今回お話を聞いたのは、ご自身が管理栄養士として働いているだけでなく、同じ資格を持つ多くの女性たちのサポートを行っている岡田明子さん。「管理栄養士が活躍できるフィールドは本当にたくさん!」と話す岡田さんがどのような業務に携わっているのか、また将来的にどんな可能性があるのかを尋ねました。
そもそも岡田さんが管理栄養士を目指したきっかけは何だったのでしょうか?
「もともと幼い頃から食べることが大好きで食への関心は自然とあったんですが、直接的なきっかけは、大学進学時に母親から管理栄養士について教えてもらったことでした。『これからは女性も資格を活かして働く時代、食は一生関わるものだから、知識があったほうがいいんじゃない?』って。私の家庭は母親がものすごく食に気を遣う人で、幼少期に私がアトピー性皮膚炎にかかってしまったこともあり、ジャンクフードなどの添加物が多い食品を一切食べさせないようにしてくれていました。また、父親も家庭菜園をやっていたので、使う食材はオーガニック。その甲斐あってか、アトピーも完治したんです。そういった食について恵まれた環境の影響もあったかもしれません」(岡田さん)
管理栄養士の勉強ができる大学に進学し、卒業時に受けた試験で見事一発合格。ここから管理栄養士としての輝かしいキャリアを積んでいく……はずだったのですが、当時の岡田さんにはご自身に大きな問題があったのだと言います。
「大学時代に一人暮らしを始めたことで食生活が乱れ、かなり太ってしまったんです。その上、社会人になったらさらに追い討ちが。最初の職場は特別養護老人ホームだったんですが、社会人になりたてで慣れていなかったこともあり、自分の食生活がさらに乱れてしまいました。自炊をする時間がなくて毎日外食やコンビニ食で済ませていたら、偏頭痛が止まらなくなってしまって……」(岡田さん)
慌てた岡田さんは、お母さんに相談します。するとやはり答えは「食の重要性」だったそうです。
「すぐに『ちゃんと食べてないんじゃない?』って指摘されて。今思えば、食生活のバランスが崩れたことで自律神経もおかしくなっていたんだと思います。いくら知識があっても実践しないと意味がないんだなって、この時思いましたね」(岡田さん)
身をもって「食の重要性」を実感した岡田さんは、その後食生活を立て直し、なんと13kgものダイエットに成功。ご自身の経験から、管理栄養士としての活躍のフィールドを広げていきました。
やがて岡田さんはサプリメント会社に転職。管理栄養士の知識とご自身の経験を活かし、ダイエットサポートの業務に携わるようになりました。いろんな方の食生活を監修する毎日で、「もっと食べることに関心を持ってほしい」という思いがさらに募っていきました。
「私達の身体は食べたものでできています。毎日なにげなく食べている人も多いと思いますが、1日3回しかないチャンスに、身体に悪いもの、栄養にならないものを摂っているのはもったいない。食習慣って文字通り『習慣』なので、必ず傾向があります。それを一度見直してみてほしいって、監修しながらすごくそう思っていましたね」(岡田さん)
その後岡田さんは独立し、ダイエットサポートの他にも、ヨガ教室での食事サポートや各種セミナー、ウェブサイト『All About』の「食事ダイエットガイド」をはじめ、メディアへの出演やコラム執筆など幅広く活躍。中でも代表理事を務める法人では、管理栄養士の資格を持っていながら様々な理由で離職してしまった女性に対し、職業支援なども行っています。
「管理栄養士の人材育成と企業とのさらなるマッチングを目指しています。せっかくの国家資格を眠らせておくのはもったいないと思うんです。オンラインでの食事サポートやコラムの執筆など、以前に比べて在宅でできる仕事も増えているので、もっと管理栄養士として働ける環境を整えられたらいいなと思っています」(岡田さん)
管理栄養士が活躍できるフィールドについて、もう少し詳しく教えていただきました。
「管理栄養士って人の一生に関わることができる、それこそ赤ちゃんから高齢者、離乳食から介護食まで携われる幅広いお仕事なんです。だから、『なんて素晴らしい資格だろう』と私自身も日々思っています。最近では、IT企業さんから『管理栄養士さんに毎日お昼ごはんを作りにきてほしい』という依頼もありますし、ビジネスホテルの献立作成や、私のようにヨガとコラボするセミナーが催されていたりと、これまでにはなかったケースで管理栄養士が関われる時代になっています。それに、もしもお仕事を辞めてしまっても一生使えるんですよ。自分自身や家族の健康をずっと守っていくことができますからね。簡単に取得できる資格ではありませんが、ぜひ多くの方に目指してほしいと思っています」(岡田さん)
「もっと気軽に管理栄養士に栄養相談ができる、健康ステーションみたいな場所が増えればいい」ともおっしゃっていた岡田さん。そんな、みんなが幸せになれる明るい未来の構図が、頭の中で出来上がっているようです。
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