肉や魚は冷蔵には不向き。なぜなら空気にふれて酸化しやすく、冷蔵庫内の温度では活動が止まらない酵素や微生物の影響を受けやすい食材だからです。そのため短時間の保存であっても、冷凍保存が基本。約-18℃に保たれている冷凍庫では、酵素や微生物は活動しにくくなります。肉や魚を冷凍保存するときの基本的なポイントは次の通りです。
トレイから出し、小分けにする
トレイにのせたままだと、凍るまでに時間がかかり、鮮度が落ちやすいので、トレイから出して、空気にふれないように、ラップで包んで冷凍しましょう。大きな塊は凍りにくいので切り分け、量の多いものは、小分けして保存しましょう。
水分をしっかり取る
キッチンペーパーできちんと水分を取り除くと、霜がつきにくく、品質の劣化が防げます。
美味しさをキープするためのひと手間
魚の場合は、冷凍前に塩を振ると、浸透圧で水分が引き出され、旨みの流出が防止できます。切り身の場合は、約1ヵ月保存可能。
肉類は砂糖水(水1リットルに1gの砂糖を溶かす)にさっとくぐらせて保存するのがおすすめ。水分の蒸発、冷凍焼け(※)が防げるうえ、通常2週間の保存期間が3週間に伸びます。
※冷凍焼け……表面から水分が蒸発し、脂肪が酸化すること
ジッパー付きの袋に保存する
食品保存袋に入れると、乾燥防止にもなり、風味が保てます。ラップに包んだうえで、さらに袋に入れると安心です。
急速冷凍が大切
鮮度を保ち、旨みを保つために急速冷凍を心がけましょう。冷凍庫の急速冷凍の機能を使ったり、熱伝導のよいアルミトレイを活用したりして、素早く凍らせます。厚さを均一にすることも大切。
野菜を買ってきたら、「とりあえず冷蔵庫の野菜室へ」という人も多いと思いますが、野菜によっては冷蔵に向くもの、冷凍した方がいいものがあります。
冷蔵に向く野菜
きのこ類
水分に弱いのがきのこ類。キッチンペーパーで、水分を拭き取り、密封容器に入れます。
大根
輪切りにして、一つずつラップで包み、水分が減るのを防ぎます。ひと手間かけて千切りにし、塩もみして保存しても◎
大根は葉をつけておいたままだと、葉の部分から水分が抜け、鬆(す)が入りやすいので、切り離しておきましょう。
ニンジン
湿気を嫌うため、水分を拭き取ったあと、ビニール袋に入れて立てて保存します。栽培中に近い状態にすることで、鮮度やおいしさが落ちるのを遅らせることができます。
キュウリ
乾燥と水気に弱く痛みやすい野菜。1本ずつキッチンペーパーで包み、ビニール袋に入れて冷蔵するとよいでしょう。
白菜
半分などにカットして販売している白菜の場合は、用途に合わせて切り、食品保存袋に入れて冷蔵保存。冬期に丸のまま売っている白菜は、新聞紙(目安1日分の朝刊)できっちり包むと冷蔵庫に入れなくてもOK。立てて保存するのがポイント。
冷蔵に向く野菜は、上記の野菜以外のほか、キャベツ、ナスなど。基本的には、葉物、根菜類です。
冷凍に向く野菜
トマト
まるごと冷凍すると、解凍の際に数秒水につけるだけで皮がむけるので、トマトソースやスープを作る際に便利。トマトは冷凍することで旨みもアップします。ただ、解凍すると食感が変わってしまうので、生食にはおすすめしません。
ほうれん草、アスパラガス、カリフラワー
さっとゆでて、冷凍すると栄養価が保てます。
青ネギ
小口切りにして食品保存袋に入れ、平らにしてネギがくっつかないように保存すると、あとで便利です。
パセリ
切らないでそのまま食品保存袋に入れます。使うときには、冷凍のまま指で細かくするだけで料理に入れられます。
冷凍するとよいのは調理済みの青菜類。ジャガイモは解凍の際、水分が溶け出し、食感が悪くなるので、冷凍は避けましょう。レタスも解凍すると水分が流出し、元の状態には戻らないので、冷凍には不向きです。
常温で保存する野菜
ジャガイモ、タマネギなど、常温で保存した方がよい食材もあります。風通しのよい、冷暗所で保存しましょう。
今回は鮮度、栄養価を落とさないで食材を保存し、買ったものを食べ切るための方法をご紹介しました。ほんの少しの心がけで、食材を効果的に美味しく保存することができます。食材を傷ませて無駄にすることなく、美味しく食べ切りましょう!
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