今、医療業界で急速に注目度が上がっているのが「登録販売者」の資格。ドラッグストアの店員さんの名札で、その名前を知った方も多いと思いますが、「登録販売者」とは一体どんな資格なのでしょう?
「登録販売者は2009年にできた比較的新しい資格で、薬剤師につぐ薬のスペシャリストです」と教えてくれたのは、ユーキャン「登録販売者講座」の質問回答担当講師として活躍する、薬剤師の島崎英雄さん。
「以前は、薬を売るには国家資格である『薬剤師』が必須だったのですが、薬事法の改正により『登録販売者』も販売が可能になったのです。医薬品はおおまかに第一類~第三類の3種類に分かれており、登録販売者はこのうち第二・第三類の薬を販売できます」(島崎さん)
第一類の薬が販売できないとはいえ、一般用医薬品のうち第二類・第三類の割合は9割以上とのことなので、登録販売者の資格があれば、ほとんどの薬を販売することができるのですね。
それでは、登録販売者は具体的にどのような仕事をするのか見ていきましょう。
「登録販売者の主な仕事は、お客様に適切な薬をアドバイスし、効能や副作用を分かりやすく説明することです。お客様によっては、『頭が痛いので風邪かと思っていたら、実は疲れによる頭痛だった』『くしゃみが続くので風邪だと思っていたら、実は花粉症だった』ということがあります。そんなとき登録販売者なら、症状を詳しく聞いて、正しい薬を提案することができるのです」(島崎さん)
その他にも、たとえば同じように見える商品でも、それぞれ成分の含有量が異なるので、症状が辛そうな人には、その人に必要な成分が多く含まれている商品をオススメする、ということもあるそう。
「そうやって自分の勧めた商品が、お客様の辛い症状を改善して、喜んでもらえた時は嬉しいですね。また、店舗では薬だけでなく、粉ミルクやシャンプー、殺虫剤など雑貨類の相談に乗ることも意外と多いんです。登録販売者は有資格者を証明する名札をつけているため、お客様にも信頼してもらえることが多く、お勧めした商品を買ってもらえる確率が高いのもやりがいになると思います」(島崎さん)
そうやってお店の売り上げにも貢献できるので、非常に達成感を感じそうですね。
登録販売者の資格を取ると、一体どんな職場で活躍できるのでしょうか?
「登録販売者の勤務先は、ドラッグストアや薬店が中心。最近はディスカウントストアやコンビニ、スーパーなどでも薬を取り扱う傾向がありますが、薬は登録販売者がいないと売ることができないので、求人は常に出ている状態です」(島崎さん)
ドラッグストアや薬店は全国に店舗があるため、自宅近辺で職場を見つけやすいのも魅力。週に何回かパートで働きたい、子育て中のママにもオススメだそうです。
気になる収入に関しては、「登録販売者の資格があると時給が100~200円高くなる所が多いようです」(島崎さん)とのこと。仮に時給が150円アップするとして、1日5時間・週3日働いたとすると、年間11万円以上の収入増になる計算になります。
さらに、島崎さんによると、資格があると自分でドラッグストアや薬店を経営する道が開けるそう。「薬を扱うお店を経営する場合、必ず登録販売者か薬剤師のどちらかが必要なのですが、自分で登録販売者の資格を持っていると、有資格者を雇う必要がないため低コストで開業できます」(島崎さん)
また、最近はネットのコスメやシャンプーの成分比較サイトが人気ですが、登録販売者の学習で得た知識があれば、サイト作りにも役立ちそう。資格があると情報の信頼度が高まるので、アクセス数が増えてサイトの広告で副収入…なんて夢も広がります。
このように登録販売者は魅力的な資格ですが、薬の勉強は難しそうな印象がありますよね。でも島崎さんによると「薬の知識だけでなく人体の仕組みも学べるので、人間の身体に興味がある人は非常に面白く勉強できます」とのこと。試験はマークシートなので比較的回答しやすく、正答率7割以上で誰でも合格できます。
そんな登録販売者合格者に好評なのが、ユーキャンの通信講座。
「効率よく合格ラインに到達してもらうために、テキストはあまり出題されない分野は思い切って省略し、出題率の高い分野に絞って編さんしています。また、バッグに入るサイズの小冊子は、移動などの隙間時間を有効活用するのに便利です。学習していて分からないことが出てきても、我々講師にメールで質問してもらえれば、丁寧に回答しますので、安心してもらえると思います」(島崎さん)
登録販売者は、地域医療を担う存在として、ドラッグストアや薬店にはなくてはならない存在。来年から「セルフメディケーション税制」が施行されることで、病院に行かずに自分で薬を買う人が増えると予想されており、有資格者のニーズはますます高まっています。
以前は登録販売者を受験するためには、学歴や実務経験の制限があったのですが、2015年から誰でも受験できるようになったそう。薬はもちろん漢方の知識まで学べるので、家族の健康管理にも役立ちそうですね。趣味と実益を兼ねて「登録販売者」の資格取得を目指してみてはいかがですか?
Text:安本真留美
【取材協力】
島崎英雄(しまざきひでお)さん
薬剤師/「有限会社エンゼルハーモニー」薬剤部長。東京薬科大卒。ドラッグストアに勤務後、調剤薬局に勤務。ユーキャン「登録販売者講座」質問回答担当講師。スポーツファーマシスト。神奈川県糖尿病療養指導士。
求人が多く、自宅近辺で職場が見つけやすい。有資格者は時給が高くなる傾向にある。……など、登録販売者は、女性が家庭と両立して働くのに、まさにぴったりの資格と言えます。さらにここでは、登録販売者をはじめ、 家庭と両立しやすい資格と仕事を、キャリアカウンセラーの中瀬路子さんに解説してもらいました。