当時の私たちの住まいは、夫婦二人時代に買った2LDKのマンション。
7年間で、子供が2人誕生し、狭くなる一方でした。
「よし! 広い家に引っ越そう!」
家族4人で楽しく暮らせる「理想の家」を求めて、大海原に出航したのでした。
まず、ファミリー向け新築マンションのモデルルームに出向き、素敵な生活をイメージ。
しかし、価格は3500万円~4500万円。た、高い! けど、今のマンションが高めに売れたら……頭金に充てられるカモ? なんて期待して、不動産屋に売却の見積もりを依頼。
2LDK新築マンション、購入価格2650万円。7年間で、ローンの残債2000万円ほど。
見積もりの結果は……
1960万円。
いわゆる、【残債割れ】。
ガ、ガビーーーン!!!
そんな時。
私は仕事で、不動産の専門家からお話を伺う機会に恵まれました(宅建士、土地家屋調査士、マンション管理士、建築士、FPなど様々な資格をお持ちの方々!)。
住宅ローンのこと、返済計画の立て方、物件にかかるお金の総額、物件の価値の見極め方……etc。
特に、『物件の資産価値』の重要性……「新築は住んだ瞬間に中古になり、価値が急落する」という知識は、グサグサ刺さりました。
「もう、失敗したくない!!」
子供を抱え、夫と二人、立ち上がりました。
ライフプランを書き出し、無理なく購入できる額を算出!
チーン! 物件価格&諸経費込み、総額2800万円!
「この額で新築は無理!」
舵を切って、「中古マンションの海」に突入!!
値段と家族の希望、両方を満たす物件が、なかなか見つからない中。
同時進行で進めていた売却が、エリアの価値などが見直しされ、2100万円で再提案されました。
ギリギリ、残債割れが免れる額。
これを逃したら次はないかも……? けど、理想の家は見つからない! しばらく賃貸? どこに? 子供たちの保育園は? 私たちの仕事は? ライフプラン表とにらめっこ。
見えてきたのは、「夫の地元である現在の住まい・横浜市から、私の地元・愛知県A市への移住」でした。
地方での暮らしをシミュレートすると、住宅費はもちろん、教育費・医療費・日々の生活費など、様々な部分でラクになりそうだったのです。
また、この地方は工場系の有効求人倍率が全国トップでしたので、もし私のマンガの仕事がなくなっても「働き口」はある、どうにかなる! と思えました。
「よし、引っ越ししよう!」
私たちは、新たな地で改めて「理想の住まい」を探すことにしました。
地方へ引っ越して1年。
資金計画を立て、物件情報を漁るようになりました。
すると、わかったことがありました。
それは……どうやら、私たちでも「戸建て」に住める! ということ!!
さすが地方! 移住してよかった!!
ただ、「新築は住んだ瞬間に中古になり、価値が急落する」こと、身に沁みておりましたので……。
『中古戸建』を探し始めました。
そして、1ヵ月ほどで、理想的な物件に出会ったのです。
なんてスムーズな航海!!
市の中心地から少し外れた、閑静な住宅地の4LDK。
物件価格は2100万円。リフォーム代、手数料、諸費用で500万円を想定。
頭金は、子供が生まれてから、私の収入から捻出した月10万円×12ヶ月×4年半分の、約500万円。
住宅ローンは、自営業や勤続年数が短い人でも比較的通りやすいという、フラット35に申請。
2100万円を金利1%、ボーナス返済なしで25年ローンなら、月々7万9143円、30年ローンなら月々6万7544円。
夫婦共働きなら行ける、一戸建てに住める!! 最高!!!
手付金100万円を払い、売主さんと契約締結。
ローンの本審査に挑みました。
審査結果を待つ間、リフォームの見積もりを取ったり、小学校など周辺の情報を集めたり。
で、1ヵ月ほどして、ローン審査の結果が出ました。
落ちました。
「な、なんで!? 私たちの職業が不安定だから!?」
納得できず、自分たちで銀行周り。都市銀行、地方銀行、ネット銀行、信用金庫etc......
書類をかき集め、記入し、提出。
様々な返答がありました。金利を高くすれば通せる、リフォームをこの会社と契約締結すれば通せる、など。
一番響いたのは、「この物件で、2100万円満額は貸せない」という理由。
え、そ、それってつまり、この物件、2100万円だと高い、ということ……?
ガ、ガビーーーン!!!(2回目)
ゆったり4LDKで、閑静な住宅街で、周辺に川や田んぼ等緑も多くて暮らしやすそうな……私たち家族にとっては、理想に近い家。
だけど。
物件資料を冷静に見直してみると……、駅や市街地から遠いし、夜は真っ暗で防犯上怖いし、洪水ハザードマップでもギリギリなエリア……?
ハッッッ!!??(目が覚めた音)
どうやら私たちは、「夢の戸建て」に目が眩んで、また「資産価値」を見誤っていたのでした。
手付金は全額返ってきましたが、ローン審査の書類を何度も発行するのに結構な手数料と時間がかかりました。
まさに勉強代。
資産価値を気にして「中古物件」で選んでいるはずだったのに、ローン審査に落ちるまで、再び資産価値を見誤っていることに気付けていなかったなんて、ね。
でも、最終的に気付けてよかったです。
そして、もっと頭金があって、私たちの職業が安定していたら……。
資産価値が低いと言われたあの戸建、ローンが組めて、買えちゃってたんですよね。
お金がなくて、不安定な職業で、よかったです(笑)。
住宅購入に必要なことは、
1:「家族の理想の暮らし」を、家族でちゃんと話し合う。
2:無理のない「マネープラン」をしっかりと立てる。
3:物件の資産価値を見極める。
だと思いました。
そしてなにより大切なのは、この3つ全てのための、勉強をし続けること!
専門書を読んだり、専門家に意見を聞くことも必要だと、心の底から痛感しました。
私たちの航海は、またもや仕切り直し。
上の子の就学に合わせて、来年、再々出航いたします!!
夫の年収が200万円という中、2人の子どもたちのために「夢のマイホーム探し」をスタートした漫画家のうだひろえさんの体験談、いかがだったでしょうか。残債割れ、資産価値の見誤り……と実際にうださんが経験したリアルな体験だからこそ、説得力がありましたね。そんなうださんですが、数年前は「うちの経済状況じゃ、子育てなんて考えられない!」と感じていたそう。では、うださんの考えを変えたきっかけはなんだったのでしょうか。ここでは、うださんの転機となった「お金の知識を得る事」について、お話を伺いました。
プロフィール
うだひろえ さん
主にエッセイマンガを描く二児の母。
著書に「誰も教えてくれないお金の話」「ママと子どもとお金の話」(共にサンクチュアリ出版)「伝えるチカラを身につけたらダメ旦那が稼げる男になりました」(KADOKAWA)など。