……整理収納アドバイザー・Rinさん
ひとり娘の自立をきっかけに老前整理を意識するようになり、整理収納に目覚めたRinさん。現在は介護の仕事を続けながら、整理収納アドバイザーとしてセミナーを開いたり本を出版したりと、活躍の幅を広げています。
……片付けられないブロガー・いけだいけみさん
5年ほど勤めた会社を思いつきで辞めてしまい、何かしたいと思いつつ、何もしないままダラダラと生活。適当に過ぎていく毎日を、漫画やイラストで綴っているエッセイブログが人気です。
一見、対照的なおふたりですが、なにやら共通点があるようで……。
整理収納アドバイザー1級……。Rinさん、すごいですね!家とかめちゃくちゃキレイに片付いてそう。私はズボラだから、そんなの絶対無理だなぁ。
そんなことないですよ!私も整理収納アドバイザーの資格を取る前は、クローゼットはぎゅうぎゅうに詰まっていましたし、面倒なことが嫌いでズボラだったんです。ロボット掃除機が発売されると同時に即買いしたくらいですし。でも、買ってみたものの、お手入れがすごく面倒で……イライラして、使うのやめちゃいました(笑)。
私も「ロボット掃除機がほしい」と思っていた時があって、それをブログに書いたら、「ロボット掃除機はお手入れが大変だよ」と教えてくれた方がいたので、やめました(笑)。
一緒ですね。
ほどほどに片付いている状態で生活できれば、まぁいいんですけど……最近はキッチンがすごく、ぐちゃぐちゃなのが悩みなんです。
片付けって、面倒くさいですよね。でも、結婚、出産など、ライフステージが変わる時や、新しい年を迎える節目の時など、必ず物と向き合う機会があると思います。その時が片付けのチャンスです!どうしてもやる気が出ないなら、いろいろと考える前に、まずは体を動かしてみましょう。体を動かすと、頭の中も整理されていきます。自分が必要な物と必要じゃない物が選べるようになってくるんです。頭で考えてばかりいてはダメなんですよ。
そうですよね。まずは動かないとですよね。
はい!そして片付けをする時の基本は、「分ける」「手放す」「納める」の3ステップ。この3ステップで行えば、誰でも簡単に片付けられますよ。
「分ける」「手放す」「納める」の3ステップ……?
「分ける」「手放す」「納める」の3ステップは、だいたいこんな感じです。
なるほど、片付けも3つのステップに分けると分かりやすいですね。
我が家は、とくにキッチンがすごくぐちゃぐちゃなんですよね。
なるほど……。私の経験上、キッチンが散らかっている場合、そこにある物のうち実際に使っている物は2割くらいしかない、というケースがほとんどです。使っていない物を大量にしまい込み、なおかつ使っている物は出しっぱなしにしていませんか?思い当たる場合は、収納スペース以上に物があるのかもしれません。
うっ……そうかも。我が家のキッチンはいろいろな調味料があって、結構ごちゃついています。散らかっているなと思っても、ついつい見て見ないふりをしてしまいますね……。
見ないふりはダメですよ(笑)。「いつか使おう」としまい込んでいる物は、結局使わない場合が多いんです。過去1年間で1回も使わなかった物は「なくてもいい物」ですから、潔く手放しましょう。そして、物を手放す際は、その買い物が失敗だったことを認めて、二度と無駄な買い物をしないように、しっかりと反省すること。それだけで、無駄に物が増えるのを、自然とコントロールできるようになるはずです。
なるほど、しっかりと反省します……。
使っている物だけがあるキッチンにするために、機械的に仕分けしていきましょう。手元に残しておくのは、使っているか、愛着がある物だけにします。大事な物まで捨てる必要はありませんが、使っていない物、愛着がない物は、潔く捨ててしまいましょう。
中途半端はダメなんですね。でも物を捨てるのって、ちょっと抵抗があるんですよね。
捨てることに抵抗のある人は、無理してゴミにする必要はありません。リサイクルに出したり、友だちにあげたりして、好みの方法で手放せたらOKです。また捨てる場合も、ゴミの分別の仕方で迷って面倒になり、捨てるのを断念してしまうケースもあるので、片付ける時は「ゴミの分別表」を用意しておくといいですね。
それならできそうです!
ついやってしまいがちなのですが、物を減らす前に収納グッズを買ってしまうのはタブーです。まずは、先ほどご紹介した3ステップのうち、「分ける」「手放す」をしっかりクリアしましょう。そして、物を「納める」段階になったら、収納しようと考えている場所に仮置きしてみます。問題がなければ、その場所にあった収納グッズを買いに行きましょう。収納グッズありきで収納を始めてしまうとパズルゲームのようになって、最終的に物が取り出しにくくなってしまいます。
我が家もまさにパズルゲームのよう(笑)。
それから、例えば私は身長が高いので、収納の上段に毎日使う物を入れて、あまり使わない物や手放すか迷っている物は下段に入れています。自分にとってどこが一番取り出しやすい場所なのかを見極めて、毎日使う物は一番取り出しやすい場所に入れていきましょう。
なるほど。私なら、よく使う朝晩の食器を中段に、大皿や丼をその下の段に入れるといいのかも。
見た目よりも使い勝手重視で収納していくと、ワンステップで物が取り出せるようになり、家事そのものが楽しめるようになります。あと、いけださんの家は調味料が多いようなので、蓋に調味料の名前の頭文字を書いておくと、ラベルを見なくてもさっと取れるし、取り間違いもしないので便利ですよ。日頃から、生活の手間を少しでも減らすための快適な手段を見つけておくことも大切です。
うんうん。
物と向き合って、選別して、時にはしっかり反省もする……その過程が一つでも欠けると、片付いた部屋を維持するのは難しくなります。そういう意味では、人に片付けてもらうことも、痛みを感じないので、あまり良くないですね。自分で片付けることが大切だと思います。
実は、我が家にはヤカンも炊飯器もホットプレートもありません。少量のお湯なら電気ポットで沸かせますし、ご飯も炊飯器より鍋で炊いた方が早くて美味しい。ホットプレートが壊れた時も、もともと持っていた取っ手が取れるフライパンとカセットコンロで代用ができ、なくても十分でした。
確かに、「ないと生活に支障をきたす物」って、実はそんなに多くはないですよね。
「あって便利な物」って、なくてもなんとかなることが多いです。それに、どんなに便利な物でも、洗ったり、メンテナンスしたりと手間がかかると、いつか使わなくなってしまうこともありますしね……。だからこそ、物を安易に買わないことも大切です。
整理するのも大切だけど、その前に物を安易に増やさないことが大切……。すごく勉強になりました。
Rinさんのアドバイスを元に、早速片付けを実践した我が家のキッチンはこちらです!いかがですか?
素晴らしいですね。一見してすっきりしていますし、格段に使いやすくなっていると思います。片付けが苦手な人ほど、物と向き合うことが大切です。そして、使っていない物は手放し、使っている物は使う人の動作や動線にあった場所に収納していきましょう。この「分ける」「手放す」「納める」の3ステップをルーティン化させること。一度仕組みを作ってしまえば、後は楽ちんですよ。
これからは、見た目の美しさだけにこだわった片付けではなく、教わった3ステップで使い勝手のいい片付けを心がけてみます!