フェイスラインのむくみたるみ、目の大きさ…どれだけ素敵に見える人でも、顔にまつわるコンプレックスは十人十色です。モデルの濱田あおいさんも「朝起きると、目があまり開いていないなとか、むくみがひどいなと感じる日があって、日によって顔の印象が違って見えることが悩みです。私の場合、慢性的な肩こりにも悩まされているので、その影響も少しはあるような気がします」とのこと。日本化粧品検定1級を持つほどメイク通の濱田さんですが、メイクでコンプレックスをカバーするのには限界があるそう。
そこで今回は、顔のコンプレックス解消に効果的なセルフケアの方法をアンチエイジングデザイナー村木宏衣さんに教えていただきます。
ところで、アンチエイジングデザイナーとはどんな職業なのでしょうか。
……村木宏衣さん
……濱田あおいさん
名前の通り、美しく歳を重ねてもらえるように、その人の美しさを引き出すお手伝いをします。人の目線は1ヵ所というより、全体を見ることのほうが多いのです。だからこそ、アンチエイジングでは、姿勢や表情の美しさが重要になってきます。顔の筋肉の使い方が上手なだけで魅力的に見えます。内側から女性が輝いていく施術と、その美を保つためのアドバイスをするのが、私の仕事です
私は普段ビューティーモデルとして活動しているので、歳を重ねても美しくいられるアンチエイジングデザイナーの仕事に、すごく興味があります!先生がこの仕事を始めるきっかけは何だったんですか?
私自身、学生の頃は顔が大きいのが悩みで、ニキビもひどかったんですよ。そのため、キレイになりたい一心で美容業界に就職し、さまざまな施術を学びました
先生を見てるとニキビがひどかったなんて、嘘みたい!
年齢が進むとともにたるみやしわにも悩むようになり、老化現象にも効果が期待できるセルフケアを開発するようになりました。その効果を実感できた時は気持ちまでも前向きになれ、そんな自分の経験から、悩みを抱えている方の役に立てたらと、アンチエイジングデザイナーとして活動しています
むくんでいる時などは、すっきりするのかなと思って、私もよくセルフケアをしています。リンパを流すイメージで自己流のマッサージをするのですが、正直あまり変化は感じられていなくて……
筋肉の場所を意識すると効果がアップします。まずは、筋肉の位置や動きを意識しながら、ここが凝っているな、ゆがんでいるなというターゲットを見つけること。そこをマッサージすると効果も高まりますよ
筋肉がポイントなんですね
そうなんです。筋肉は加齢によって硬くなります。さらには、長年の蓄積で筋肉にクセが付くと、顔や体がゆがみ、血液やリンパの流れが滞るだけでなく、老廃物も溜まり、老化現象を引き起こします。だからこそ、筋肉をほぐすことが大事なんですよ
筋肉にもクセが付くとは驚きました。先生が考案されたメソッドも筋肉を意識した施術ですか?
狙った部分に圧をかけて筋肉を刺激したり、意識的に動きを加えることで、シワやたるみ、むくみなどに効果が期待できます。私が施術するだけでなく、気になるところはご自身で毎日セルフケアしていただくと、変化を感じやすいですよ
それでは、顔のコンプレックスを解消するための第一歩をご紹介しましょう。
普段のちょっとした行動や仕草に気を遣うだけでも、顔のコンプレックスやトラブルの原因をカバーすることができます。セルフケアメソッドの入門編として、まずは、どんなことがむくみやたるみを引き起こしてしまうのか、村木さんに教えていただきました。
●前のめりでスマホを見る
スマートフォンを見る時は、首が前のめりになってしまう人が多いですね。長時間その姿勢でいると、頭が凝り固まり、顔がむくんでしまうことも。頭のてっぺん、後頭部あたりをちょっと持ち上げるような感覚で画面を見るようにしましょう。
●歯を食いしばる
顔のたるみをつくったり、顔が横に広がって顔を大きく見せてしまう原因に。奥歯と奥歯がくっつくだけでも食いしばりの筋肉を発揮してしまうので、口を閉じる時は奥歯を浮かせるようにしましょう。最初は難しいかもしれませんが、日頃から奥歯同士がつかないよう意識することで、自然にできるようになります。
●舌の位置が下がっている
実は、舌も年齢とともに衰えてくるんです。本来、舌は上あごにくっついて、前歯の後ろあたりにくるのが理想ですが、姿勢が悪かったり、舌の筋力が衰えると、舌の位置が徐々に後ろに下がってきます。二重あごの原因になるので、普段から、舌は上あごに軽くくっつけるように意識してください。
●頭皮の紫外線や乾燥ケアをしていない
年齢を重ねると、頭皮もだんだんたるんできます。頭皮と顔は一枚の皮膚でつながっているので、頭皮がたるめば、顔までたるんでしまいます。頭皮のたるみを予防するためには、マッサージのほか、紫外線や保湿ケアも大切。髪の毛用の日焼け止めスプレーなどに、帽子や日傘を併用すると効果的です。
●体を冷やす
体が冷えると、代謝が落ちてリンパや血液のめぐりが悪くなります。すると、肌に栄養がいかなくなって、肌が荒れたり、余分な水分や老廃物が溜まり、むくみの原因に。冷たい飲み物を控え、お風呂ではしっかり湯船に浸かるなど、意識的に体を温めましょう。
むくみやたるみを引き起こすNG行動を教わったところで、濱田さんのお悩みを解消すべく、村木式セルフケアメソッドに挑戦してみましょう。特別な道具は必要なし!誰でも簡単にできるメソッドをお悩み別にご紹介します。
顔のむくみ
朝起きると顔がむくんでいることがよくありますが、手軽にすっきりさせる方法はありますか?
私のメソッドでも基本中の基本です。前のめりの姿勢が続くと、首の後ろ側が凝り固まります。目薬をさす時、うがいをする時に頭を後ろに倒しにくいのがこの状態。その凝り固まった首の詰まりをとらないでいると、老廃物がどんどん溜まって、顔がたるんでデカ顔の原因になってしまいます。肌に栄養がいかなくなり、肌自体もキレイになりません
1.頭を支える首の筋肉「胸鎖乳突筋」を探す
顔のむくみの原因となる、胸鎖乳突筋を探します。首を倒すと耳の後ろから鎖骨の中心に浮き出る太い筋肉で、首をかしげて触るとコリコリと当たる縦のラインが胸鎖乳突筋です。
2.「胸鎖乳突筋」を親指で押さえる
親指を胸鎖乳突筋に、ほかの指を首の後ろ側に当て、両手で挟むように首を持ち(写真1)、親指に圧をかけます。その際、胸鎖乳突筋に隣接した頸動脈を圧迫しないよう注意しましょう。親指以外の4本の指は、首の後ろのポコポコした骨の上に置いておきます(写真2)。
写真1
写真2
3.「うんうん」「いやいや」で筋肉をほぐす
親指で胸鎖乳突筋を押さえたまま、首を「うんうん」と縦に振るのを5回、「いやいや」と横に振るのを5回で1セット、これを1カ所につき2セットずつ行います。親指の位置を少しずつ上にずらしながら、首の付け根まで5カ所くらい繰り返しましょう。力を抜いて、口は少し開け気味に。
短時間でコリがほぐれて、首周りが楽になったのを実感できました!毎日続けると、顔周りもすっきりしそうですね
フェイスラインのたるみ
フェイスラインがぼんやりしていると顔が大きく見える気がして……。加工しなくても小顔に見える方法が知りたいです!
人は正面より斜めから見られることが多いので、あご下のもたつきをとるだけで自然と小顔に見えます。フェイスラインをすっきりさせて印象アップを図りましょう。最初のうちは痛みを感じるかもしれませんが、続けるうちに詰まりがとれて、痛みもなくなります
1.あご骨のきわに指を押し当てる
まずは人差し指の関節を折り曲げて、カギのような形をつくりましょう(写真1)。人差し指の第一関節から第二関節までの平たい面をあごの2cmくらい内側にある骨のきわ、顔の中心から1cm外側のところに押し当てます(写真2)。この際、左あごには右手、右あごには左手を使います。
写真1
写真2
2.口を開閉しながら指を移動
人差し指を当てたまま「あぐあぐ」と5回、口を開閉します。指の位置はあごの中心からエラに向かって少しずつずらしていき、片側6カ所ほど行います。反対側も同様に。
指を当てながらあごを動かすと、適度な刺激を感じられて気持ちいい!詰まっていたものが流れたようで、あごのラインがシャープになりそうです
目元が重く開きにくい
朝起きると、目元が重くきちんと開いていないと感じる日が多々あります。すっきりとした印象の目を取り戻せますか?
まぶたを上げる時に使っているのが、おでこの筋肉。おでこが凝り固まってしまうとシワの原因にもなります。この筋肉は、スマホを見ている時などに緊張してしまうので、ほぐすと顔の印象だけでなく、目の開き具合や視界にも変化が現れるはずですよ
1.こぶしでおでこをクルクルほぐす
眉頭の上に両こぶしの平らな面を当てます。皮膚を引っ張り、グイグイと骨を触るようなイメージで、机に肘をついてクルクルと5回もみほぐし、眉に沿って位置を少しずつ外側にずらしながら、こめかみまで4カ所に分けてほぐしていきましょう。さらに、眉の少し上あたり、おでこの真ん中から生え際にかけても同様に繰り返します。
2.眉から目尻に圧をかける
まずは、フェイスラインのたるみメソッド(写真1)と同様に、人差し指の関節を折り曲げて、カギのような形をつくりましょう。机に肘をつき、人差し指の第一関節から第二関節までの平たい面を眉頭に当てて、頭の重みで圧をかけます。このまま「うんうん、いやいや」と言葉に合わせて首を小さく縦横に振り、これを1カ所につき5回ずつ繰り返します。1と同じようにこめかみまで位置をずらしていき、ほぐします。
これはびっくり!目がしっかり開いて、明らかに大きくなっている感じがします。メイク前にいいですね
頭が重い
1日の終わりに頭がずっしり重く感じる時があります。生活していても辛いし、もし美容にも影響があるなら改善したいです!
食いしばりの筋肉でもある側頭筋が関係しています。側頭筋とは、ほお骨から側頭部にかけて広がる筋肉。ここが緊張している人が非常に多く、凝り固まることで頭が重くなったり、緊張した筋肉が顔を横に引っ張って顔をゆがめる原因にも。眉とほお骨の間が狭くなり、見た目にも険しい顔つきになってしまうので、しっかりほぐしてあげましょう
1.「テコの原理」で側頭筋をほぐす
こめかみから耳の上あたりに広がる扇状の筋肉が側頭筋です。手のひらを上に向けて、自分が凝っているなと感じる側頭筋のポイントに親指を当て、残りの指は首の後ろに置きます。テコの原理を利用し、後ろに置いた指を支点に、親指に力を入れて上にぐっと持ち上げるようにします。
2.「あぐあぐ」でほぐす
親指をほぐしたいポイントに当てたまま「あぐあぐ」と5回、口を開閉して筋肉をほぐします。ほかにも凝りを感じる場所があれば、そこに親指をずらし、同様に親指を当てたまま、口を開閉してほぐしていきましょう。
力を入れなくても、凝っていた部分を簡単にほぐすことができますね。マッサージ前と後では頭の軽さが全然違って、ラクになりました!
村木式セルフケアメソッドを実践する際に気をつけたいのが、正しい姿勢と呼吸。なるべく正面を向いて姿勢よく。息は吐きながらやると、自然と筋肉もゆるみます。止めると筋肉の緊張がとれず食いしばってしまうので注意しましょう。
気になる筋肉を意識しながら、押さえて圧をかけたり、首やあごを少し動かすだけのお手軽さも魅力の村木式セルフケアメソッド。
やってみると、セルフとは思えないほどすっきりして驚きました!今までのマッサージに比べて、効果を実感できていますし、ちょっとした合間にできるので、続けられそうです
人にはそれぞれ使えていない筋肉があります。その筋肉を意識できるようになったら、次はそれを正しく使うことが大切です。筋肉の表層だけを揉んでも、またすぐに凝り固まってしまうので、筋肉の深層部から動かしてほぐしてあげましょう
私は飽きっぽいので、毎日続けるコツがあったら伺いたいです。また、効果が出やすいなど、マッサージにおすすめの時間帯とかもありますか?
全部やれるのが理想ですが、気になるところだけでも大丈夫。できるものをできる量だけやっていると、だんだん慣れて、早くできるようになります。その日の緊張はその日のうちにとってあげたほうがいいので、できれば寝る前にやるのがおすすめです
早速、いつもの生活に村木式セルフケアメソッドを取り入れて、顔のコンプレックスをらくらく解消しちゃいましょう。