置。肉から出てきた余分な水分をペーパーで拭き取り、軽く塩とコショウをふって馴染ませておく。
材料(3人分)
作り方
やわらか鶏むね肉と2種のキャベツのコールスローサラダ
高タンパクで低脂肪の鶏むね肉には、イミダゾールジペプチドという成分が豊富に含まれ、筋肉に溜まっている疲労物質の乳酸を効率よく取り除いてくれます。肉体疲労だけではなく、精神疲労にも効果があると言われ、クエン酸を含んだ食材と一緒に摂取することにより、疲労回復効果が高まります。今回はお酢を使っていますが、レモンなどの柑橘類でも代用できます。
●おいしさをアップさせるためのひと手間
鶏むね肉にきび糖を馴染ませておけば、パサつきのないジューシーな味わいになります。
●下準備のコツ
鶏むね肉の両面をフォークで突いて塩(小さじ1/2)を全体にふり、5分ほど置いて余分な水分を拭き取ります。その鶏肉を保存袋に入れ、混ぜ合わせた「A」を加え、よく手揉みして、30分以上馴染ませます。
材料(2人分)
作り方
なめらかでコク旨!やみつきポテトサラダ
ジャガイモの栄養素をムダにしないためにもゆで汁は捨てずに火加減を調整しながら煮詰めていくのがポイント。ジャガイモを溶かすように煮詰めていけば、本来のおいしさと栄養素を損なうことなく、バランスの優れたクリーミーでおいしいマッシュポテトに仕上がりますよ。
●おいしさをアップさせるためのひと手間
マッシュポテトにバターと牛乳を加えれば、まろやかでコクある旨さにグレードアップします。
●下準備のコツ
タマネギはみじん切りにして、電子レンジ(500W)で1分加熱することで、辛味を抑え、甘味をアップさせます。加熱後は粗熱が取れるまで冷まします。キュウリは塩(小さじ1/4)をまぶし、板ずりをして3分ほど置いてから、軽く水洗いして、青臭さや苦味を取り除いたら、薄く輪切りにして軽く水分を絞り出します。
材料(5~6人分)
作り方
トマトとナスの豚肉生姜焼き
抗酸化作用があるトマトのリコピンとナスのアントシアニン(ナスニン)に、らっきょうやタマネギに含まれるアリシンが加わることで、豚肉に豊富に含まれるビタミンB1の吸収を高め、疲労回復に効果を発揮する滋養たっぷりのメニュー。また、コンブやトマトに多く含まれるグルタミン酸は豚肉が持つイノシン酸との相乗効果により、一層のおいしさを引き立ててくれます。甘酢らっきょうがほのかに香る新感覚の生姜焼きです。
●おいしさをアップさせるためのひと手間
火が通るまで、じっくり弱火で焼くことが豚肉をやわらかく仕上げるポイントです。
●下準備のコツ
常温に戻した豚肉をバットにのせ、塩(小さじ1/3)をふり、3分ほど置きます。肉から出てきた余分な水分を拭き取り、軽く塩コショウをして 食材の下ごしらえが終えるまで馴染ませます。
材料(2人分)
作り方
毎日の食事は、私たちが健康で楽しく充実した生活を送るために欠かせないものです。食事の取り方によっては、心とカラダの状態に変化をもたらすこともあります。だからこそ毎日食べる「ふつうごはん」が大切なのです。食材の特性を活かした、ヘルシーでおいしい味わいを自宅で楽しんでみてはいかがでしょう。