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2021.04.08

WEBを活用している行政書士に聞いた!資格発信で仕事の幅が広がり、もっと楽しく

WEBを活用している行政書士に聞いた!資格発信で仕事の幅が広がり、もっと楽しく

せっかく取得した資格。日々の仕事や日常生活以外にも、活用する方法はあるのでしょうか。行政書士事務所を運営しながら、キッズチア教室を法人化し、SNS等で多岐にわたる活動を発信し続ける萩山香里さんから、資格と自分の強みを発信することで、仕事や趣味の幅を楽しく広げるコツを教えていただきます。

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着替えることで、行政書士とチアをスイッチ

Facebook、ブログ、ホームページなど、さまざまなメディアで自身の幅広い活動を発信されている萩山さん。最初に、行政書士になったきっかけを伺いました。

「大学卒業後一般企業に就職したものの、出産後もこの会社で働き続けるというイメージがわきませんでした。そこで、何か手に職をつけたいと思ったんです。父が不動産関係の仕事で弟が建設業のため、家庭内のニーズもあって行政書士資格を取得することにしました。法学部を卒業したわけではないので、1というよりゼロから法律の勉強を始めたんですが、これが自分にストンとはまって、知らない知識を習得することが楽しくて!

資格取得後は司法書士事務所で補助業務をしながら、学問としての法律知識をさらに深め、面白さを自分以外の人にも広めたいと、資格スクールの講師をしたり、近畿大学で民法の講師をしたりしました。お堅いと思われがちなこの業界で女性の講師は珍しく、広報的な役割も含めさまざまな経験をさせていただきました。

一方、プライベートではチアリーディングに励んでいました。学生時代は同志社大学チアリーダー部に所属し、卒業後は社会人Xリーグの専属チアリーダーとして活動していました。平日は役所回り、土日はスタジアムで踊る、というなかなかに二面性のある生活をしていましたね。カッチリしたスーツで過ごすお仕事モードを、華やかなユニフォームに着替えることでチアモードにスイッチしていました。『チアリーダー行政書士』というタイトルを今もずっとSNSでつけていますが、もう何年も前から、私の生活そのものが『チアリーダー』と『行政書士』の2つの軸で成り立っています」(萩山さん)

行政書士って、どんなことをするの?

行政書士って、どんなことをするの?

具体的に行政書士としての萩山さんのお仕事内容を伺いました。

「主に、行政官庁に提出する書類作成が仕事です。不動産、建築、自動車や飲食店等の登録や許認可、警察署への申請など。取り扱う書類の種類は1万種以上と多岐にわたります。

また、権利や義務の発生するもの、例えば相続や遺言、離婚に関する公正証書や内容証明の作成などもできます。弁護士のお仕事と似ていると思われますが、より安価に予防法務※としての書類作成のお手伝いや代行をできる点が特長です。とはいえ、案件が紛争になってしまうと、行政書士は携われず、弁護士のお仕事になります。

さらに、会計帳簿の作成も行政書士が行えますので、税理士とも似ています。ただ、実際に税金申告を行うのは税理士でないとできません。

行政書士という仕事は、弁護士や税理士、司法書士とタッグを組んで仕事をしているというイメージを持っていただくといいかもしれませんね。私個人としては、さまざまな他士業の先生方とタッグを組んでの企業法務、具体的には法人設立、契約書作成、クラウド会計記帳作成代行などを得意分野としています」(萩山さん)

※紛争を事前に防ぐための法務

以前はオフィス街に事務所を開設していたものの、今は自宅兼事務所で時短勤務を取り入れている萩山さん。3人の子育てをしながら仕事をするために工夫を重ねてきたとか。18時には必ず仕事を終わらせ、打ち合わせは子どもが寝た22 時ごろにオンラインで設定するなど、子どもや家族と一緒に過ごせる時間を侵されない仕事環境の整備、システム作りをしているそうです。

「急な子どもの体調不良などの不測の事態に備え、バックオフィスをクラウド化することで情報・書類を共有するなど、ママとして、またママ同士でも仕事しやすい環境作りを推し進めてきました。コロナ禍で注目されるだいぶ前から、システム化、簡素化、リモート化などを、自然と取り入れていましたね。

そうしてノウハウを培っていった結果、大阪府などからのワークライフバランスに関する講演の依頼にも恵まれました。そんな中、今や全国展開することになった「ママの夢サミット」の『産後の社会復帰を応援し、自分の得意なことや好きなことで起業したいというママさんたちがもっと輝けるように』というビジョンに賛同してその創設に携わり、起業に向けてのバックアップもさせていただいております。

私自身もさまざまな方に後押ししていただいたので、これから羽ばたくママさんたちの後押しをしたいです。出会ったご縁を大切にし、チャンスを断らずにありがたく受けることで、すべてが今につながっています」(萩山さん)

行政書士の知見から、公民館のチア教室を法人化

行政書士の知見から、公民館のチア教室を法人化

行政書士ならではの視点から事業化や法人化のタイミングを見極め、今や関西最大級となった「一般社団法人日本キッズチア連盟ドリームスターズ」。作ったきっかけは、地域の方からのリクエストだったそう。

「出産でチアの現役を引退した後、娘が幼稚園年中の時に、地域の公民館でお母さん先生としてお声がけをいただきました。それをきっかけに、ワンコインで通えるチア教室を定期的にスタートしたんです。チアのフォーメーションが組める最低人数の5人くらい集まればいいなと思っていたところ、気づいたら30~40人にもなっていました。

さらに、他の地域でも教室を開いてほしいというリクエストがあり、2020年現在では約650人所属の大きな集団になりました。2015年には事業化、2018年には組織の規模や売り上げから判断しさらに法人化もしています。こだわりは、『本物のチアスピリットを教える』『大会で勝つだけの子ではなく、地域や学校でもリーダーシップをとれる子を育てたい』ということ。そのため、指導者も同じ志を持つ、チアリーダー経験者で固めています。『子どもたちの主体性を育てたい』という意識が、今の時代のニーズに合っていたのでしょう」(萩山さん)

SNSで注目を集めることで、仕事の幅と仲間の輪が広がる

SNSで注目を集めることで、仕事の幅と仲間の輪が広がる

これまでの仕事や趣味の何もかもが大事、なくてはならないものと話す萩山さん。さまざまな仕事やタスクを自分で管理しやすくできたからこそ、すべてを大事にできているのかもしれません。

「今現在の私の仕事の比重は、キッズチア7割、行政書士3割です。3人の母という立場も含め、どれもすべて自分にとって欠かせないので、あえて比重をフレキシブルにしています。その人のキャパシティや時間に応じて、比重は変わって当然なので、それに見合うシステムを自分で作っておきましょう。

私の場合、力を入れていないのが、宣伝や広告です。『チアリーダー行政書士』という特別な肩書のおかげで、まずは興味を持っていただけています。そしてコツコツと投稿していた情報が財産になっていて、行政書士のイベントやセミナーを、SNS等で告知するだけで満席になるんです。キッズチアも広告を出していません。サイトのお問い合わせフォームやSNSからのリンクなど、WEBからのアプローチがほとんどです。

また、SNSをはじめとしてオンラインでの交流に慣れていたので、コロナによる自粛期間中もすぐにレッスンをオンラインに切り替えられました。その結果、海外にいる元NFL(アメリカンフットボールリーグ)チアリーダーの特別レッスンも可能に。また、子どもたちの生活リズムを整えて運動不足を解消するために、毎朝日替わりのインスタライブで体操もしましたね。いろいろ制限がある中でも、子どもたちの夢が広がってうれしかったです」(萩山さん)

萩山さんは、SNSで資格と自分の強みを発信することで「広告宣伝の必要性が減り、取材や講演会などの依頼が増え、同じような立場の女性からの仕事を含む相談も受けることができました」と教えてくださいました。オンライン上で発信すればするほど、仕事の幅が広がり、新しい仲間が増え、さらに今までの仲間とのつながりも強固になるのを実感しているようです。とはいえ、上手に付き合うにはルールが大事なのだとか。

「絶対にSNSに利用されないこと。SNSは利用するもので、主導権が逆になってしまうとデメリットになりかねません。SNSのために何か“映え”るようなことばかりしていると、学びや家庭が疎かになって本末転倒です。あくまでも、実生活の延長線上にSNSがあります。実生活を充実させ自分を高めること、そしてそれを発信することで、自然と楽しさや自分らしさが表現でき、結果的にフォロワーが増えるのでは、と今までの自分の経験上実感しています」(萩山さん)

自分の可能性を自分で狭めず、挑戦してみて

自分の可能性を自分で狭めず、挑戦してみて

最後に萩山さんから、日々仕事や生活で忙しい20~30代女性に向けてアドバイスをいただきました。

「『能力や経験がないから……』と、自分の可能性を自分で狭めないで。いくらでも時間を捻出する方法はあるので、自分の『好き』がうまく続けられるような仕組みをまずは考えてみてください。もし答えが見つからないのなら、上手に工夫している先輩にアドバイスを求めてもいいかもしれません」(萩山さん)

また、今から何か資格を取ろう、と挑戦することもいいことだと萩山さんは言います。

「行政書士に限らず他の士業にも言えることだと思いますが、『先輩たちが触れていない分野』はまだまだ、たくさんあります。私は好きなチアを事業として法人化することで、行政書士としての実績がひとつできました。また、母であり女性だから相談をしやすいというのも、強みのひとつです。

さらに、他士業の先生と競合していない『自分ならではのスタイルとご縁のつながり』を意識するのもいいと思います。楽しく自分の活躍の幅を広げられると思いますよ。私自身も、SNSに留まらずに新しいオウンドメディアの立ち上げというチャレンジを続ける予定です」(萩山さん)

自分自身の強みと資格の組み合わせが思いがけないオリジナリティを生んだ、萩山さんのケース。そのオンリーワンの強みが、世の中のニーズを捉えるのかもしれませんね。萩山さんのようにチャレンジを積み重ねることで実生活が充実し、オンライン上でも自然に輝けるのかもしれません。

取材・文:羽生田由香
【取材協力】
Kaorin(萩山香里)さん
Kaorin(萩山香里)さん
アイプランニング行政書士事務所代表・行政書士。一般社団法人日本キッズチア連盟ドリームスターズ代表理事。 日本で唯一のチアリーダー行政書士、踊れる法律家として、Instagramでのフォロワー数1万人超え。 ほかに、ママの夢サミット創設メンバー、ミセス日本グランプリファイナリスト、同ダンス部コーチ
 

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