「あの人に食べ応えのある料理を作ってあげたい」という想いがあると、ついつい張り切ってしまいます。ただ、忙しい毎日の中では、じっくりと時間を取って料理をすることはなかなか難しいかもしれません。
特に、仕事をしながら子育てもしているワーキングマザーや小さいお子さんがいる専業主婦、会社員の方ですと、「子育てしながら…」「働きながら…」になってしまい、美味しいものを作りたい気持ちはあるものの、ときに手軽なものになってしまうかもしれません。
そんな悩みを解決するためには、まずは「料理の基本」を改めて知ることをおすすめします。
「料理の基本」とは、食材そのものや、食材の量り方、切り方、味のつけ方、素材の活かし方、食材の旬を知ることなど、料理の基礎知識全般を指します。
例えば、正しい出汁の取り方も「料理の基本」のひとつです。出汁のとり方、保存方法がわかったら、あらかじめ出汁を保存し、作り置きしておいたカット野菜や魚のつみれを掛け合わせることで、短時間で栄養たっぷりのお味噌汁ができます。適切な段取りで料理ができるようになるので、時間も掛からなくなります。
「料理の基本」は、意識をしなくても身についているものも沢山ありますが、改めて学ぶことで、献立を作り、適切な段取りで料理し、その食材に一番合った食べ方で調理できるようになります。その結果、今までと同じ食材を使っていても、家族が喜んでくれるようなプロの味へ近づけ、さらに時短への近道になるでしょう。
「料理の基本を知る」といっても、料理を日常的に行っているのに、今更習う必要はあるのでしょうか。そもそも改めて考えてみると、私たちは意識せずとも、料理を長年学んでいます。
小学校の家庭科の授業で、包丁の持ち方、お味噌汁やごはんの炊き方を学ぶことにはじまり、高校生まで学校での授業を受けた方もいるでしょう。料理があまり得意ではないという人でも、ちょっとしたおつまみを作ったり、トーストを作ったりと何らかのカタチで子どものころから料理に触れる機会は多いものです。
けれど、それほど毎日に密着している料理だからこそ、改めて基本を学び直すことで、旬の食材、用途に合わせた材料の切り方、仕込み方、調味料の使い方を知り、より美味しい料理を作ることができるようになるのです。
また、料理の基本には材料の下ごしらえの方法も含まれているので、学ぶことで計画的に調理をする癖をつけることができます。その日の献立に合わせて、調理手順を考えて使えるようになることで、今までよりも要領よく調理ができ、時短することができるようになります。
では、どのように「料理の基本」を学ぶことがベストなのでしょうか。
料理の基本を学ぶには、いろいろな方法があります。それぞれの特徴を知って、あなたにぴったりの方法で学びましょう。
1.インスタグラム・ブログ
《メリット》
・手軽
・おしゃれ
・無料
《デメリット》
・調理方法がわかりにくいことがある
・素人が提供していることがある
2.レシピサイト
《メリット》
・無料
・材料やジャンルから選択が可能
《デメリット》
・情報が多すぎて何が正しいのかわかりにくい
3.料理本・料理雑誌
《メリット》
・目的に合ったものがピンポイントで選択できる
《デメリット》
・料理の工程がわかりにくいことがある
4.料理教室
《メリット》
・作りながら学べる
《デメリット》
・時間の融通がきかない
・教室が遠い場合がある
5.通信講座
《メリット》
・好きな時に学べる
《デメリット》
・継続できるか不安
学び方には、それぞれメリット・デメリットがあります。ワーキングマザーや専業主婦、会社員などのライフスタイルや、自分自身の性格などを考慮し、最適なものを見つけてください。あなたにぴったりの方法で一生ものの褒められスキルを手に入れて、自分をアップグレードしましょう。
「料理の基本」を学んだら、美味しい料理をぱぱっと作ることもできるでしょう。
ただ、そのためには普段の生活の中での工夫が欠かせません。ここでどんな工夫をしているのか、30代女性3名の1日の過ごし方を見てみましょう。まずは、専業主婦のAさんの例です。
■モデルケース1:Aさん(専業主婦の場合)
(家族構成:ご主人(39歳)とAさん(35歳)、長男3歳、次男1歳の4人家族)
6時 | 起床、朝食準備(出汁から取ると、味わい深いお味噌汁に) |
7時 | ご主人を送り出し、子どもたちに朝食を食べさせる |
8時から12時 | 家事全般、その間にも次男がぐずついたり、長男が家中を走り回ったりでてんてこ舞い |
12時から13時 | 昼食を子どもたちに食べさせる (野菜も工夫次第で子どもの好物に! ) |
13時から16時 | 近所の子どもたちやママ友と公園で遊ぶ |
16時から18時 | スーパーで買い物 |
18時から19時 | ご飯の支度、子どもをお風呂に |
19時から21時 | 夕食、家事全般をしながら子どもを寝かしつける(明日の食事の下準備も! ) |
21時から23時 | ご主人帰宅、お酒を飲んで帰ってきたので、消化に良いものを準備 |
23時 | 就寝 |
お子さんの面倒を見ることや家事に多くの時間が割かれていて、なかなか他のことには時間が取れない様子がよくわかりますね。そんな中でも、子どもたちに栄養たっぷりの食べやすい料理を作ってあげたいですし、また子どもの食事とは別にご主人の分も、その日を慰労するために、美味しくて満足感のあるものを用意したい。
このように、1日何食分も作らなくてはならない状態で役立つのが、料理の基本です。「お米のとぎ方」「出汁の取り方」「肉の下準備」や「野菜の切り方」などの正しい知識を知っておくことで、効率よく、美味しい料理を準備できます。
また美味しい料理を作るのに、意外と大事なのが材料の切り方。その工夫だけで、感じる味が変わってしまうこともあるんです。
例えば、たまねぎの場合は、繊維に対して直角にカットするだけで、やわらかくなり旨味が増します。
さらに、胃の消化がよいレシピを知っておくと、呑んで帰ってきたご主人が感動するメニューをさくっと作ることができ、家庭円満に役立つという嬉しいこともあるでしょう。
■モデルケース2: Bさん(ワーキングマザーの場合)
(家族構成:ご主人(38歳)とBさん(37歳)、長女4歳の3人家族)
Bさんは、4歳のお子さんを育てながらもフルタイムで出版社に勤めているワーキングマザーです。ある1日のタイムスケジュールを見てみましょう。
6時 | 起床、朝食とお弁当の準備(夜のおかずの準備も!) |
8時 | 子どもを保育園へ送り出し、出勤 |
9時から12時 | 出社、業務時間(ミーティング中心) |
12時から13時 | 持参したお弁当でランチタイム |
13時から17時 | 業務時間(取材や執筆が主な仕事。周囲のフォローも欠かしません!) |
17時 | 退社、子どもをお迎え、子どもの食事(子どもがぐずらないようにストック料理を活用して時短) |
20時から22時 | ご主人と夕ご飯、家事全般、子どもを寝かしつける(明日の食事の下準備も) |
23時 | 就寝 |
一息つく暇もないほどのスケジュールですが、多忙な中でも、食事は全て手作りで、家族も大満足とのこと。どうしてそんなことができるのでしょうか。その答えは、ぱぱっと料理を作るための工夫をしているから。
「冷凍」「下ごしらえ」「ストック料理」をフル活用して、上記のタイムスケジュールの20時から22時の間になんと翌日の3食分を作り、温めるだけの状態にしているそうです。
時短と言っても手抜きをすることを前提としたテクニックでは、味で満足出来ないかもしれません。しかし、例えば「下ごしらえ」に必要な「いちょう切り」や「小口切り」といった料理に合わせた食材の切り方や素材そのもののうま味や甘味の活かし方など「料理の基本」を習得しておくと、家族みんなが満足する栄養たっぷりの料理を短時間で作ることができます。「はじめての家庭料理講座」では、時間や手間を節約しつつ、おいしい料理を作るコツを学べます。
子育て中だからこそ、短い時間の中でも栄養価が高く家族に喜ばれる料理をしたい。食事から家族を元気にする方法を学べる「食育実践プランナー講座」は、そうした方の役に立つでしょう。
最後に、Cさんです。Cさんは今年30歳になったばかりで、急成長中のIT企業に勤めています。多忙な生活にも関わらず、驚くことに3食全て自炊とのことです。
■モデルケース3: Cさん(一人暮らしの会社員の場合)
(家族構成:1人暮らし30歳)
8時 | 起床、野菜中心の朝食とお弁当準備 朝はゆっくり! |
9時から13時 | 出社、業務時間 |
13時から14時 | 野菜たっぷりの昼食(休憩室で同僚と旬の野菜中心のお弁当を食べます) |
14時から22時 | 業務に集中! (気分転換に、手作りケーキを同僚とシェアすることも) |
22時から23時 | 帰宅、お風呂 |
23時から0時 | 野菜中心のおつまみとお酒を嗜みつつ、DVD鑑賞 (おつまみは、土日にまとめて作ったもの! ) |
0時 | 就寝 |
ハードワークにも関わらず、3食はもちろん同僚とシェアするおやつまで作って、健康的な生活を送っています。野菜中心の手作り料理で、寝不足や疲れが溜まるということがあっても、1日で改善してパワフルに過ごせているそう。
Cさんの料理のコツは、「旬の野菜を使うこと」です。旬の野菜は、栄養価もたっぷりで味も濃く、体調改善にもつながります。そしてここでも、料理の基本の知識が生きてきます。
現代では、1年を通して欲しい素材を手に入れることができますが、旬の食材を味わう、つまりは季節ものを知るということを意識してみてください。「料理の基本」の一つである「旬の食材」を知っておくことで、寝不足や疲れの回復に悩むことはありません。
このように、「料理の基本」を知ることで、家族に喜ばれ、人生がより楽しくなります。ここまでで紹介したような「料理の基本」を学んだら、さらに次のステップに進んで料理の世界を広げてみましょう。
例えば、オーガニック野菜や安全なお肉など、素材にこだわることも一つです。珍しい食材をお取り寄せしてみたり、野菜を自分で育ててみたりと、たとえ一つであろうとその道に長けたプロというのは強いものです。
また、ジャンルにこだわるというのもありです。和食やイタリアン、フレンチや中華など自分が極めたい料理をとことん研究してみましょう。自分が好きな料理や得意料理から入ってもよいでしょう。「ミートパスタなら何パターンでも作れる」「天ぷらを作るなら、私に何でも聞いて!」というのも、きっと自分の誇りになるでしょう。
おいしい料理を効率的に作れるようになれば、友人・お客さんなどより多くの人に食べてもらい、日々の生活を彩ることができます。手作りケーキでのパーティー、ちょっとしたお使い物にクッキーを…なんていうのもよいものです!
さらには、雑誌への寄稿やブログでの発信など、料理を通して自己実現することもできます。
食べることは人生の基本です。そして、料理は誰かのために作ると、さらに楽しいものになります。そんな「料理の基本」を一度学んでおくと、一生モノのスキルになるということを知っていただけたのではないでしょうか。その基本を今のうちにしっかり学び直してみませんか?