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2021.03.24

天気痛診療の第一人者が教える「低気圧の乗り切り方」

天気痛診療の第一人者が教える「低気圧の乗り切り方」

雨の日は決まって頭が痛くなる、台風の前は体がだるいなど、天気の変化によって体に不調を感じたことはありませんか。日本で初めて「天気痛外来」を開設した佐藤純医師に、気圧の変化で生じる体の不調のメカニズムと、自宅で簡単にできるセルフケアについて伺います。

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原因不明の痛みや不調、実は天気のせいかも!?

原因不明の痛みや不調、実は天気のせいかも!?

雨の日はなんとなく体調が悪い。そんなふうに周囲に訴えても、なかなか理解してもらえないですよね。天気と痛みの関係について30年以上研究してきた天気痛ドクターの佐藤純さんは、「メカニズムはまだ明らかになっていない部分もありますが、天気と痛みに因果関係があることはわかっています」と言います。

「天気痛とは、天気の変化による痛みや寒暖差による体調不良のことを言います。天気の影響を受けやすい人は、内耳や自律神経に原因があります。人間の耳の奥にある内耳という器官には、気圧の変化を感じとるセンサーのような部分があり、天気痛の人はその部分が人よりも敏感になっているんです。気圧の変化から身を守るストレス反応で交感神経が活発になり、心拍数や血圧が上昇。血管が収縮したり筋肉が硬くなったりすることで、頭痛や肩こりが悪化してしまうんです」(佐藤純さん)

近年、ゲリラ豪雨や大型で強力な台風の上陸が増え、昔よりも気候の変動が激しくなり、天気の影響を受けやすくなっているそうです。

「気圧の変化を特に感じやすいのは春先や梅雨、台風シーズン。冬は気圧の変化が比較的少なかったのですが、最近では冬にも台風並みに発達した低気圧の発生が増えていて、1年中注意が必要になっています」(佐藤純さん)

天気痛の症状としては、前頭部やこめかみのあたりがズキズキと痛む片頭痛、頭部が締め付けられるように痛む緊張型頭痛、そして首や肩の痛みなどが挙げられます。痛みだけでなく、眠気がひどくなったり、めまいを感じたり、気管支ぜんそくが出たりなど、どの症状が出るかは人によってさまざまです。また、あまり知られていませんが、うつ・不安感などの心の不調も天気の影響を受けているそうです。

ここまでで「自分ももしかして天気痛?」と思ったあなた。次章で紹介するチェックリストで確かめてみましょう。

天気痛に気をつけたいタイプは?チェックリストで調べてみよう

天気の影響を受けやすいのはどんな体質の人なのでしょうか。以下のリストで当てはまる項目の番号をチェックしてください。自分が天気痛になりやすい要因を持っているのか、調べてみましょう!

天気痛チェックリスト

  • 1.頭痛など体調の変化で天気がなんとなくわかる
  • 2.よく耳鳴りがする。耳抜きが苦手で、新幹線や飛行機に乗ったときに耳が痛くなりやすい
  • 3.乗り物酔いをしやすい
  • 4.めまいを感じることがある
  • 5.「台風が来る」というニュースが妙に気になる
  • 6.気分の浮き沈みが天気によって左右されることがある
  • 7.春や秋、梅雨など季節の変わり目に体調を崩しやすい
  • 8.暑い季節にはのぼせやすく、寒い季節には冷えやすい
  • 9.首や肩がこりやすい
  • 10.過去に骨折やねんざなどのケガをしたことがある
  • 11.慢性の頭痛に悩まされている
  • 12.ストレスが多い生活を送っている

みなさんはいくつ当てはまりましたか?チェックした項目が多いほど、天気の影響を受けて痛みや不調が出やすい体質と言えます。さらにどの項目をチェックしたかによって、あなたの天気痛のタイプがわかります。佐藤先生に、タイプ別の解説とそれぞれ気をつけたいポイントを教えていただきました。

●1~4のチェックが多かった人→内耳が敏感

内耳が人より敏感なのが原因と考えられます。耳せんで内耳の働きをある程度抑えたり、次章で紹介する「くるくる耳マッサージ」で血行を良くしましょう。むくみやすい体質も要因の一つですので、むくみを引き起こす塩辛いものや甘いものの摂りすぎには注意しましょう。

●5~8のチェックが多かった人→体質的に症状が出やすい状態

天気の影響を受けやすく、体質的に症状が出やすい状態にあります。生活のリズムを整えて、自律神経の乱れを解消するようにしましょう。ヨガなどで適度に体を動かすのも効果的です。

●9~12のチェックが多かった人→持病や不調が天気の影響で悪化しやすい

もともと持病や不調があり、それらが天気の影響で悪化しやすい状態にあります。天気痛と持病の両面で改善をめざしましょう。

天気痛診療の第一人者が教える「低気圧の乗り切り方」

1回1分でできる「くるくる耳マッサージ」で天気痛を予防しよう!

天気痛の予防として全タイプの人におすすめという、佐藤先生考案の「くるくる耳マッサージ」を教えていただきました。

「1回1分、いつでもどこでも実践できる簡単なマッサージで、朝昼晩3回を毎日続けるのが効果的です。内耳の血行が良くなり、リンパ液の循環も改善され、天気の影響を受けにくい体になります」(佐藤純さん)

それではさっそく、詳しいやり方を見てみましょう。

ステップ1

天気痛診療の第一人者が教える「低気圧の乗り切り方」

親指と人差し指で両耳を軽くつまみ、上に5秒引っ張る。次に横に5秒、最後に下に5秒それぞれ引っ張る。気持ちいいと感じられる強さで実践してみて。

ステップ2

天気痛診療の第一人者が教える「低気圧の乗り切り方」

耳を軽く横に引っ張りながら、後ろの方向に5回ゆっくりと回す。

ステップ3

天気痛診療の第一人者が教える「低気圧の乗り切り方」

親指と人差し指で耳を包むように上下に折り曲げて5秒間キープ。

ステップ4

天気痛診療の第一人者が教える「低気圧の乗り切り方」

手のひらで耳全体を覆い、後ろの方向に円を描くように5回ゆっくりと回す。

便利ツールも活用し、自分に合った方法で備えることが大事

「気圧の変化による不調が訪れる前には、眠くなる、あくびが出る、背中が張ってきている、といった予兆がありませんか?気圧データを分析して天気痛の発症リスクをお知らせする『天気痛予報』アプリもあります。それらを活用し、予兆の段階で対策をとれば症状も楽になります。また耳せんをすると内耳の気圧の変化を抑えられるので楽になります。最近ではアクセサリー感覚でつけられるタイプもあるので試してみてください」(佐藤純さん)

天気痛診療の第一人者が教える「低気圧の乗り切り方」

内耳への気圧変化をゆるやかにするオシャレなアクセサリータイプの天気痛耳せん

ストレスフルで、交感神経ばかりが優位になる生活スタイルを改善し、自律神経のバランスを整えることも大切、と佐藤先生。また、痛みがあると体を動かさなくなってしまいますが、そうすると血行が悪くなり、痛みの変化につながりかねないため、適度な運動も必要だそうです。耳周りの血行を良くする「くるくる耳マッサージ」と規則正しい生活リズムの習慣を基本に、さまざまな便利ツールも活用しながら天気痛に負けない体づくりをしていきましょう。

プロフィール
佐藤純(さとうじゅん)さん
佐藤純(さとうじゅん)さん
医師・医学博士。名古屋大学教授を経て、中部大学教授、愛知医科大学・学際的痛みセンター客員教授。同センターに日本初の「天気痛外来」を開設。天気痛研究・診療の第一人者としてNHK「ためしてガッテン」、日本テレビ「世界一受けたい授業」などにも出演。著書に『まんがでわかる天気痛の治し方』(イースト・プレス)、『「低気圧頭痛」は治せる!』(飛鳥新社)など。
アプリ紹介
佐藤純先生がウェザーニューズと共同開発した天気痛予報アプリ。天気痛が発症するリスクを6日先まで、「警戒」「注意」「やや注意」「安心」の4ランクで表示します。
イラストレータープロフィール
 
めめ子さん
  
めめ子さん
イラストレーター。自身の経験を漫画にしてブログで発信中。
 

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