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2016.09.28

現役塾講師が教える!勉強が効率的に進むノートの取り方

現役塾講師が教える!勉強が効率的に進むノートの取り方

大人になってノートを取る機会がパッタリ減った社会人。新たに資格の勉強を始める人の中には、「あれ?ノートってどう書けばいいんだっけ......?」と悩ましく思う人もいるでしょう。今回は、現役塾講師の伊藤敏雄さんがノートの取り方を伝授。徹底したノート指導で成果を上げている現役塾講師が教える、効果のあるノートについてお教えします!

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大切なのは、いかに「思い出す」ためのノートを取れるか

大切なのは、いかに「思い出す」ためのノートを取れるか

スマホやタブレットなど、いろいろとデジタル化している昨今。でも、ノートをとるというアナログな勉強法にも、実は意味があります。それは、ペンを動かしながら書くという行為自体に学習効果があるから……というだけではありません。ノートは「ある目的」をもって取るものなのです。

ノートを取る目的について考える前に、まずは記憶のメカニズムについて説明する必要があるでしょう。記憶には、「覚える(=記銘)」、「覚えている(=保持)」、「思い出す(=想起)」の3つの過程があります。この中で最も大切なのは、実は「思い出す」です。

記憶というと、覚えること、言い換えると詰め込むことが重要に思えますが、それは誤解です。なぜなら、せっかく覚えたことも、後で正確に思い出せなかったら意味がないからです。例えば、山形県と秋田県、どちらが北(青森県寄り)にあるでしょうか。正解は、秋田県ですね。私の塾の生徒には、北から秋田県、山形県なので、縦書きで「秋山(あきやま)」とノートに書いて思い出せるように指導しています。

このように、記憶において最も大切なことは、いかに正確に思い出せるかを意識することにあるのです。同じことがノートを取ることにも言えます。確かにノートは、板書を写したり参考書に書かれていることをまとめたりする、いわば記録するために使われるものです。しかし、それも後で見たときに勉強したことが思い出せるかどうかが重要です。

つまり、ノートは後で見て思い出すためのものなのです。後で見てみて、いかに多くのことを正確に思い出せるか、それがノートの取り方の基本です。それでは実際に、勉強が効率的に進むノートのとり方について紹介していきましょう。

ノートを4つのスペースに仕切る

ノートを4つのスペースに仕切る

大学ノートや方眼ノート、どんなノートでもかまいません。ノートを開いたら、まずは、左から2列分、下から3行分空けて、仕切りの線を入れて、ノートを4つの領域に分けます。

  • 1:日付、勉強する内容を書くスペース
  • 2:ページ数や問題番号を書くスペース
  • 3:ノートをとるスペース
  • 4:まとめ・ポイントを書くスペース

1:日付、勉強する内容を書くスペース

一番上のスペースには、日付と勉強する内容を書きます。実は、ほとんどのノートはそのためにこのスペースが設けられています。しかし、残念ながらこのスペースが活用されているノートをあまり見たことがありません。ノートは後で思い出すために使うものと考えれば、このスペースが最も重要な役割を果たすはず。いつ、どんなことを勉強したか、このスペースを見れば一目瞭然だからです。いわば、インデックスとしての役割です。また、日付が変わったり、勉強のテーマが変わったりした場合、ノートの続きに書くのではなく、新しいページから書くようにしましょう。理由は、一つのテーマをわかりやすくまとめておくためです。

2:ページ数や問題番号を書くスペース

次に縦の仕切りの線ですが、ノートの左端から2列分くらい空けて線を入れます。このスペースには、テキストや参考書のページ数を書き込みます。問題集を解く場合は、問題番号も書きましょう。問題番号だけでは何ページの問題かがわかりませんから、後で見直そうとしても大変です。はっきりと、何ページの何番の問題と書いておくことが重要です。

3:ノートをとるスペース

ノートを取るスペースは、文字だけでなく、文字以外の情報(図、イラスト、色など)を上手に活用するように心がけましょう。例えば、fewとlittleの違いを「数えられるものに使う」「数えられないものに使う」と、ただ単に言葉だけで書いてもよくわかりません。

参考書によっては、イラストで示してある場合がありますから、そのイラストを描いておくと、後でノートを見直したときにわかりやすいはずです。色を使って強調する場合は、2~3色程度にとどめておきましょう。あまりたくさんの色を使うと、何が重要なのかかえってわかりづらくなってしまいます。また、色は目立つ順に、紫>黒・赤・青>茶・緑>橙>黄となっています。ボールペンと言えば、黒、赤、青が一般的なのも納得ですね。特に重要で、一目でわかるようにしたい場合は紫色を使うのも良いでしょう。それ以外の細かい説明などはあまり目立つ色は使わず、茶色や緑色などのマイルドな色を使いましょう。橙色や黄色は薄いため文字を書くのには適していません。蛍光ペン(チェックペン)に黄色が多いのも納得です。囲み線や下線を引くのに利用しましょう。

4:まとめ・ポイントを書くスペース

最後に、一番下のスペースです。ここにはその日勉強したことで、「後で復習しないと忘れてしまう」ようなポイントを書いておきます。つまり、まとめ・ポイントを書く欄です。例えば英語の時制(完了形)を勉強していて、現在完了進行形(have+been+~ing)を覚えにくいと思ったら、この欄にちょっとしたまとめを書いておきます。

have+beenの部分→現在完了形を表す
been+~ingの部分→進行形を表す

最後に……ノートは「見直して振り返る」ことが一番大事!

ノートを取ることがゴールにならないようにするためにも、後で見直すことを前提にノートをとることは重要です。今回ご紹介した、仕切りの線を入れて4つのスペースに分けるといったノートの形式の他にも、後で見直したときに思い出せるように、略語を使う、図やイラストを使う、色を使うなど、工夫して書くようにしましょう。そうすることで、後でノートを見直してみて「あれ、どこに書いたっけ?」とわからなくなってしまうこともなりますよ!

執筆者プロフィール
伊藤敏雄(いとうとしお)さん
学習・教育アドバイザー(専門は勉強法、指導法)。学習心理学・行動科学に詳しく、少人数個別指導教室で自ら小中高校生に勉強を教える一方で、学校や学習塾向けに文理選択や勉強法の講演活動も行う。「明日の教室」名古屋分校スタッフ。著『フィンランドメソッド書き込み式練習ドリル』『教育のホントがよくわかる本』。
 

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