神社やお寺でいただける「御朱印」は、自分だけの神仏とのご縁の記録。朱肉で押される印章や社名、神様・仏様のお名前などの墨書きで構成されています。多彩な印章や手書きだからこその筆致の違いなど、社寺それぞれの個性的な御朱印に魅了される人が増えているようです。御朱印はもともと、お寺で納経をした際の証として納経印を授与していたものが原型だったとする説があります。今でもお寺で御朱印帳を「納経帳」とも呼ぶのは、その名残といえます。
【御朱印の見方】
神社の御朱印の見方
※神田神社の現在授与している御朱印とは異なります。
※(2)の場所などに、神社の所在地や、その神社に関連する地名が入ることがあります。
お寺の御朱印の見方
御朱印には元号が入っていることから、令和の始まりに全国の神社やお寺で大勢の人が列を成して、御朱印をいただく様子がニュースで話題になりました。近年、伊勢の遷宮や高野山開創1200年など大きなイベントが続いており、神社やお寺にお参りに訪れる人が急増。これまで初詣にしか参拝にこなかった若い人たちも、旅行を兼ねて参拝するようになっています。御朱印も「自分だけの参拝の記録」として注目され、加えて歴女と呼ばれる歴史や文化財に関心がある若いタレントさんたちがSNSに御朱印を投稿したことなども相まってブームとなっていったようです。
また、最近では通年授与をしている御朱印に加え、季節や行事ごとに構成を替えて授与する限定の御朱印も増えてきています。一度いただいた社寺の御朱印であっても、また趣の異なる御朱印を求めて授与日には大勢の参拝者が訪れています。こうした限定の御朱印に関する情報は各施設の公式TwitterなどSNS、HPなどで公開されているのでチェックしてみてください。
神社やお寺にぶらりと行って御朱印を始めるのではなく、事前にいただくための準備をしましょう。マナーも大切です。
準備1:御朱印帳
御朱印を始めるにあたっては、まずは御朱印帳を用意しましょう。各社寺でオリジナルのデザインを用意しているところも多くあり、御朱印をいただく際に授与をしてもらうことも可能です。ただし、必ずしもすべての施設で用意があるわけではありません。人気のデザインの帳面は欠品していることもあり、参拝に行く前に在庫を電話で確認しておくのがおすすめです。
折からのブームで、雑貨店や文房具店の独自のものや人気キャラクターの絵柄を使用した御朱印帳も豊富に販売されるようになりました。こうした御朱印帳を選ぶ際には、使用している紙質をチェックしてください。表面がツルツルした紙だと墨を吸水しにくく、せっかくの御朱印が滲むことも。薄い紙だと裏移りしてしまい、ほかの御朱印に重なってしまうことも考えられます。
準備2:小銭入れ
御朱印は300~500円が一般的です。地方の小さな社寺では小銭を潤沢に準備していないところもあります。社寺はコンビニやスーパーのような商店ではないので、1万円札を渡してお釣りを求めたりせず、事前に小銭を準備してから出かけましょう。100円ショップで買えるコインケースや、小さながま口財布を用意しておき、お財布に100円玉が出たときに移しておくとスムーズです。
準備3:御朱印帳ケース
家や会社の近く、ちょっとしたお出かけ先、旅行先など、御朱印を始めると今まで気に留めていなかった社寺の存在に気づくことがあります。ふとお参りしたくなったときに御朱印をいただけるよう、御朱印帳はいつでも持ち歩いておくとよいでしょう。巾着袋や専用の持ち運びケースなど、通販などでも取り扱いをするところが増えてきたので、御朱印帳と小銭入れをセットにして鞄に常備しておきましょう。もちろん、御朱印帳がなくても申し出れば半紙に書かれた御朱印をもらうことができるので、帳面に糊付けして保管をしましょう。
また、御朱印をいただく社寺は熱心に神仏に祈る人が多く集まる宗教施設です。御朱印に限らずマナーを守って参拝をしましょう。御朱印をいただく際に気をつけたいマナーも解説します。
マナー1:参拝をきちんとする
御朱印は、あくまで参拝の証となるものなので、神様や仏様にお参りをしてからいただきます。スタンプラリーのように御朱印だけをもらいに行くのはマナー違反です。ただし、混雑しやすい観光地の社寺などで、お参りの前に授与所や納経所に帳面を預けてから行くことを勧められる場合は、これに従います。預ける際には似た御朱印帳が多く、取り違えの事故も起きやすいので帳面に必ず名前を書いておきましょう。
マナー2:無理強いをしない
手書きだからこそ、一つひとつ異なる個性がある御朱印。しかし、「本とまったく同じように書いて」「(本やWEBサイトの記事を指差しながら)この御朱印を書いた人を出して」と指定をする人も……。墨書きの異なる筆致を楽しみこそすれ、寸分違わず同じ御朱印を求めるなどの無理強いは厳禁です。
マナー3:記帳の様子を撮影しない
心をこめて御朱印を書いてもらう最中に、動画や画像を撮影するのもやめましょう。また、授与所で待つ間の飲食や、大声でおしゃべりするなど騒ぐのもマナー違反です。
準備とマナーを覚えたら、早速御朱印デビューをしましょう。
初めて御朱印をいただく人におすすめの神社とお寺を4つご紹介します。ここに掲載した社寺は、いずれもオリジナルの御朱印帳を取り扱っています。事前に帳面を用意して出かけなくとも、授与所や納経所でサンプルを拝見して、お頒かちいただくか決めることも可能です。
※実際の御朱印受付状況は、各社寺のHPでご確認ください。
神田神社
(画像提供:神田神社)
(画像提供:神田神社)
東京の中心部にあり、秋葉原、御茶ノ水から徒歩圏内の神田神社。オリジナルの御朱印帳も数種類あり、都心部に在住・在勤している人にはおすすめの神社です。2018年には、境内に文化交流施設もオープン。お参りのあとに神社ならではのスイーツや食事を楽しめるほか、さまざまな催しを一年通して数多く開催しています。
神田神社(https://www.kandamyoujin.or.jp/)
東京都千代田区外神田2-16-2
御朱印受付時間:毎日9時から19時(季節により時間の変動あり)
東大寺
奈良のシンボルともいえる東大寺。奈良観光の際には外せない観光スポットですが、東大寺は大仏殿だけでなく、境内にさまざまなお堂が点在しています。全部をお参りしていくと10種類以上の御朱印がもらえるので、帳面が埋まっていく楽しさが味わえるはず。オリジナルの御朱印帳はつややかな紫に人気タレント・篠原ともえさんのイラストがかわいい表装です。
東大寺(http://www.todaiji.or.jp/)
奈良県奈良市雑司町406-1
御朱印受付時間:拝観時間に則る
(http://www.todaiji.or.jp/contents/guidance/guidance1.html)
住吉大社
(写真提供:住吉大社)
(写真提供:住吉大社)
『源氏物語』など古典にも多く登場し、大阪の住吉大社は全国に2300以上あるとされる住吉神社の総本社です。うさぎが神様のお使いであることから、御朱印帳にはかわいいうさぎが入っていて女性に高い人気を誇ります。
境内には摂社が点在し、全部で2つの御朱印がいただけます。
住吉大社(http://www.sumiyoshitaisha.net/)
大阪府大阪市住吉区住吉2丁目9-89
御朱印受付時間:毎日9時から17時(ご祈祷の受付は16時まで)
古峯神社
(写真提供:古峯神社)
「日光発祥の地」ともいわれる栃木にある古峯神社は、別名で天狗の社とも呼ばれています。敷地内には大小さまざまな天狗様がお祀りされているのも見どころのひとつ。御朱印も見開きで、迫力ある天狗様やかわいらしい天狗様などがあります。令和2年現在、印刷の御朱印は20種類もの御朱印見本から好きなものを選ぶことができますが、御朱印帳への記帳の場合は、絵柄の種類はおまかせになります。
古峯神社(http://www.furumine-jinjya.jp/)
栃木県鹿沼市草久3027
御朱印受付時間:毎日8時から17時
御朱印を始めると、これまで漠然とお参りしていた全国の社寺にいつ参拝したのかが御朱印帳を開けばわかるようになります。また、これまで社寺を参拝するだけだったのが御朱印をもらうことで、神様や仏様に奉仕する人たちと会話をするきっかけにもなります。これまで知らなかった歴史や、見どころなどを教えてもらえる機会にもなるはず。
ブログやTwitter、Instagramなどデジタルでなんでも記録できる時代。あえて紙と手書きというアナログさもまた新鮮ですよね。ぜひ、御朱印で自分だけのご縁の記録をはじめてみませんか。