昨今、ブログやInstagramなどを通して簡単によそのお宅を拝見できるようになりました。その一方で、掃除が行き届き片付いている映えるおうち写真を目にすると、自分の家と比較してガッカリすることも……。とはいえ、忙しい毎日の中で家事をする時間、特に掃除する時間を捻出するのは難しいもの。どこから手をつけようかと、気が遠くなる人もいるのではないでしょうか。
今回お話を伺ったmaiさんは、時短お掃除法を著書やInstagramなどで紹介しています。そもそも、このお掃除法にどのようにたどりついたのでしょうか。
「子どもが小さいので一緒に遊んだり出かけたりもしたいし、仕事もフルタイムのため、どうしても掃除の時間は長くとれません。『できるかぎり早く掃除を済ませて、空いた時間を子どものために費やしたい』と思ったのが時短掃除を考えたきっかけでした。汚れが溜まってしまうと落ちにくくなり、どうしても大がかりな掃除になります。そうなると時間もかなりかかるので、ついで掃除を日課にすることで時短を図りました。つけおき掃除をしている間に子どもと公園に行ったりするなど、時間を有効活用できる掃除法を他にも併用しています」(maiさん)
時短お掃除紹介Instagramを始めたきっかけとは?
「ちょっとした掃除のTIPSを自分用の日記としてInstagramにアップしたのが始まりです。『いつここを掃除した、この洗剤はいつから使っている、前回とのやり方の比較……』のようにあとで見返すためのメモのように使っていたら、いつのまにか掃除の細かな方法や、洗剤やお役立ちアイテムは何を使っているかについての質問コメントが多くなってきました。そのうち、同じように忙しい人たちからの大きな反響が励みになり、さまざまな掃除のやり方を試して『コレだ!』というものを紹介するようになりました」(maiさん)
時短お掃除法が人気のmaiさんですが、家族からは意外な反応が。
「私が掃除をしても、家族の反応は特にないですね。片付いているな、気持ちいいな程度は気づいているでしょうが、何も言ってはくれませんね(笑)。褒めてくれるわけでもないし、褒められたいわけでもない。生活の中にどう掃除を組み込むかは、自分と時間との戦いです」(maiさん)
看護師としてフルタイムで働くmaiさんは、仕事休みの「日曜日の午前中」をお掃除タイムと決めているそう。日時を決めて、できる範囲内の掃除を集中して行うことが秘訣だそうです。漠然と掃除のことを考えるよりも、行動も目的もスッキリ整理され、時短とキレイの両立につながっているのだとか。
とはいえ日曜午前のまとまった時間だけだと、時には汚れが溜まってしまうこともあるそう。だからこそ、maiさん流時短お掃除は、日々の隙間時間で行う「ついで」掃除が重要なんだそうです。まずは、毎日の日課の動線の中に、たった3分程度の「ながら・ついで」掃除を組み入れることから始めましょう。お掃除難民にとっての第一歩として、今日からマネできるコツを伺いました。
■洗面所はメイク後にササッと拭き掃除で完了
「水回りの水アカは、放置すると取れにくくなって掃除時間もかえってかかります。そのうち完全には取れなくなり、ぼんやり薄汚れた印象になりがち。洗面台は高価で簡単に交換できないため、日々の掃除が大切です。毎日、スキンケアやメイクをした後に、周囲に飛び散った水しぶき、石けんカスを拭くだけ。これだけで水アカのない、クリアな洗面台がキープできます」(maiさん)
おすすめアイテム/100均のマイクロファイバー雑巾(手袋型がベター)
■お風呂上がりに浴室中の水滴を拭きあげる
浴室も水アカが溜まりやすく、カビやぬめりが出やすい場所。また、洗面台と同様に浴槽や鏡も簡単には交換できません。maiさんは家族の中で最後にお風呂に入った後、乾いた布で浴室の壁、浴槽、鏡に飛び散った水滴をすべて拭きあげているそう。「拭きあげるまでがお風呂タイム」と日課の中に掃除を自然に組み込んでいるそうです。
ちなみに、浴室の鏡には、車のフロントガラス用防滴コーティング剤を月に1度塗るのがおすすめだそう。水滴やシミなどがつきにくくなり、お掃除回数の軽減につながるそうです。
おすすめアイテム/マイクロファイバータオルやバスタオルなど
■電子レンジの中、作業台、ガス台は、使用したら毎回拭く!
「電子レンジの中、IHクッキングヒーター、ガスコンロの五徳周辺は、放置すると吹きこぼれた調味液が焦げついたり、サビついたりして、大がかりで面倒な掃除になってしまいます。使ったら毎回拭き取るほうが、掃除時間や掃除洗剤の節約になりますよ。食事後に『食器洗い~布巾で拭く』までを一連の流れで行うように、『調理で吹きこぼれた汚れや、作業台に飛び散った汚れ、食事後の食卓の汚れを水分とともに拭き取る』を一連に。時間にして1ヵ所約1分で終わります」(maiさん)
おすすめアイテム/ふきんやタオル、お掃除シートなど
■便座カバー、トイレマットは不使用。ニオイの原因・飛び散った尿はすぐに拭く
「洗濯が面倒なのと、布製品が飛び散った尿のイヤなニオイの原因になりやすいので、便座カバーやトイレマットは使わない主義です。小さな男の子もいるため、基本毎日汚れたらすぐクリーナーとトイレットペーパーで拭き掃除をして、汚れやニオイの蓄積を防いでいます。トイレは運気を上げる場所だと聞いてから、私含め家族みんなの運気を上げるぞ、というモチベーションで張り切ってやるようにしています。トイレのフタを閉めてから流すようにするだけでも、飛び散る汚れを軽減できますよ」(maiさん)
おすすめアイテム/トイレットペーパー、クリーナー
■朝の外出時、玄関をほうきで掃除
「仕事で家を出る際に、玄関に立ったついでに掃き掃除を毎朝のルーティンにしています。出勤してしまうと日中に掃除はできないので、朝明るい時に済ませておくといいですよ。トイレ同様、いい運気が入ってくる場所だと聞いて、いい流れを呼び込むためにも泥やほこりなどの汚れを溜めないように心がけています」(maiさん)
おすすめアイテム/玄関脇に置きやすい自立型のほうき
例えば玄関掃除のものは玄関付近に、リビングなどで使うものは階段下収納に、洗面所やお風呂回り掃除は洗面所に。maiさん流時短お掃除では、掃除道具を気になったらすぐ手に取れる場所にまとめて収納しておくことが大切なんだそう。
maiさん流時短お掃除に役立つ道具
・ウタマロクリーナー(泡スプレー)
「固形石けんで靴などの頑固な汚れ落としとして人気のウタマロ。その泡スプレータイプの中性洗剤です。1本で家中いたるところに使えるので便利です。これで落ちないレベルの汚れは溜め込まないように気をつけています。汚れの種類によって落ちにくい時は、重曹やクエン酸のほか、アルカリ性や酸性などの洗剤を用途に応じて使用します」(maiさん)
・100均にあるマイクロファイバー手袋型雑巾
「追加で買ったり、交換したり、手軽に買いやすい値段もポイントです。布雑巾のように毛羽が残ると拭き直しの面倒が増えるので、マイクロファイバーをぜひ活用してください。鏡や窓、TVやディスプレイの掃除におすすめです」(maiさん)
・すみっこブラシ
「こちらも100均にあります。雑巾では届かない箇所や、トイレやキッチンなどの細かな部分も見逃さず、使ったらポイできる気軽なブラシは必需品です」(maiさん)
■リビング・ダイニングなどは掃除しやすいように、床に物を置かない
「いろいろな物を出しっぱなしにするのではなく、収納する場所を決めて、ふだんから家族で共有しています。子ども部屋から持ってきたおもちゃも、基本的にその日のうちに子ども部屋へ戻してもらいます。リビングやダイニングは、物が片付いていればそれだけで掃除した感が出ますよ。
朝や夜、短時間で掃除機をかけたい時に、いちいち床に置かれた物を移動させながらでは、時間も労力もかかります。床が片付いていれば掃除機をかけたい時にすぐかけられるので、ほんの数分で心地いい空間を保てます。このきれいな状態をキープしたいという気持ちが湧けば、自分も家族もいつのまにか片付けが習慣になります」(maiさん)
■タイマーで測る&掃除姿を動画で撮る
Instagram用に掃除方法を動画で撮影しているmaiさん。撮影した姿を見返して、もっと早くできるかどうかを振り返っているんだそうです。キッチンタイマーを設定したりストップウォッチを使ったりすると、集中しやすくなり掃除がはかどるのだとか。お子さんと楽しみながら掃除時間の記録更新にチャレンジすることも、次のやる気につながるそうです。
毎日の「ながら・ついで」掃除を実践するmaiさんですが、大掃除についてもおすすめのポイントがあるそうです。
「年末になると大掃除という習わしがありますが、寒いし、水が冷たいし、気温も低いから体も動きにくいです。そのため春と秋を大掃除の季節にしています。秋なら10月~11月がちょうどいいですね。窓の拭き掃除、照明拭き、リビングの気になった箇所をお掃除するだけです。ちなみに、キッチンの換気扇掃除は毎月やってみたら辛くて、1年に1度では放置しすぎだし……。我が家にとっては4ヵ月に1回がちょうどいい回数でした」(maiさん)
maiさんによると、家庭によって汚れの溜まり方や汚れの種類などが全く異なるため、自分なりのペースで行うことが大事だそう。大きな箇所、届きにくい箇所、なかなか簡単には掃除しにくい箇所に関しては、汚れが取れにくくなるほど溜めないようにするために、掃除ペースをつかむことから始めましょう。
「『年間のうちで○○ごろには行う』といったような大まかな掃除計画を立ててみて、成功体験を積み重ねてみるのもいいかもしれません。小さな成功体験を続けていくうちに、お掃除のスキルがどんどん上がり、家中のお掃除をより早く終わらせることができるようになっていくと思います」(maiさん)
目につく箇所や使用する箇所に絞って、普段から「ちょこっと掃除」を心がけ、汚れを溜めにくくすることが時短掃除に有効なことを教えていただきました。最後に、毎日掃除を続けるモチベーションについてmaiさんに伺いました。
「帰宅して、ゴチャッとした家を夜のうちに全部片付けておきます。そうすると朝起きた時、一人で大好きなコーヒーを飲みながらきれいなキッチンを見て『おいしい!最高に幸せ!』と感じる時間が過ごせます。この時間を過ごすことが私の掃除のモチベーションです」(maiさん)
美しく掃除した先にある、一人だけの幸せなコーヒータイム。時間の使い方や考えの整理もできるので、気持ちもスッキリするのかもしれません。
今回教えてもらった時短掃除メソッドを参考にすれば、お部屋の掃除がムリなく続けられそうです。おうち時間をより心地よく過ごしながら、心にゆとりを持てる時間も取れそうですね。