冬が近づいてくると、次第に気持ちが重くなり、憂うつが深まってしまう。春や夏には気分爽快で色々なことを楽しめるのに、冬に近づくと何もする気が起こらなくなり、ぼーっとしてしまう……。こんな傾向に心当たりがありませんか?
一般的に、人は春から夏より秋から冬にかけて、憂うつ気分が深まりやすくなるものです。この気分の変化は、「日光」と関係していると言われています。気分の安定には、日光のような強い光を浴びることが欠かせません。それは、精神の安定に関わる脳内の「セロトニン神経」が、光に刺激されて活性化されるからです。
しかし、冬場は日光を浴びる機会が少なくなりがちです。それは、1日の日照時間と深く関わっています。1年で最も日照時間の長い「夏至」(6月20日または21日)と「冬至」(12月21日または22日)の日照時間では、東京で最大5時間近くの差になります。緯度の高い地方では、さらにこの差が大きくなります。したがって、意識して日光を浴びるように心掛けないと、セロトニン神経が活性化されにくく、憂うつ気分が深まりやすくなってしまうのです。
同じ光でも、室内照明のような光ではセロトニン神経を活性化させるほどの影響力はありません。したがって、日中は寝て過ごし夜に活動する「夜型」の生活を続けている人や、外出を嫌い薄暗い部屋の中で過ごしている人は、セロトニン神経の活性化に必要な光を取り入れることができず、憂うつ気分が深まりやすくなってしまうのです。
しかも、冬は日照時間が少なく、外気も冷たいため、外出する気が失せてしまうもの。ますます日光と縁遠くなり、憂うつが止まらなくなってしまうことも少なくありません。その結果、「冬季うつ病」という季節性のうつ病になり、治療が必要になってしまう場合もあります。
では、そんな冬にはどのように憂うつ気分を防いでいけばいいのでしょう? ここでは、3つのポイントをお伝えします。
寒いと外に出るのもおっくうになるかもしれませんが、1日に30分は日光を浴びるようにしましょう。できれば、外に出て1日30分間ほど体を動かすのが理想的です。セロトニン神経の活性化には、日光を浴びながらリズム運動をすると効果的だからです。
激しい運動をする必要はありません。買い物ついでの散歩、通勤時には一駅分歩く、といったことで十分です。
冬は日の光が弱いため、部屋の中に十分な光が入りにくいもの。カーテンをしっかり開け、なるべく日光を浴びられるように窓辺で過ごす時間を増やすといいでしょう。
いくら明るい室内灯を使っていても、日光ほどの照度は期待できません。セロトニン神経を活性化させるために必要な照度は2,500ルクス以上と言われていますが、蛍光灯の照度は明るくても500~1,000ルクス程度です。窓辺なら曇りの日でも2,000ルクス前後の照度は期待できますので、なるべく窓辺で過ごすようにしましょう。
資格の勉強をしている方などは、夜の方が静かで落ち着くかもしれませんが、まったく日光を浴びない生活はよくありません。特に、週末などに昼夜が逆転した生活をしているような方は要注意。朝早めに起きて、意識して日光を浴びるようにしましょう。
夜勤のある方や、1日中日照の少ない場所(工場や倉庫など)で仕事をしている人も、休憩時間には食後外に出て散歩をするなど、1日に30分ほどでいいので日光を浴びる時間をつくりましょう。
以上のような生活を意識していれば、冬の憂うつ気分から徐々に解放されていきます。
気分が開放的になりやすい春夏に比べて、冬はゆっくり心身を休ませながら、室内で勉強などにじっくり取り組むのに適した季節です。 この季節、何となく憂うつ、何もやる気が湧かない、集中できないといった気分を覚える方は、ぜひ毎日積極的に日光を浴びる習慣をつけてみましょう。すると、不思議と気分が安定し、やるべきことに集中できるようになると思います。特に、資格の勉強をされている方や受験生などは、学習の効率をアップさせるためにも「日光を取り入れる生活」を意識して続けていくのがおススメです。
【執筆者プロフィール】
大美賀直子(おおみかなおこ):
All About「ストレス」ガイド。メンタルヘルスの分野を中心に執筆するジャーナリスト、カウンセラー。精神保健福祉士、産業カウンセラー、キャリアコンサルタントの資格を持つ。現代人を悩ませるストレスに関する基礎知識と対処法を解説。ストレスやメンタルコントロールに関する著書・監修多数。
やらなければいけないことがあるのに、なかなかやる気が出てこない…。そんなとき、自分の脳に錯覚を起こさせて、やる気が出るよう仕向ける、という方法もあります。ここでは、いつでもどこでも簡単にできる、 脳をだますための具体的な3つの実践法をご紹介します。
●同じ特集の記事をチェック
やらなければいけないことがあるのに、なんとなくやる気が出ない。時間だけがダラダラ過ぎていく。そうしてハッと気が付いては、自己嫌悪。
そんなマイナスのループを繰り返さないために、ここでは学習のモチベーションを上げる、「やる気UP」に役立つ記事を集めました。