藤裕美さんは、日本で10年間眼鏡店に勤めた後、ドイツに渡り眼鏡ブランド『frost』のアトリエで勤務、そして現在は国内外でメディアを中心にスタイリングや目や眼鏡のイベント等に携わっているという、眼鏡専門のスタイリストです。眼鏡を変えたことで笑顔を取り戻した女性や、眼鏡をかけはじめたことがきっかけで人からよく話しかけられるようになった男性など、「眼鏡を変えて人生が変わったシーン」を、たくさん見てきたそうです。
「『私は眼鏡が似合わない』『似合う眼鏡が見つからない』などの、悩みや相談を多く受けます。多くの人は、眼鏡の選び方がわからないから、みんなと同じデザインを選んだり価格で選んだりと、眼鏡をなんとなく購入して疑問を感じてしまうんです。眼鏡は顔のど真ん中にくる、あなたの印象を大きく左右するもの。どんなふうに自分を表現したいかをじっくり考えて、眼鏡を選んで欲しいです」(藤裕美さん)
藤さんによると、「最も重要なのが、眼鏡を正しい位置でかけること」だそうです。適切なサイズの眼鏡を選び、顔の適切な位置(高さ・配置)に合わせましょう。まずは、ベストな「眼鏡をかける位置」をチェックしてください。
ベストな「眼鏡をかける位置」とは?
「眼鏡をかける時に、位置を意識したことはありますか?パンツをはく時にベストな丈があるように、眼鏡にもベストなかける位置があります。『今の眼鏡は私には似合っていないかも……』と思っている人は、正しい位置にフィッティングしなおすだけで、似合う眼鏡に変わる可能性があります。
レンズの天地幅が狭い眼鏡と広い眼鏡では、正しい位置も少し異なってきますので、それぞれの正しい位置を知り、眼鏡を試着する際にも参考にしてください」(藤裕美さん)
レンズの天地幅が狭めの眼鏡の正しい位置:黒目が上下フレームのセンターにくるように
NG:眼鏡の位置が低いと、眼鏡のフレームと目が重なってしまい、目の印象が弱まり、だらしなく疲れた印象に。逆に、眼鏡の位置が高いと、間抜けな印象になってしまいます。
OK:レンズの上下幅の中心に黒目があると、目の印象もはっきりして、すっきりした印象に。
レンズの天地幅が広めの眼鏡の正しい位置:レンズの上下の中心よりも少し上に目がくるように
NG:天地幅狭めの眼鏡と同様、眼鏡の位置が低いと、目力が弱まります。天地が広い眼鏡だと、よりだらしない印象に。逆に、眼鏡の位置が高いとのんきな印象にもなります。
OK:眼鏡の中心よりも少し上に目がくると、大きなフレームでもしっくり!
流行の大きめの丸眼鏡など上下の幅が広い眼鏡の場合は、眼鏡の中心に目があると、上部に変な空間ができて間抜けな印象になるので、眼鏡の中心よりも少し上に目がくるようにかけましょう。
そして、自分の目とフレームのバランスがとれた眼鏡と出会うためには、
ことが大事です。眼鏡をかけて、いろいろな角度や全身鏡でチェックしてみましょう。
藤さんいわく、「眼鏡を変えることで、見せたい自分に近づくこともできる」のだとか。今回は、「大人っぽく見せたい」「仕事ができるように見せたい」「かわいく見せたい」の、3つのなりたいスタイルを実現するための眼鏡の選び方を、藤さんにお伺いしました。
①「大人っぽく見せたい」時は、フレームの素材にこだわる
「大人っぽく見せたい場合は、フレームの素材にこだわりましょう。フレームの素材は大きく分けて、プラスチックとメタルの2種類があります。
大人っぽく見せたい場合は、フレームのすべてがプラスチックの眼鏡よりも、プラスチックとメタルの両方を使用しているコンビネーションフレームの眼鏡がおすすめです。同じデザインの眼鏡でも、テンプル(耳にかける部分)の素材がメタルになるだけで、ぐっと大人っぽい印象になります。
また、スーツ着用の仕事や公共性の高い仕事の場合、フレームが太い眼鏡だと眼鏡のイメージが強く、個性も強くなりやすいので、リム(レンズを囲む部分)が細いフレームがおすすめです」(藤裕美さん)
眼鏡を選ぶポイント
プラスチック+メタルのテンプルで大人っぽく
リムが細いフレームで大人っぽく
②「仕事ができるように見せたい」時は、フレームの形や色をチェック
「仕事ができるように見せたい場合は、フレームの形や色がポイントです。そして、仕事でかける眼鏡を選ぶ上で一番重要なのは、職種と職場での立場です。
たとえば女性の場合は、スーツなどを着るかっちりした仕事でも、接客業でも、『親しみやすさ』は必要でしょう。話しかけやすい印象を与えるのが吉です。
男性でスーツ着用の仕事の場合は、清潔感を与えることが第一。また、飲食店などの接客業の場合は、顔を覚えてもらうためや話のきっかけ作りにするために、個性を出すことを意識してもいいでしょう。
また、眼鏡は休日に買いに行く人が多いと思いますが、仕事中にかける眼鏡は、仕事中の服装やメイクで似合うかが大切です。その点を意識してチェックするようにしましょう」(藤裕美さん)
仕事ができるように見せたい:女性の場合
「女性の場合、仕事ができるように見せるためには、親しみやすく、同時にしっかりしている印象を与えるのがポイントです。そのためには、スクエアタイプで薄い茶色など、肌なじみのいい色のフレームを選ぶとよいでしょう。四角い眼鏡はきつい印象になりがちですが、フレームのカラーを柔らかくすることで親しみやすくなります。
黒いフレームの眼鏡の場合はきつくなりがちですが、真っ黒ではなく、フレームの内側がクリアやべっ甲など別の色とのコンビネーションのものを選ぶだけでも、少し印象が和らぎます」(藤裕美さん)
眼鏡を選ぶポイント
ライトブラウンのフレームで親しみやすい印象に
仕事ができるように見せたい:スーツ着用の男性の場合
「スーツを着てかっちりした仕事をしている男性が、仕事ができるように見せるためには、『信頼できる人』という印象を与えることが大切。個性の強いフレームや色を選ぶのは避けたほうが無難です。
流行を追った個性的なフレームや派手な色を選ばなくても、『ネジを1本も使用していないフレーム』『見る角度によって厚みが変化するフレーム』など、ディテールにこだわった眼鏡を取り入れることで雰囲気が生まれ、仕事ができる印象になります。
年配の男性が部下から親しみやすく見られたい場合は、優しく見える、ボストンなどのフレームがおすすめです。一方、若い男性はスクエアのフレームを選ぶとしっかりした印象になりますよ」(藤裕美さん)
眼鏡を選ぶポイント
スクエアのフレームでしっかりした印象に
仕事ができるように見せたい:接客業などの場合
「接客業など、人に『親しみやすい』という印象を与えたい仕事の場合は、トレンドを意識したフレームがおすすめです。最近なら、柔らかく落ち着いた印象の、丸みのあるボストンや丸眼鏡を選ぶのがいいでしょう。
アパレルや飲食店など『人に覚えてもらうこと』を意識するなら、個性的なフレームや色の眼鏡で印象付けるのも一つの手です。眼鏡をきっかけに会話が弾む……なんてこともあるかもしれません」(藤裕美さん)
眼鏡を選ぶポイント
個性的なフレームで、印象に残るように
③女性が「かわいく見せたい」時には、眼鏡とアイメイクのバランスを
「眼鏡をかけて、よりかわいく見せたい時は、メイクで調整するのがおすすめです。流行の大きめな眼鏡には小顔効果があると言われていますが、実際にかけると目が小さく見えてしまいがち。アイラインをしっかり引いたり、ビューラーでまつげをしっかり上げたりすると、目の横幅が大きく見えるので眼鏡とのバランスもよくなり、より魅力的に見えます。
目尻にアイラインを長めに引くだけでも、目が大きく見えますよ。レンズの天地幅が狭い眼鏡をかける時は、アイラインで目を大きく見せるよりも、アイシャドウの色で印象の変化を持たせるのがおすすめです」(藤裕美さん)
眼鏡でかわいく見せるポイント
流行の大き目の眼鏡をかける時は、アイラインやマスカラで目を大きく見せる
天地の幅が狭い眼鏡をかける時は、アイシャドウで目の印象を変える
いかがでしたか?眼鏡は自分の大切な目に、大きく関わる「医療機器」。値段やブランド、流行だけでは選ばず、まずはしっかり自分に合っている眼鏡を選び、そして正しい位置でかけることが大切です。
その上で、あなたの「こうなりたい!こう見せたい!」を叶える、眼鏡選びを楽しみましょう。眼鏡を変えると、見た目や印象が変わるのはもちろん、眼鏡をかけているあなた自身の気持ちや性格にも影響を与え、人生まで変わることもあるかもしれません。
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