毎日の家事に加えて子どもの世話や送迎、学校行事の出席と、専業主婦業も大変だし、忙しいものですよね。なのに旦那さんは帰宅するとまず疲れて不機嫌で、それを見ると奥さんも不機嫌、子どももテンションが下がって、なんだか家庭の雰囲気がぎこちない……。私だって頑張っているのに、夫の優しさや理解が足りない!と不満に思ってイライラしていませんか?
もともと愛し合って一緒になったはずの夫婦関係が中だるみすることは、どの夫婦にも起こること。恋人・夫婦仲相談所を主宰する夫婦関係のプロ、二松まゆみさんは「夫婦関係は相互作用。自分が寄り添ってみると、相手も寄り添ってくれる。そこまでして仲良くなりたいかどうか、例えば『夫がいなくなると寂しいかどうか』『夫が入院したら献身的に看病できるか』などを自分の胸に手を置いて想像してみるんです(笑)。言わば熟年になってからの2人の関係を占う『愛の踏み絵』を妻の側から踏んでみると、夫婦関係は変わります」と話します。自分が変われば、関係も変わってくるもの。夫との関係を良くする力、それが「妻力」です。
「お互いが機嫌の悪い時に話し合うなんてナンセンス。相手の素直な考えを引き出してしっかり話し合いたいなら、まず相手をリラックスさせ、上機嫌にさせる。それも妻力です」と二松さん。
旦那さんが上機嫌になる”ツボ”は、愛し合って結婚した奥さんだからこそ知っているはず。状況を整えてから『何が不機嫌の原因なのか』を話してみると、旦那さんからは素直な言葉が結構出てくるものなのだとか。「上司や同僚、仕事のストレス、または家のローンなどの金銭面のプレッシャーなど。旦那さんも、ただ不機嫌なわけではなく、真剣に考えているのですよ。」
大切なのは、お互いが考える幸せの形のすり合わせ。もしかしたら、妻の描く理想が夫を追い詰めていることもあるかもしれません。「例えば奥さんが『家族といえば休日はキャンプをするべき』という理想にとらわれていても、実は旦那さんはそういうのが苦手かもしれない、と想像したことがありますか?」と二松さん。押し付けでなく一緒に楽しめるのは何か、ファミリーであることにこだわらず大人2人での遊びも視野に入れて探してみましょう。子どもはおじいちゃんおばあちゃんに預かってもらい、2人の熱愛時代の思い出の場所を訪問してみてもいいのです。
夫婦仲が疎遠すぎて、もはや共通の話題がなく、会話がもたないので子どもやペットなどの当たり障りのない話題ばかり!ということはありませんか?
そんな時は、5年後、10年後に例えば「海外旅行で憧れのあの国を訪れる計画」「ゴージャスな温泉に行くため、夫婦で少しずつレジャー貯金する計画」など、自分たちが好きなものの共通項を軸に、一緒に夢を語りましょう。想像力が豊富な女性の側が、具体的に提案してあげるのが吉。旅行やスポーツなど、旦那さんの好きなツボを知っているはずなのだから、奥さんがそこに寄り添ってみましょう。
例えば家事分担に不満、という女性も多いかもしれません。でも「全てが平等でないと納得出来ないというメンタルは、結婚生活においてはNG。おもてなしの精神で、7割やってあげるくらいの余裕を持ち、やってもらったら少々大げさにヨイショ、が吉」と二松さん。
また、感謝の言葉を伝える時は、「遅くまで働いてくれてありがとう」「電球を変えてくれてありがとう」「私の腰を気遣ってお皿を洗ってくれてありがとう」など、具体的なことを指して「ありがとう」を言うと男性にはしっかり伝わるのだとか。ストンと納得した旦那さんは、これからも気持ちよく協力してくれますよね。
「女性の方が精神年齢が上なのだから、少し自慢の入った話も気持ちよく聞いてあげ、ちょっと下がって持ち上げるくらいのパフォーマンスをするなど、女優になった気持ちで演じるとちょうどいいのですよ。すると、ポンと肩を叩く、意識して距離を詰めてソファに座る、袖やシャツの裾を引張るなどの少し甘えた仕草だってスムーズにできるようになるものです」と、二松さんはスキンシップのすすめを説きます。
素直に甘え、感謝し、凄いと言える感性を呼び覚ますと、相手にも自分にもポジティブな流れが生まれ、相互作用で関係は改善していくのです。
「それから、自分の趣味や居場所を作ることは専業主婦にも大切なこと」と、二松さんは精神的な余裕の大切さも説きます。自分を変えることで、夫婦関係も変わる。ちょっとした向上心が、妻力の鍵でもあるのかもしれませんね。