電気をこまめに消したり、シャワーの時間を短くしたり、一人暮らしでも実践できる節約術はあります。ただ、一人暮らしの場合にはもともとの光熱費が少ないので、節約の効果も小さくなりがちです。そのため「せっかく努力しているのに、思ったよりもお金が貯まらない!」と、あきらめてしまうこともよくあります。貯金はダイエットと同じで、コツコツと長期間続けることで目に見える結果が出てくるので、グッと我慢する忍耐が必要です。
ですが、次のポイントを押さえるだけで、誰でも簡単に貯金をすることができるようになるんです。そのポイントとは、「収支のベストバランス」「節約目標の設定方法」、そして「簡単に節約が続けられる仕組み作り」の3つ。ここからは、この3つのポイントについて詳しく紹介します。
一人暮らしで貯金を成功させるためには、まず「収支のベストバランス」を知ることが大切です。
まずは、自分が何にお金を使っているか整理しましょう。節約をするといっても、出て行くお金をゼロにすることはできません。家賃や水道光熱費など、毎月必ず使うお金があります。それをきちんと知っておくことが、貯金への第一歩です
たとえば、アパートやマンションの家賃や管理費は「家賃」、インターネットの月額利用料や電話代、そして電車代などは、「交通・通信費」、ガスや水道代、電気代は「光熱費・水道」、外食代や自炊代は「食費」、雑誌代や旅行代などがあれば「娯楽」、それ以外を「その他」などと1ヶ月間に使ったお金を分類してみます。中にはとくに意識せず、毎月、何気なく支払っていたお金も出てくるでしょう。こうやって分類した支出を確認することで、今のあなたのお金の使い方が見えてくるわけです。
次に、自分のお金の使い方と、理想的な収支のバランスを比較してみます。一般的に、それぞれの支出の目安は、家賃が全体の約30%、交通・通信費が約10%、光熱費・水道が4〜5%、食費は10〜15%、娯楽は10〜15%、その他が1%で、貯金に約25%を回せると理想的だと言われています。
いかがですか? 自分の支出と理想の割合を比べて、だんだんそれに近づけるようにしましょう。
理想的な収支のバランスが分かったら、「節約目標を設定」しましょう。ここでは、かつて貯金ができていなかったという、事務職のAさん、営業職のBさん、フリーランスデザイナーのCさん3名の例から、目標設定の方法をご紹介します。まずは、3名の当時の収支を見ていきましょう。
まずは事務職のAさんの以前の支出の内容です。
家賃が全体の約40%、交通・通信費が約25%、光熱費・水道が約8%、食費は約12%、娯楽は約10%、その他が約5%となっていました。家賃と交通・通信費の割合が高いのが特徴です。
続いて、営業職のBさんの支出の割合です。
家賃が約25%、交通・通信費が約15%、光熱費・水道が約10%、食費が約30%、娯楽は約15%、そして、その他が5%でした。営業職という仕事柄か、仕事帰りにお友達や取引先の人と外食する機会が多いようで、食費が占める割合が多くなっています。
最後は、デザイナーのCさんです。
家賃が約20%、交通・通信費が約19%、光熱費・水道が約20%、食費が約10%、娯楽は約30%、そして、その他が約1%でした。Cさんは自宅で仕事をしているため光熱費が高く、また旅行が趣味で、娯楽費を使いすぎていました。
このように使ったお金を分類すると、何にお金をたくさん使っているのかが、客観的にわかります。「もう少し家賃の安いところに引っ越しをしよう」「旅行はもう少し控えよう」といった具合に、自分に合った節約の目標を設定することができるようになっていきます。
Aさんは契約更新のタイミングで引っ越しをし、家賃を見直すことにしました。同時に携帯電話の契約を見直すことで、交通・通信費を減らすことになりました。Bさんは職場にお弁当や水筒を持参、また飲み会への参加を極力減らすことで、食費の節約に努めています。そして、Cさんは旅行の回数を減らし、さらに旅行をするときも各社のツアー料金を比較検討することで、少しでも娯楽費が減るように工夫しています。
節約の目標を決めたら、「簡単に節約が続けられる仕組み」を作ることがポイントになります。なぜなら、貯金は「続けること」がとても大切だからです。節約にはなるけれど、面倒な方法ではすぐやめてしまいます。できるだけストレスがなく、習慣になるような方法が理想です。
たとえば給料をもらったら先に貯金をする「先取り貯金」の方法などはとても効果的です。まずは月5000円や1万円程度の小額でもいいので、給料から決まった額を引いて、貯金してしまいます。そして、残ったお金でやりくりしていくわけです。これで半ば強制的に貯金ができます。
このとき注意するのは、普段使っている銀行の口座に貯金分を残すのではなく、貯金分のお金は、生活費とは完全に別にしておくことです。そうしないと、お金が足りなくなってくると、つい貯金分として取っておいたお金を使ってしまうからです。
また、毎月使う生活費は決まった額を最初にまとめて現金で用意して、そのお金でやりくりするという方法もおすすめです。この方法なら、あといくら使えるお金が残っているのか、簡単に知ることができます。
こまめに銀行から必要な分だけ下ろして使っていると、使った額と残りの額がわからなくなってしまいます。月初めに生活費を封筒などに入れてレシートと一緒に管理し、月末に現金が目に見えて少なくなってくると、節約しなくては! という気持ちも湧いてきます。
貯金をするといっても、お金の使い方は、ひとそれぞれ違います。そのため、誰かが紹介している節約術を鵜呑みにするのではなく、自分のライフスタイルやライフステージにあった方法を取ることが、実はとても重要です。
ここでおすすめしたいのが「ファイナンシャルプランナー(FP)」の資格です。ファイナンシャルプランナー(FP)は、税金、保険、年金、金融商品といった身近な「お金の問題」に対し、専門的な知識を持って資産設計の提案を行います。もともとお金を扱う仕事において、顧客との信頼関係に欠かせない存在として、金融機関・不動産会社・保険会社など、さまざまな業界で必要とされる資格なのですが、扱う知識が自分の私生活にも役立つ身近なお金の問題であることから、こうした仕事についていない人が自分の家庭のためにプライベートで取得するケースも増えています。
一人暮らしの人も、今自分が加入している保険の設計・見直しの方法や、今後のライフイベントで必要なお金をふまえた資産設計の方法を学ぶことで、自分に合ったお金の使い方を身につけることができるようになるでしょう。
誰だって貯金をして、安心できる生活を送りたいはず。お金の知識をつけることでさらに未来が開けます。一人暮らしで節約をしっかり実現していくためにも、ファイナンシャルプランナー(FP)にチャレンジしてみませんか。
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