今よりもやせたい、体を引き締めたい、など、ダイエットや体型補正を目的にトレーニングをしているのに、その後にどうしても甘いものが食べたくなったり、お腹が空いて通常より多くの食事量を取ってしまったり、なんて経験がある方は多いのではないでしょうか?
せっかくトレーニングをしたのに、食べ過ぎちゃって後悔している……なんて話もよく聞きます。でもそれは至って当たり前の反応で、とても自然なこと。自分を責めたり、無理に我慢したりする必要はありません。
そもそも私たちの体が動く時にはエネルギーを使います。食事から得ている栄養素の中では、主に糖質と脂質がエネルギーとして使われています(ほかには、たんぱく質もあります)。いわゆる「糖質」とは、ご飯やパン、めん類などの主食や、いも類、果物、砂糖などに多く含まれていて、「脂質」は食用オイル、肉類・魚類、バター・チーズなどの乳製品に多く含まれています。
脂質は細胞膜やホルモンの材料にも使われるのに対し、糖質は100%純粋なエネルギー源。なので、食べ過ぎて日常生活やトレーニングなどで使い切れなかった糖質は、脂肪細胞へと送られて脂肪となって蓄えられ、いつかエネルギーとして使われる日を待ちます。
筋トレのような強度の高い運動の際、真っ先に使われるのは糖質です。
糖質は摂取後に消化・分解され、肝臓と筋肉に「グリコーゲン」という形で貯蔵されていますが、このうち、まず初めに運動時のエネルギー源となるのは、筋肉のグリコーゲンです。この「筋グリコーゲン」を使い果たしたあと、肝臓に貯蔵されていた「肝グリコーゲン」が使われます。トレーニング後は、このグリコーゲンが枯渇している状態なので、体がエネルギーとなる「糖質=甘いもの」を欲するのは自然なことなのです。
食事を長時間取らずにいると、エネルギーがなくなって、疲労度が増したり、ふらふらして力が入らなかったり、めまいがしたり、といった症状が出始めますよね。トレーニング後はそれに近い状態が体内で起こっています。
そのまま放っておくと、体はエネルギー不足のため、筋肉を分解してエネルギーを作り出してしまいます。そうすると、せっかく筋肉をつけるためにトレーニングをしているのに、筋肉を減らしてしまうということにもなりかねません。
トレーニング後に甘いものが食べたくなったら、それは体がエネルギーを欲している証拠!ととらえ、体の声に耳を傾け適切な栄養補給を心がけましょう。
筋肉を作るのはたんぱく質だから、トレーニング後にプロテインドリンクなどでたんぱく質を補給することが必要という話は聞いたことがあるかと思います。今は肌の調子や腸内環境を整えるといった美容に役立つ栄養素も含まれている女性向けのプロテインも多く販売されているので、トレーニング後に飲んでいるという女性も多いかもしれません。
しかし、ここで忘れてはならないのが糖質です。実はプロテインを単体で取るよりも、同時に糖質を取ったほうがトレーニングの効果を得やすいのです。
その鍵を握るのは、糖質を摂取した際にすい臓から分泌されるインスリンというホルモン。インスリンには体内の血糖値を一定に保つ働きがあり、食後に増加した血液中の糖を筋肉や肝臓、脂肪細胞などに取り込ませて、血糖値を下げる働きがありますが、それがグリコーゲンの合成や貯蔵の促進につながり、トレーニングで枯渇したグリコーゲンの素早い補給に役立ちます。さらに、筋肉へたんぱく質を届ける働きを促進する役割もあります。
したがって、トレーニング後のグリコーゲンが枯渇した状態で糖質を含む甘いものを食べたとしても、それらはすぐにグリコーゲンとして筋肉や肝臓に貯蔵されるので脂肪になりづらく、筋肉の早期回復にも役立ちます。だからトレーニング後に甘いものを食べても大丈夫!食べたものがすぐ脂肪になることはありません。ただし、トレーニング直後から30分、遅くても60分以内には食べるようにしましょう。
トレーニング後に甘いものを食べてもいい理由は前述の通りですが、それには条件があります。それは、グリコーゲンを使い切るくらいの強度の高い運動をすること。
一般的にグリコーゲン(糖質)を主なエネルギー源として使うのは、短い時間に大きな力を発する必要のある無酸素運動、いわゆる筋トレや、短距離ダッシュなどです。エネルギーを作り出すのに酸素を必要とせず、糖(グリコーゲン)をエネルギー源として利用するので無酸素運動と言われています。
そして、筋トレの中でも特におすすめなのが、トレーニングと休息を交互に行う、HIIT(ヒート、ヒット )という強度の高いインターバルトレーニング。このトレーニング法は、トレーニングを行う時間や休息時間、繰り返しの回数を多様に設定できる方法で、できる限り全力で行うのがポイントです。
今回は、女性がトライしやすい、「45秒トレーニング+15秒レスト(休息)」を8回(8分)で行うトレーニングをご紹介します。全身を使うこのトレーニングでしっかりとグリコーゲンを使い切り、トレーニング後には甘いものを罪悪感なく召し上がってくださいね。
トレーニングA「オーバーヘッドワイドスクワット」
トレーニングB 「ヒップリフト」
上記のトレーニングAとBを1セットとし、それを4回繰り返します(トレーニングAを45秒行い15秒レスト+トレーニングBを45秒行い15秒レスト、このセットを4回)。
グリコーゲンをしっかりと使い切るには、とにかく動き続けることが大切です。途中でつらくなった場合、スピードは遅くなってしまっても、動き続けましょう。
トレーニング後の栄養補給で気をつけたい2つのポイントは、素早く消化吸収できるもの、そしてたんぱく質と糖質が含まれているものを選ぶことです。その2点をクリアしているのが、大福やたい焼き、おはぎなどの和菓子。小豆から作られている餡にはたんぱく質も含まれているため、トレーニング後にはぴったりです。
たんぱく質をプロテインなどで取る場合には、水や牛乳ではなくフルーツジュースで割るのがおすすめです。そのほかの食べ方としては、デーツなどのドライフルーツやバナナを一緒に食べると糖質が補給できます。
ケーキやクッキーなどの洋菓子系は、脂質が多く含まれているものが多いので避けましょう。チョコレートも、カカオ含有量が多いものならおやつとしておすすめではありますが、脂質が多いので食べるならトレーニング後以外がいいですね(プロテインなどを使用してトレーニング後向けに作ってあるものは別)。
食べたものを脂肪にせず、エネルギーとして使いやすい体作りを目的とするならば、カロリー自体を細かく考える必要はありません。摂取カロリーが消費カロリーを上回れば太ることには違いないのですが、それはトレーニング後に食べた甘いものが問題なのではなく、その日1日、全体で摂取したカロリーがどれくらいかで変わってきます。筋肉をつけたい場合は若干高カロリーでも問題はないですし、減量(ダイエット)が目的ならカロリーは控えめに抑えておく、くらいに意識すればよいでしょう。
適切なタイミングに、適切な種類の甘いものを取ることで、ストレスなく、ダイエットやボディメイクを楽しみましょう。