……のばらさん
小学3年生と1年生の姉妹、2歳の息子の子育てに奮闘中のママブロガー。
……濱田大地さん
ユーキャンの小学生向けプログラミング講座を監修。子ども用プログラミング教材の開発に携わる他、プログラミング教室の講師も務めている。
実は、今回濱田さんにお話を伺うまで、2020年から小学校でプログラミング教育が必修化されることを知りませんでした。プログラミングって難しそうだし、授業内容も分からなくて……。子どもたちが授業についていけるか、ちょっと不安です。
必修化されると言っても、プログラミングという教科ができるわけではありません。国語や算数など、今ある教科の中でプログラミングを活用した授業が行われます。
えっ、そうなんですか?プログラミングって、パソコンの画面に英語や数字を打ち込むイメージがあります。そんな高度なこと、子どもたちにできるのかしら……?
いえいえ、小学校ではそんな難しいことはやらないので安心してください。各教科の中で、楽しみながらプログラミングの考え方を体験して、理解を深めていく感じですね。
少しホッとしました……。ところで、そもそもプログラミングとはどういうものでしょうか?
簡単に言うと、コンピューターへの指示書を作る作業です。冷蔵庫や洗濯機などの家電をはじめ、さまざまな機械はコンピューターで制御されています。でも、コンピューターは指示されないと動きません。そこで、「まずAをして、次にBをする」とか、「こういう場合はこういう動きをする」とか、機械にさせたい作業を順序立てて考え、コンピューターに指示する必要があります。
指示書?順序立てて?難しい……(泣)。
もう少し具体的にご説明しましょう。例えば、洗濯機には「洗って→すすいで→脱水する」という動きがプログラミングされています。冷蔵庫にも、「庫内の温度が設定温度より高い場合は、パワーを上げて冷やす」という動きがプログラミングされているんですよ。
なるほど!
プログラミングの基礎となるのは、「物事を順序立てて考える力」です。小学校では、プログラミングやコンピューターに親しみながら、この力を養うことを目標にしています。
だんだん興味がわいてきました!実際には、どんな授業をするのでしょうか?
必修化を前に、すでにプログラミングの授業を行っている小学校もあります。子ども向けの「スクラッチ」というプログラミングソフトを使って授業をしている学校が多いですね。例えば算数なら、子どもたちがプログラムを作ってキャラクターを動かし、正方形を描いたりします。ちょっとお見せしましょう。
画面には、「〇歩動かす」「〇度回す」など、キャラクターを動かすための指示が書かれたいろいろなブロックが表示されています。それぞれのブロックに、どんな指示を入れて、どの順番で並べれば、キャラクターに正方形を描かせることができるのかを考えます。
なんかゲームみたい!楽しそうですね。他の教科ではどんなことをやるんでしょうか?
「スクラッチ」は、キャラクターをいろいろ動かしたり、セリフを言わせたりすることもできます。国語では、物語をつくって、そのストーリーを画面で展開できるようなプログラミングを考える授業を行っている学校もあります。理科では、センサー付きのライトをプログラミングで操作するような、ちょっと実践的な授業をしている学校もあるんですよ。
いろいろなことをやるんですね。でも、どうして今、プログラミング教育を始めるんでしょう?
今の時代は、AIやロボット技術が発達して、社会が大きく変わろうとしています。コンピューターやプログラミングは、すでに私たちの生活と切り離せないものなので、小学生のうちから親しんで理解していくことが必要なんです。中学校では、すでにプログラミング教育が必修化されていて、2021年から、さらにプログラミングに関する新たな単元が追加されます。2022年からは高校でもプログラミング教育が必修化されます。
濱田さんのお話を聞いて、小学校のプログラミング教育がどのようなものかが分かってきました。授業開始までに家庭でやっておいた方がいいことはありますか?
家庭でプログラミングに親しむ方法はいろいろあります。プログラミングについてやさしく解説している本がたくさんあるので、まずは親子で一緒に読んでみるところから始めてみてはいかがでしょう。また、テレビでプログラミングの番組があれば、それを観て学ぶのもいいですね。他にも、科学館や民間のプログラミング教室などでワークショップを行っているところもあります。子どもが興味を示したら、教室や通信講座を考えてみるのも一つの手です。
学校でプログラミング教育が始まったら、予習や復習は必要ですか?パソコンで何かソフトをやらせればいいのかしら……。
小学校ではプログラミングの初歩レベルのことしかやらないので、子どもたちが授業についていけなくなることは、ほとんどないのではないかと思います。もちろん、家にパソコンがあれば、学校で使っているのと同じソフトを体験してみるのもいいですね。ソフトといっても無料で使えるものがほとんどです。
でも、学校で習ってきた内容について子どもたちに聞かれても、私自身が答えられる自信がないかも……。
プログラミングは、大人も子どももほとんどやったことがないので、子どもの方が先にできるようになることはよくあるんです。教えるというよりも、一緒に考えたり、子どもが作ったものを褒めてあげたり、子どもの頑張りを応援してあげてください。
それなら私でもできそうです!
プログラミング教室に通う子どもたちを見ていると、みんなイキイキとして、楽しそうに取り組んでいます。あまり不安を感じる必要はないですし、みんな一緒のスタートだと思えば怖くないですよ。
子どもと一緒にこれから楽しみながら学びたいと思いますが、一つ不安なことが……専門用語とか覚えないとダメでしょうか?
プログラミングの専門用語はたくさんあります。でも、小学校で覚えなければいけないものは、ほとんどありません。プログラミングの基本処理は、「順次」「繰り返し」「条件分岐」の3つしかないので、小学生はこれらを理解しておけば十分です。
3つだけでいいんですね!しかも日本語だ(笑)。
コンピューターは、指示されたプログラムを上から順番に実行していくという性質があります。これを「順次」と言います。私たちの生活でも、例えば「家に帰る→手を洗う→おやつを食べる」という順序がありますよね。
ふむふむ。
これが、もし、「家に帰る→おやつを食べる→手を洗う」という順番だとおかしいですよね。プログラミングを考えるときも、どういう順番で指示を出せば、コンピューターがちゃんと動いてくれるのかということを考える必要があります。
「繰り返し」は、コンピューターが同じことを一定回数繰り返すことを言います。例えば、「ド→レ→ミと音を鳴らすことを10回繰り返す」というプログラミングをすると、コンピューターはその通り実行します。
「条件分岐」は、条件によって動作を切り替える指示のことです。例えばセンサー付きライトの中には、「周りが暗くなったらライトをつける。周りが明るくなったらライトを消す」といったプログラミングがされているものがあります。
どれも難しいことではなくて、自分たちが生活の中で行っていることをコンピューターへの指示に当てはめる感じです。小学校で使うプログラミングは、この3つの組み合わせだけですから、誰でも楽しく取り組めると思いますよ。
すごい分かりやすい!プログラミング教育なんて、不安ばかりでしたが、これなら私も子どもたちもできそうです!
「私自身、コンピューターに苦手意識があるので、プログラミング教育が始まったら、子どもに『頑張りなさい』と言う自信がないなと感じていました。でも、濱田さんにいろいろなことを伺って、プログラミングは身近なものなんだと感じました。まずは、親子で科学館に行ってみたりしながら、プログラミングとはどういうものかを知るところから始めたいと思います。きっと子どもたちの方が抵抗なく楽しんで、大人よりもプログラミングのことをどんどん吸収していく気がします。私は、子どもに教えてもらうぐらいの気持ちで、一緒に楽しく学んでいければいいなと思っています」(のばらさん)
のばらさんは、プログラミング教育についての不安が少し解消されたようですね。みなさんも親子で楽しくプログラミングの基礎を学んで、2020年の授業開始に備えましょう!