「明日までに提出しなきゃいけない資料がある……このままでは終わらない!同僚は定時で帰ろうと準備中……」
心理カウンセラー小日向さんからのアドバイス
同僚は帰ろうとしているのに、引き止めて手伝ってもらうお願いをするのは、本来は失礼な行為ですよね。とにかく心から「申し訳ない」という感情を、オーバーリアクションになるくらいに、言葉と態度ではっきりと示しましょう。
自分から頼みたい相手のところへ行き、「帰ろうとしているときに本当に申し訳ないのだけど……」と切り出して、まずはそれが明日までに提出しなければならない仕事であることを伝えてください。その後に、だいたい何時間くらい手伝ってもらえれば終わるのかという、目安時間を伝えましょう。そしてお願いする際には、「頭を下げる」、「両手を合わせてお願いの仕草をする」といった動作もつけることがポイントです。
間違っても、自分はデスクに座ったままで、「○○さん!」と遠くから呼びつけるようなことはしないでくださいね。
「後輩にはちょっと難しい業務だけど、今回は頼みたい。でも、本人もできるか少し不安そう……。後輩に前向きに仕事を引き受けてもらいたい」
心理カウンセラー小日向さんからのアドバイス
後輩のやる気を起こす「アドレナリンワード」を意識して伝えると良いでしょう。「アドレナリンワード」とは、「負けてられない」という競争心に火をつけるワードや、「乗り越えた先に○○がある!」というご褒美が想像できるワードのこと。相手にパワーを出してもらいたいときに使うと効果的です。
「このままだとこの業務は○○社にとられてしまう。私たちは負けるわけにはいかない!」とか、「他の誰でもなく、○○さんだからお願いしたい」、「これを成功させたら次に○○の業務がゲットできる」などの「アドレナリンワード」を使うと、後輩のモチベーションもアップするはず。具体的な仕事の手順を話すと冷静になって理性が働き出してしまうので、その前に闘争本能や達成感に働きかける言葉で、後輩のアドレナリンを引き出すようにしましょう。普段プライベートな付き合いがある後輩であれば、「終わったら焼肉食べに行こう!」といった、瞬発力がつく単純な言葉も有効です。
後輩の不安感を取り除いていく作業はその後。具体的な仕事の手順をしっかりと説明し、後輩に「自分にもできる」と思ってもらえるように工夫しましょう。
「自分では力不足かも!?上司や先輩に助けてもらいたい……。でも、自分より忙しく、能力がある人にはお願いしにくい……」
心理カウンセラー小日向さんからのアドバイス
人に頼みごとをするときは、目線を相手より上にしないというのが原則。上司や先輩に頼みごとをするときは、それをさらに意識し、頭の位置をより低くして頼むようにしましょう。例えば、相手がデスクに座っている場合、話し出す前にまず自分自身が腰を落として、相手から見下ろされるくらいの位置で話を切り出してください。
また、上司や先輩は様々な業務のスケジュール管理をしながら働いています。「実は○日に納品のこの業務なのですが」、「○○の件でご相談です。先方には○時までに回答すると伝えてあるのですが、アドバイスをいただけますか」などのように、上司や先輩が自身のスケジュールと照らし合わせた上で、あなたからの頼みごとを引き受けられるかを検討できるように話すことが大切です。
「人は、刺激を受ける感覚が多ければ多いほど、相手の情報を的確に読み取ることができます。つまり『お願いの言葉』という聴覚からの情報だけではなく、『頭を下げる』、『助けて欲しい表情をする』といった視覚情報も加わる方が、相手に自分の気持ちが伝わりやすくなるのです。そう考えると、内線やメールで頼むより、相手のデスクに出向いて頼みごとをする方が、効果的であることがわかりますよね。また、頼みごとをする前に、相手の立場や状況に配慮する言葉を添えるということも、ポイントとして押さえておくと良いでしょう」(小日向さん)
同じ頼みごとでも、こちらの伝え方次第。相手の気持ちや立場を思いやりながら、適切なコミュニケーションで、スムーズに仕事をしたいものですね。
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