今、社会では心身症やうつ病など、心の健康問題に対する関心が高まっています。メンタルヘルスケアとは、全ての人が心身健やかに、生き生きと生活できるように援助することです。つまり、心の健康管理と言えるでしょう。
メンタルヘルスケアによって自身の気持ちを上手にコントロールできるようになり、仕事上でもストレスに左右されることなく能力を発揮できます。
まだまだ理解されていないケースが多々ありますが、心の病気もれっきとした疾患です。深刻な状態になってしまわないためにも、自分自身はもちろん、社会全体で可能な限りの対策をとる必要があります。
働く人々の心身症やうつ病は、個人だけでなく社会全体の問題です。近年、不況や業績不振などで心の病を患う方は増加していると言われています。
企業は従業員がうつ病などで休職や離職をした場合、貴重な戦力を失ってしまうだけでなく、企業の社会的な信用が低下するなど、さまざまな損失を被ります。こうしたリスクを避けるために、多くの企業でメンタルヘルスケアに関する取り組みが行われているのです。
全従業員の健康レベルが引き上がれば、生産性もアップします。つまり、メンタルヘルスケアは個人にだけメリットがあるのではなく、組織全体で行えばその組織の利益増加という大きなメリットにもつながるのです。
では、企業がメンタルヘルスケアは行う際は、どのように取り組むべきでしょうか?主な施策は以下の4つです。
セルフケアは、従業員自らがストレスに気付き、自身で適切にケアする方法です。ただし、そのためにはストレスとメンタルヘルスに対する知識、および対処方法を身に付けなければなりません。
企業は全従業員に対してメンタルヘルスケアに関する情報提供や相談窓口の設置などを行って、セルフケアを促進するのが望ましいでしょう。
ラインケアは、管理監督者が従業員と積極的に接することで、心の病気の予防や早期発見につなげるための取り組みです。そのために、企業は管理監督者に対してケアに関する教育や研修、情報提供を行う必要があります。
社内の産業医や保険師、人事・労務担当者などによる職場内でのメンタルヘルスケアも有効です。専門スタッフがいることで、従業員は常に安心して悩みや不調を相談でき、企業側も対処できます。
産業カウンセラーや精神科の専門医、外部の従業員支援プログラム、地域産業保健センターなど、社外の専門機関によるケアもあります。管理監督者や人事・労務担当者の人手不足などで従業員をフォローできない場合は、社外の専門機関を活用すると良いでしょう。
心身症やうつ病などの心の不調は、誰にでも起こり得るものです。そのため、個人にとって自身のストレスに対抗し、心の健康をコントロールするために行う対処法であるメンタルヘルスケアを知ることは大変重要です。
いっぽう企業側は、メンタルヘルスケアを個人に任せきりにするのではなく、従業員の健康と職場環境を守るために社内外でバックアップ体制を整えるべき時代にきています。結果的に、その取り組みが企業全体の利益につながるのです。
メンタルヘルスケアを実践していても、ちょっとした人間関係の擦れ違いからくよくよ悩んでしまう……というのはよくあること。そんなときに役立つのが、「生活心理学」の知識です。たとえば『ストレスとつきあう』といった項目では、「ストレスとはなんなのか」ということを理解することで、ストレスを生きる力に変える方法が見つかるんだとか。
ここではそんな「生活心理学」の魅力を、 ユーキャンの「心理学入門:生活心理学講座」のテキストを監修した水口禮治先生に伺いました。