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2021.01.08

トップアスリートの奥様、前田早穂さんに聞く!大人も子どもも笑顔になる食事作りのコツ

トップアスリートの奥様、前田早穂さんに聞く!大人も子どもも笑顔になる食事作りのコツ

体作りのためにヘルシーな食生活を送りたくても、小さな子どもがいる家庭では全員が満足する食事を作るのは至難のワザです。そこでメジャーリーガーの妻であり、2児の母でもある前田早穂さんに、家族みんなに喜んでもらえる食事作りのアイデアを教えていただきます。

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3つの資格を取得!早穂さんの食知識が詰まった前田家の食卓とは

3つの資格を取得!早穂さんの食知識が詰まった前田家の食卓とは

現在、フリーアナウンサーとして活躍する前田早穂さんは、メジャーリーグで活躍する前田健太さんの奥様です。トップアスリートであるご主人を支えるために、前田家の食事を担う早穂さんは、常に栄養バランスのよい食事を心掛けているそうです。

「結婚前、初めて夫の家に行ったとき、冷蔵庫に甘いお菓子や飲み物がたくさん入っていて、野菜は1つも入っていませんでした(笑)。当時はお肉と甘いものが好きで、かなり偏食だったんです。本人に聞くと、試合当日の昼食はコンビニのおにぎりやデリバリーで済ませていたそうで、『このままではいけない』と危機感を抱きました。それからは私が彼のために料理をして、少しでも食生活を改善しなければと思いましたね」(前田早穂さん)

中学・高校で家政学を学び、「食物」に関する授業も受けていた早穂さん。元々食に興味があり栄養学を勉強していたため、その延長線上で独身時代に「野菜ソムリエ」と「食生活アドバイザー(R)」の資格を取得。その後、「アスリートフードマイスター」の資格にも挑戦しました。

「夫とお付き合いを始めてから『アスリートの食』について気になることがいろいろ出てきてしまって。一般的な食事とアスリートの食事にはいろいろな違いがあるので、その違いを埋めるために資格を取ろうと思いました」(前田早穂さん)

食に関する多くの知識は、ご主人だけでなく2人の子どもたちを含めた「前田家の食卓」に大いに生かされている、と早穂さん。どの素材からどのような栄養が摂れるか、健康な体を保つためにはどのような栄養素が必要か、バランスよく栄養を摂れているか、多角的に考えて献立を決めるそうです。

「ビタミンB1を摂取でき、疲労回復効果のある豚肉はよく食卓に上がるので、飽きないように味付けや調理法を工夫しています。例えば『豚しゃぶ』でも、ポン酢と食べるラー油を合わせたタレにしたり、ネギたっぷりの『出汁しゃぶ』にしたり。好き嫌いが多い夫も、残したら申し訳ないと思っているのか、割と素直に受け入れてくれています」(前田早穂さん)

トップアスリートの奥様、前田早穂さんに聞く!大人も子どもも笑顔になる食事作りのコツ

献立:豚しゃぶ/鰤の竜田揚げ/ほうれん草と玉ねぎのサラダ/春菊胡麻和え/冷奴/もずく酢/お味噌汁(キャベツ、人参、油揚げ)/玄米ごはん

夫はメジャーリーガーとして活躍する前田健太さん。アスリートの食事に大切なこととは?

アスリートであるご主人のコンディションを保つために必要な栄養素とは、いったいどんなものなのでしょうか。

「大事なのは筋肉をつけるために必要なタンパク質です。ですから鶏のササミや胸肉、牛や豚のヒレ肉などをよく食べます。アスリートの場合、一般の人よりもかなり多くのタンパク質を摂る必要がありますが、たくさん摂るのは意外と大変なんです。例えば魚種や収穫時期にもよりますが、魚100gを食べてもタンパク質は10~25gとわずかなもの。アスリートが消費するボリュームに対して、供給するのがとても難しいのです。そのため我が家では、お肉、お魚、大豆、すべてからタンパク質を補えるよう、毎食出すようにしています」(前田早穂さん)

トップアスリートの奥様、前田早穂さんに聞く!大人も子どもも笑顔になる食事作りのコツ

献立:鶏胸肉 バンバンジー風/鱈の唐揚げ/ケールとさつまいものサラダ/人参たらこ炒め/もずく酢/小松菜と油揚げの煮浸し/冷奴/かぼちゃとエリンギのお味噌汁/玄米小豆ごはん

ご主人の健太さんは食が細く、一度にたくさんの量を食べられないそうです。そこで早穂さんは、タンパク質を摂取できる「間食」を用意して供給量を補います。

「タンパク質の多い鶏のササミやヒレ肉などおやつ感覚でパクパク食べられるように調理して出しています。お腹がいっぱいのときは牛乳や豆乳を使ったスムージーを用意。そうすればより手軽にタンパク質を摂取できますから」(前田早穂さん)

さらにアスリートには「いい栄養を摂取するタイミング」も重要、と早穂さん。登板前、登板後、試合当日など、そのときの体に合わせて必要な栄養素を摂れるようにしています。

「登板前の数日間はエネルギーを補える炭水化物と、エネルギー補充の助けになるビタミンB1を意識した食事に。試合後は疲労回復のためにタンパク質やビタミン類を多く摂れる食事に変更します。栄養素をうまく働かせるためには、いいタイミングで摂取することが大事なんです。さらに試合前は油を使わず、消化にいいものを出すようにしています」(前田早穂さん)

最近は、登板前には必ずと言っていいほど食べている、健太さんお気に入りの「ルーティーンごはん」があるそうです。

「ノンオイルの『あんかけ丼』は豚肉、小松菜、ニンジン、えのきをお出汁で煮込んであんを引くだけの簡単メニューです。起きたばかりでもサラサラ食べられるようで、3年ほど前から登板前はずっとこの料理を食べ続けていますね。えのきや小松菜はあまり消化がよくないので細かく刻み、豚肉は脂の部分を削ぎ落として赤身だけを使います。豚肉のビタミンB1は炭水化物と一緒に摂るとすぐにエネルギーに変わるので登板前には最適です」(前田早穂さん)

トップアスリートの奥様、前田早穂さんに聞く!大人も子どもも笑顔になる食事作りのコツ

早穂さんは、日々変わる体のコンディションに合わせ、年を重ねることでの変化にも対応しながら、自身も常に勉強しなければいけないと言います。

「食事による改善は、すぐには結果が出ないものです。長く続けることで、疲れにくくなった、肌の調子がよくなった、と実感が出てきますから、長い目で見て『この1年の食生活はどうだったかな』と振り返るようにしています。ある特定の時期に体の痛みがあれば、来年の同じ時期には違う工夫をしてみよう、と、常に進化していくことも大切ですね」(前田早穂さん)

普段は大人と同じメニューでも、子どもたちが笑顔になる「ごほうびの日」を!

現在、前田家には7歳の娘さんと2歳の息子さんがいます。子どもたちの食事はアスリートであるご主人の食事と違うものを出しているのでしょうか。

「我が家は子どもたちも夫とまったく同じメニューを食べています。もちろん量は少なくしますが、品数は一緒です。子どもであっても必要なビタミンやミネラルは大人と同じですからね。大人が食べるようなおひたしやサラダ、蒸し野菜なども子どもに出します。子ども向けにマヨネーズを添えたり、ケチャップで味付けを加えたりすることもありません。できれば子どもたちにも、素材本来のおいしさを味わってもらいたいと思っているので」(前田早穂さん)

大人も子どもも同じものを食べることが時短にも繋がっているそうです。ただし、子どもが食べられない辛い料理は味付けのみ変更。辛くない状態で一度作り、子どもたちの分を取り分けてから、最後に辛みとなる豆板醤などを加え、パンチを効かせて大人用に。

トップアスリートの奥様、前田早穂さんに聞く!大人も子どもも笑顔になる食事作りのコツ

献立:麻婆豆腐/黄インゲンと玉ねぎの焼き浸し/もずく酢/ブロッコリーナムル/ビーツバルサミコ蒸し/塩鮭/ミニトマト/白菜と人参のお味噌汁/ごはん

「例えば麻婆豆腐はこのやり方になりますね。麻婆豆腐は最初に辛みに火を通した方がおいしいのですが、そこは時短優先で(笑)。でもニンニクや生姜、ネギがたっぷり入っているので、辛味がなくても味に深みがあって子どもたちにも好評ですよ」(前田早穂さん)

大人と同じ料理を食べさせている理由は時短のためだけではありません。早穂さんが作る料理には、子どもたちへの思いも詰まっています。

「2人ともまだ小さいので、いろいろな食材を知ってほしいです。我が家では初めて目にする食材でも抵抗がないように、小さい頃からあらゆる食材を使って調理していました。アメリカには日本では見かけない野菜もたくさんありますから。そういうものにもチャレンジしたおかげで本当に好き嫌いなく育っています」(前田早穂さん)

それでも、子どもたちのために、特別な料理を作る日もあるそう。栄養面でいえばヘルシーではないけれど、料理を見て、食べてワクワクするような「ごほうびの日」を設けているそうです。

「こどもの日にカブトの形をした春巻きを作ったんです。そうしたらすごく喜んでくれて、子どもにはこういうことが必要なんだと実感しました。私自身は栄養バランスを考えた食事が第一だと思っているので、以前はキャラ弁のような子ども用の料理に対しても抵抗があったんです。かわいいけれど、栄養価をバランスよく摂れないのでは、と思っていました。でもカブトの春巻きを作ったときの子どもたちの喜びを見たら、『こんな日があってもいいのかな』と意識が変わりました」(前田早穂さん)

トップアスリートの奥様、前田早穂さんに聞く!大人も子どもも笑顔になる食事作りのコツ

献立:カブト春巻き(中身はチーズとソーセージ、チーズとササミなど、子どもが喜ぶものを)/黒酢酢豚/ケールと彩野菜のチョップドサラダ/茶碗蒸し/やみつき胡瓜/お味噌汁

アスリートである夫のために、そして子どもたちのために、毎日食事を作るのは大変なこと。早穂さんはどのような思いで家族の食事を作っているのでしょうか。

「私自身、食べることが好きなので、自分が食べるワクワク感を大事にしています。さらに家族が健康でいてくれるのが一番なので、夫の疲れがとれるといいな、子どもたちがすくすく健康に育ってくれるといいな、という思いで作っていますね。特に励みになるのは完食して、お皿がキレイになっているのを見たときです。キレイに残さず食べてもらえることが明日への活力になります。夫は料理に関して感想を言うのが恥ずかしいようでリアクションが薄いですが『黙っているということはおいしいんだな』と思うようにしています(笑)。また、Instagramに料理を載せたときに『参考になった』、『作ってみておいしかった』といった読者の声にも元気をもらっています。私が作る料理は簡単なものばかりですが、それでも喜んでくださるのは本当にうれしいことです」(前田早穂さん)

食事をするのが好きになり、食べて笑顔になる料理を心掛けて

「栄養バランスのいい食事」はアスリートに限らず、子どもたちを含めたすべての人の健康やボディメイクに繋がります。

「たくさんの栄養素を摂るために、より多くの食材を使うのがおすすめ」と早穂さん。さらに、体作りを意識している人や、運動部でがんばっている子どもたちには「そのときに必要な栄養素や、摂取するタイミングも意識して、体調に合わせた食事作りを心掛けてみてください」とアドバイスをいただきました。

何より大切なのは、「お子さんが食事をするのが好きになる」ということ。早穂さんは最後に「子どもの笑顔、表情の変化も大切にしてほしい」とひと言。母親の深い愛情も、おいしさを引き立てるスパイスになっているのですね。

プロフィール
前田早穂さん
前田早穂さん
元東海テレビアナウンサー。現在はタレント、フリーアナウンサーとして活躍。2012年、現在はメジャーリーガーとして活躍している前田健太投手と結婚。2児の母でもある。「ジュニア・アスリートフードマイスター」「食生活アドバイザー(R)」「ジュニア野菜ソムリエ」の資格を持ち、著書に『前田家の食卓。食べて体を整えるレシピ』(幻冬舎)がある。
 

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