三児の母として育児に奮闘する一方で、スマホケースブランド「ROSE WITH TOO」を立ち上げ、InstagramなどのSNSやECサイトを通して商品を発信・販売している岩永ミカさん。スマホケースの制作を始めたのは、今から7年ほど前。きっかけは「市販のケースで、欲しいものがなかったから」だと言います。
「ネットでかわいいケースを検索していた時に、押し花をあしらったスマホケースを扱う海外サイトを見つけて。作り方が細かくアップされていたので、見よう見まねで作ってみることにしたんです。もともとモノ作りが好きで自宅のカーテンや母子手帳ケースなどを自作していたこともあり、その延長でトライしてみたいと思ったんですよね」(岩永ミカさん)
気軽な気持ちで作ってみたものの、これが意外と難しかったようで……。「樹脂を扱うことすら初体験だったので液だれを起こしてしまい、なかなか綺麗に仕上がらなかった」と失敗の連続だったとか。
それでも諦めず近所の押し花教室に通ったり、ネイリストの友人に助けを借りたりして、なんとか第一号が完成!最初は自分使いのケースとして愛用していたそうですが、パターン違いをいくつか作るうちに、次第に「自分が思う『かわいい』はどれくらいの人に共感されるのだろう?」と思うようになったのだそう。
「販売して、世間の人の反応を見てみよう」
そう思った岩永さんは、試しに普段利用していたフリマアプリに自作のスマホケースを出品することにしたそう。するとすぐに「SOLD」の表示が!
「当時は商材が珍しいということもあったかと思うのですが、販売を開始するとすぐに売れていきました。自分が思う『かわいい』は、たくさんの人に共感していただけたのかなと嬉しくなりましたね」(岩永ミカさん)
予想外の反応に「もっとたくさんの人にケースを届けたい」という気持ちが芽生えたという岩永さん。そこで、通販サイトを自力で作成し、本格的に販売をスタートすることに。同時にInstagramを通して、商品の告知や世界観を発信し続けたところ、翌年には月300個ほど売れるようになったというから驚きです。
「ROSE WITH TOO」というブランドを立ち上げたのも、ちょうどその頃でした。
「最初は副業だし、ブランドを立ち上げるつもりはありませんでした。しかし販売を行っていく中で、押し花のスマホケースブランドなんて、他にないんじゃないかと思ったんですよね」(岩永ミカさん)
ブランドを立ち上げた後は、購入型のクラウドファンディング(*)に挑戦するなど、「ブランドの確立・認知」にも注力した結果、企業からの制作依頼が増えるなど、仕事にぐんと広がりが生まれたとか。
「おかげさまで、今では映画の小道具としての提供や、大手企業からのワークショップの依頼といった、大きな仕事をさせていただく機会も増えています。今後の目標は(ケース以外にも)お花で作れる商品を増やしていきたいです。企業とコラボ商品を作れたら最高ですね!」(岩永ミカさん)
*インターネットを通じて広く呼びかけ、賛同する人から資金を集める「クラウドファンディング」のひとつ。企画者(プロジェクトオーナー)の取り組みに賛同する人が、商品を「購入する形」でプロジェクトを支援する。
当初は副業というスタンスで始めたスマホケース販売でしたが、2017年には法人化してスタッフも増え、現在では本業として事業を展開している岩永さん。超多忙な中、家事・育児と仕事をどのように両立されているのでしょう?
「すごくシンプルなんですけど『仕事は仕事場で。家では家のことを』がマイルール。自宅になるべく仕事は持ち込まないようにしています。あとはアラームをフル活用していますね。以前は時間を忘れて制作に取り組んでしまい、子どものお迎えに遅れるという失敗をよくしていたので……。アラームが鳴ったら、その時点で強制終了です」(岩永ミカさん)
家族の理解を得るために、工夫していることはありますか?
「なるべく『ママすごい!』と思ってもらえるよう演出します(笑)。たとえばファッション誌に掲載されたら、書店に連れて行って雑誌を見せたり、テレビの取材があればオンエアを見せるとか。そうすることでうちの家族は自然と私の仕事を理解し、応援してくれるようになりました」(岩永ミカさん)
岩永さんが考える、主婦が副業で成功する秘訣は「一に無理しないこと、二に行動」にあり!
「お母さん業に支障が出て、家族との関係が悪くなるのは本末転倒なので、一番大切なのは金銭的にも時間的にも体力的にも『無理なく』ってところではないでしょうか。次に行動することが大事だと思います。はじめはお小遣い稼ぎくらいの気軽な気持ちでいいと思うんです。よく資金の問題があって踏み出せないという方がいますが、家族に相談するなど、自分の中だけで無理だと決めつけないで欲しいと思います」(岩永ミカさん)
今はネット上のサービスで誰でも自分の作ったものを販売できる時代。「私のようにモノ作りが好きな方は、そういったサービスやたくさんの人に発信できるSNSを積極的に利用しましょう。0円で始められるものも多いので、気軽な気持ちで販売してみては?一歩を踏み出すと自分の世界も広がるし、得られるものも大きいですよ!」と岩永さん。悩んでいる方は「とにかく始めてみる」ことが副業への第一歩。子育てや家事で諦めていた副業に、ぜひチャレンジしてみてください。