――生まれ育った地元、福井県を舞台にした作品も数多く書かれている宮下さん。現在も福井を拠点に生活されていますが、どんな幼少期を送られたのでしょうか?
もともと、本を読むのは大好きでした。子供の頃、家族でショッピングに出かけても、私は1人で本屋さんで待っているような子供だったんです。立ち読みして待っていると、買い物を終えた父母が帰ってきて、本を1冊買ってくれるんですが、それがうれしかった思い出がありますね。読むのも書くのも好きで、作文を書くのも得意でしたが、それでも、作家になろうなんて思いもしませんでした。
――それが一転、作家を目指された理由は?
結婚して3人目の子がお腹にいたとき「この子が生まれて来る前に書こう!」と突然書きたくなったんです。上に男の子が2人いて、さらに3人目が生まれたら、もう何もできなくなる、そうなる前に何かしようと、何かに駆り立てられるように書いたのが『静かな雨』という作品です。
どうしてあのとき「小説を書こう」と猛然と思い立ったのかは、自分でもうまく説明できなくて、「妊娠中のホルモンのせいです」としか言えないんですよ(笑)。
――もし作家になっていなかったら、どんなお仕事をしていましたか?
大学を卒業して、新卒で就職した会社で配属されたのが海外営業部。だけど、私は会社員には不向きで、計算ミスも多いし、経理のような正確さを要求される職種は無理だ、としみじみ思いました。結婚後は、家事と育児に明け暮れる日々だったのですが、3人目の子を妊娠中に小説を書いてみたら、本当に楽しくて、「世の中に、こんなに楽しいことがあったんだ!」と思って、それからはずっと書いています。だから、今の作家の仕事は、本当に天職なんですよ。
――では、子供の頃に、憧れていた職業はありますか?
実は、小学校の頃、将来の夢の欄に書いたのは「声優」です。今、声優っていえば、アイドルのように表舞台で活躍される方も増えていますけど、昔の声優っていうのは本当に声だけの存在。声優本人は、絶対に表に出てこない、裏方に徹した存在だったんです。特に洋画の吹き替えをしている方なんて、声だけで洗練された演技をされていて、すごく憧れました。今思えば、私の裏方好きは、そのころからだったのかも?
ここで、宮下さんの性格をもっと知るため、ユーキャンのサイトから「まなびスタイル診断」にトライしていただきました。20の設問に回答すると、文房具で例えた性格パターンが判明するという同診断。性格パターンごとにオススメの講座や勉強方法も発見できます。宮下さんの結果は「ザ・宴会部長の蛍光ペン」。特徴は「コミュニケーション力抜群、サービス精神旺盛」でした。
――結果は意外でしたか?
ええ(笑)、場を盛り上げられるようなタイプでもないし、宴会部長、と言われるような性格じゃないので意外でした(笑)。でも、「文章を読むのは得意!」「キッチリ細かいことがニガテ」というのは合っているかもしれないですね! この「持続がニガテな短期集中型」はちょっと違っていてほしいですね。小説書くのは、長期戦ですから。
――オススメの講座は、販売士、手話入門、カラーコーディネート、インテリアコーディネーターです。
意外に思われるかもしれないですが、販売士と言われて、また、自分の原点に戻ってきたような気がしてうれしく思いました。会社勤めをしていた際には、自分が本当に売りたいものを売れない、という葛藤があったんです。でも、小説は、自分だけで完結できるから、自分が納得できる作品を書いて売れるのが楽しい。だから、もちろん天職は作家なんですけど、もしも作家以外の仕事をしろと言われたら、販売や接客のお仕事をしてみたいですね。
――ユーキャンの講座のなかで、受けてみたい講座はありますか?
本当に、3人目の子がお腹にいたときのホルモンバランスの仕業で、デビュー作を書いて、気付いたら作家になってしまったので、もし、ユーキャンの講座で、『作家入門』なんてあったら、受講したいぐらいなんですよ。
販売士の資格にも興味津々なんですが、詳しく伺うと、接客業をしている方が、さらなるステップアップを目指すために受けることが多いそうなので、それだとちょっと自分向きではないかな。『ビーズアクセサリー講座』があまりに魅力的なので、コレにします! スターターセットの充実ぶりにワクワクしちゃいますね(笑)
宮下奈都(みやした なつ)さん
1967年福井県生まれ。上智大学文学部哲学科卒。
2004年、文學界新人賞佳作に入選した『静かな雨』で、デビュー。2007年、初の単行本『スコーレNo.4』(光文社刊)は、書店員の熱烈な支持を受け、秘密結社が誕生。『太陽のパスタ、豆のスープ』(集英社刊)、『田舎の紳士服店のモデルの妻』(文藝春秋刊)など、ありふれた日常を題材に据え、心の襞を丁寧に掬い取る描写が、多くの読者の共感を呼ぶ。『誰かが足りない』(双葉社刊)で、2012年の本屋大賞ノミネート(7位)。近著に、一家で北海道の大雪国立公園内トムラウシ集落に1年間限定で暮らした日々を綴った『神さまたちの遊ぶ庭』(光文社刊)があるほか、ESSE(扶桑社)でエッセイ「とりあえずウミガメのスープを仕込もう。」、地元・福井新聞社発行の雑誌 fu にエッセイ「緑の庭の子どもたち」を好評連載中。
子育て真っ最中の主婦から一転、本屋大賞受賞作家となった宮下さん。本当にすごいですよね。「私も何か新しいことをやってみようかな?」と、勇気がもらえます! 最近では、ブログをきっかけに、本を出版する一般の主婦も増えているそう。そんな「ブログ本」なら、あなたも作家デビューは夢じゃないかも!?今回は実際に「ブログ本」を出版した人気主婦ブロガーに、その秘訣を聞いてきました!
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