日本は、かつては米や魚中心の食生活でした。しかし欧米化が進み、今では肉類や油分を多く含む食品を食べることも一般的になっています。また、核家族化やライフスタイルの多様化により、家族団らんの機会が減り、子どもが一人でご飯を食べる「孤食」も増えています。
さらに、食品に関する情報が氾濫し、大人でさえ何をどのように食べれば良いのか判断しづらいのが現状です。
このような背景から、平成17年7月に食育基本法が施行されました。
食事をより広い視野でとらえ、食事の作法や栄養や食文化、そして食品の生産や流通など、子どもが健康的な食生活を送れるよう、正しい判断力を身につけさせること、それが食育です。
食育を実りあるものとするためには、学校だけでなく家庭でも食事を楽しみ、正しい食生活を送ることが大切です。食材が食卓に並ぶまでについて学ぶだけではなく、日々の食事を通じて、食文化や自然の恵みの大切さ、そして食を支える人々への感謝の心を理解できるようになることなどが食育の目標です。
食育の意義のひとつは、子どもの考える力や判断力を養うことです。子どもにとっては日々の経験が成長の糧となります。食育を通して子どもは何をどのように食べれば良いかを少しずつ学んでいきます。
一度身につけた生活習慣が子どもの将来に与える影響は少なくありません。大人になってからも幼少期のライフスタイルを変えられないがために、肥満や高血圧といった生活習慣病を患うケースもあります。食育は生涯にわたって自分の健康を守る力を養う、重要な役目を果たすのです。また、正しい食事だけでなく礼儀や作法といった社会常識を身につける上でも、食育が果たす役割は大きいと言えるでしょう。
子どもと一緒にいつも遅くまで起きているという人も多いかもしれませんが、子どものうちから夜型の生活に慣れさせてしまうと、子どもの生活習慣が乱れる一因になってしまいます。生活リズムを改善するためには、朝しっかりと起きられるように早めに就寝させることはもちろん、朝ご飯をしっかり食べることをオススメします。
朝ご飯は1日の活力源であり、朝ご飯を食べることで勉強やスポーツで力を発揮しやすくなります。
農林水産省が発表した平成27年度の「食育白書」によると、朝食を毎日食べている小中学生は、朝食をときどき抜いたり、まったく食べなかったりする生徒よりも学力調査(国語と算数、または数学)と体力テストで良い成績を収めています。
しかし、働きながら子どもを育てる親は、朝食作りにかけられる時間が限られています。そのため、食育推進の取り組みとして、手軽に作れる朝食メニューを募集し、朝食を食べることを促す「朝食キャンペーン」を実施する自治体もあります。
また、食事は家族と過ごす大切な時間でもあり、両親や祖父母と一緒に食事を取ることで、子どもは自然と食における知識や風習、マナーについて理解を深めていきます。親は子どもの食生活の手本となる存在です。親子で買い物に行ったり、料理をしたりすることも大切な食育の取り組みのひとつと言えるでしょう。
「おいしく、楽しく、健康的に食べること」が食育の基本的な考え方であり、家庭が食育の中心的な役割を担います。可能な限り、家族そろって食べることで喜びを分かち合い、子どもが正しい食品の選び方や地域に根差した食の風習、お箸の持ち方などを身につけられるようにしましょう。
いかがでしたか? 食育の大切さを実感し、実践してみたいと思った方も多いのではないでしょうか。そんな方は、食育実践プランナーの資格取得を検討してみるのもオススメです。
ここでは、ユーキャンの食育実践プランナー講座、調理師講座の主任講師である宮川順子先生に、 食の知識の大切さを実感したエピソードを語っていただきました。