今回、平岡さんのお話を伺うために訪れたのは、埼玉県の川越市で開催された「川越コーヒーフェスティバル」。実は平岡さん、月に1度ほど、芸人仲間とともにイベントカフェ「SACHIOPIA COFFEE」を営業し、この「川越コーヒーフェスティバル」にも出店していたのです。大盛況の合間を縫って、平岡さんにコーヒーコミュニケーションについてのお話を伺いました。
「やっぱり、コーヒーがあると会話がしやすいですよね。例えば、北欧は世界的に見ても一人あたりのコーヒー消費量が多いんですけど、日本で言うところのタバコ休憩みたいに、コーヒー休憩があるんですよ。
仕事中に『コーヒー飲みに行こう』って相手に声を掛けて、社内のコーヒーブースで、コーヒー片手に仕事の打ち合わせを行ったりするそうです」(コーヒールンバ・平岡さん)
やはり、コーヒーには人間関係を円滑にする効果があるのでしょうか?
「コーヒーの香り成分にはリラックス効果があると言われていますし、コーヒーを飲みながらお願い事をすると相手がOKしてくれる確率が約2倍に上がるという研究結果もありますからね。仕事で大事な商談がある時や好きな人に告白する時なんかは、ぜひコーヒーを用意してみてください」(コーヒールンバ・平岡さん)
実際、杏林大学の研究でも、「多くの種類のコーヒーの香りには、リラックス効果がある」と結論付けられているそうです。もちろん平岡さん自身も、コーヒーをコミュニケーションツールとして役立てているそうです。
「お笑いライブの楽屋で、先輩にコーヒーを淹れたりしていますよ。コーヒーがあればそれだけで喋りやすいですし、コーヒー自体が話のきっかけにもなりますから。もちろん、コーヒーが苦手な方もいらっしゃいますけど、それならそれで『こういうコーヒーだったら飲めるかもしれませんよ』なんて提案もできますしね」(コーヒールンバ・平岡さん)
コーヒーでコミュニケーションを図るうえで知っておきたい知識を、平岡さんに教えていただきました。
「コーヒーは種類によって味がかなり違いますから、どのコーヒーがどんな味かを知っているだけでも、コミュニケーションには役立ちますよ。例えば、ブラジルなどの南米系のコーヒーやグァテマラなどの中米系のコーヒーは、苦みと酸味のバランスが取れていて飲みやすいものが多いんです。一方、エチオピアなどのアフリカ系のコーヒーは、コーヒーらしからぬ華やかでフローラルな風味のものが多い。インドネシアのコーヒーは、ハーブっぽい独特の風味があって通好み。このように、コーヒーは種類によって結構味が違うものなんです」(コーヒールンバ・平岡さん)
確かに、こういった「豆知識」があると、コーヒーを飲みながらの会話のとっかかりになりそうですね。ところで、一口にコーヒーを楽しむといっても、その場所はカフェであったり、自宅であったり、オフィスであったりと、シチュエーションはさまざま。シチュエーション別で使える、コーヒーコミュニケーションのコツも伺いました。
「まずはカフェの場合ですね。カフェに行ってメニューを見ても、どのコーヒーがどういう味か分からない人も多いと思いますが、コーヒーの知識があれば『このエチオピアのコーヒーは実はコーヒーっぽくなくて、苦手な人でも飲みやすいよ』とアドバイスしたりできますよね。そこで『俺はいつものブラジルのコーヒーかな』なんて言ったら、ちょっとかっこいい(笑)。『こっちのコーヒーもおいしいから飲んでみなよ』なんて、飲み比べて盛り上がることもできますしね。
ご自宅でお客さまをもてなす時にも、『今日のコーヒーはこういう豆なんだよ』と一言添えられれば、そこから会話を広げることもできますよね。カフェでもご自宅でも、コーヒーの知識が少しあるだけで、会話が弾むと思います」(コーヒールンバ・平岡さん)
確かに会話が弾みそうですね。それでは、シチュエーションがオフィスの場合はどうでしょう?
「オフィスだと、缶コーヒーでコーヒーブレイクということが多いと思います。最近の缶コーヒーって、メーカーがすごくこだわっていて本当においしいんですよ。焙煎方法だったり、『アラビカ種』『ブルボン種』といった豆の品種だったり……。オフィスの場合は、そういった缶コーヒーのトリビア的な話題が、コミュニケーションの糸口になると思います。また、缶コーヒーの奥深さを感じながら飲めば、毎日の休憩時間がちょっと楽しいものになるんじゃないでしょうか」(コーヒールンバ・平岡さん)
ここで、平岡さんにコーヒーを淹れていただきました。おいしいコーヒーを淹れるためのコツも伺ってみましょう。
平岡さんはフランクな会話を交えながら、「どんな味が好みですか?」「すっきりしたタイプとコクがあるタイプ、どちらが好きですか?」などとヒアリング。おすすめは、平岡さんオリジナルブレンドの「OMEGATAKAIブレンド」です。
ここから、平岡さんのこだわりが詰まったドリップが始まります……!
「まずは、ペーパーをドリッパーにセットした状態で湯通しをします。この手順は、やる人とやらない人がいるんですが、ペーパーの紙臭さを洗い落として、同時にドリッパーとサーバーを温めることもできるので、僕はやるようにしています」(コーヒールンバ・平岡さん)
「1杯分の豆の量は18g。最初は30ccぐらいお湯を注いで、30秒間蒸らします。豆の中にはガスが入っているので、蒸らしによってガスを抜かないと、おいしくならないからです。ただ、この豆の場合はこれだけだとガスが抜けきらないので、ちょびちょびっとお湯を注いで、ガスを抜いていくのがポイントです。90秒ぐらいやると泡があまり出てこなくなるので、そこから本格的にドリップしていきます」(コーヒールンバ・平岡さん)
「次に、お湯をぐるっと1周分くらい注ぎます。その次は1周半分くらい、その次は2周分くらいと、少しずつ注ぐ量を増やしていきましょう。感覚的に、『豆に注いでいることがばれないように』注ぐ量を増やしていくことで、まろやかな甘味が出てきます。
でも、ずっとこれだと逆にえぐみが出てきちゃいますので、最後はドーンと一気に注ぎましょう。そうすることで、甘味がありつつ後味がクリアなコーヒーになるんですよ。目安としては、18gの豆に対してお湯は200㏄くらい。あとは、お好みで濃くしたり薄くしたりしてください」(コーヒールンバ・平岡さん)
平岡さんが淹れたコーヒーを、さっそくいただきましょう!苦みと酸味のバランスがとれていて、どことなくオレンジのようなフルーティさがあり、後味もスッキリ……!さすが平岡さん、コーヒーコミュニケーションを実践しながら、見事においしいコーヒーを振舞ってくださいました。
コーヒーは、突き詰めるほど味わい深くなる、奥の深い飲み物です。平岡さんによると、コーヒー通の間では、かなりハイレベルなコミュニケーションが行われているとか。
「コーヒーって、詰まるところ豆と水じゃないですか。ですから、コーヒー通の中では、最近は水にこだわる方も増えてきていますね。硬水か軟水かというレベルを超えて、マグネシウムを含んだ水はどうだ、硬度をゼロにした水はどうだ……なんてことを話し合っていたりします。
また、最近のコーヒー業界でトレンドになっているのが、『カフェラテを作る時に、何%解凍したミルクを使うか』という話。牛乳って、凍らせてから解凍すると、牛乳の成分だけが先に溶け出すんですよね。溶け具合で牛乳の濃さが変わってくるので、『何%解凍した時の、どのくらいの濃さの牛乳がベストか』というのを、コーヒーマニアたちは模索していますね。『この前のコーヒーの大会で、アイツ何%解凍の牛乳を使ってたよ』なんて会話をしているんですよ」(コーヒールンバ・平岡さん)
コーヒー通の間では、かなりディープでマニアックなやりとりが行われているんですね……!
「ただ、コミュニケーションを重視するなら、コーヒーの話ばかりしないのも重要です。僕はお店に立つ時は、コーヒーの話はしないで、『どこから来たの?』『普段何しているの?』というふうに、できるだけお客さんの話を聞くようにもしていますね。
もちろん、コーヒーに詳しい人同士ならディープな話もいいんですが、詳しくない人からしたら、いきなりマニアックな話をされたら身構えちゃうじゃないですか。そうなるとコミュニケーションも難しくなりますし、何より緊張していたら、おいしいコーヒーもおいしくなくなっちゃいますから、もったいないんですよね。コーヒーの話も、相手を見て、適度にするのがポイントです」(コーヒールンバ・平岡さん)
それでは最後に、平岡さんに教えていただいたコーヒーコミュニケーションのコツをおさらいしましょう。
私たちが普段何気なく口にしているコーヒーは、実はさまざまなコミュニケーションの可能性を秘めた存在のようです。あなたもこの機会にコーヒーについて学び、コーヒーブレイクをより楽しく、濃密なものにしてみてはいかがでしょうか。
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