デジタル全盛の時代ではありますが、ミスをなくすために私がおすすめするのは手帳です。最近は、スマホでスケジュール管理をしている人も増えていると思いますが、スマホの最大の難点は電話をしながら見られないこと。「来週の予定はいかがですか?」と電話で聞かれたとき、その場で答えようとすると、記憶に頼らなければならないこともあるでしょう。本当は先約があるのに忘れてダブルブッキングしてしまったり、後で予定を入力しようとしても時間が経つうちに忘れてしまったり……などのミスが起きるかもしれません。
また仕事中にスマホを操作していると、私用との区別がつきにくく、「人の話を聞いていない」「失礼な人」という印象を与えてしまうことも。スマホではなく手帳を取り出して書き留めれば、「しっかりと話を聞いている」という暗黙のメッセージを伝えられるので、誤解されることもないと思います。
つまり、人と電話で話すときも、対面するときも、手帳があると予定をすぐにその場で確認できたり、大切なことを忘れないように書き留めたり、聞かれた質問に正しく答えられたりします。これらの理由から、私はミスをなくすために手帳をおすすめしています。
手帳選びは楽しいですが、デザイン重視で選ぶのは失敗のもと。まずは「何を」「どのくらい」書きたいのかを考えてみてください。手帳のタイプには、マンスリー、ウィークリー、デイリーの3つがあります。
まず、月間予定を見開き1ページにしたのがマンスリー。ページ数が少なく、サイズが小さいものもあり、持ち運びしやすいのが特徴です。アポイントメントやタスクの締切りだけを書く人なら、このタイプがぴったり。空いている日時を即座に確認できるのも利点のひとつです。
次にウィークリーは、週間予定を片面1ページ〜見開き1ページにしたもの。マンスリーよりも書くスペースが広いので、1日に多くの予定が入る人におすすめです。時間軸が書かれたバーチカルタイプなら複数の予定を書き込むことができるでしょう。また、それぞれの仕事のはじめと終わりの時刻を記入すると、1日の業務時間のうち、どのくらいの割合を占めるのか把握しやすくなります。
最後は、1日の予定を片面1ページ〜見開き1ページにしたデイリー。書きたいことがたくさんある人向けです。ページ数が多い分、厚くて重くなりますが、アポイントメントやタスクの締切りはもちろん、To doリストや日記なども書き込めます。全体のスケジュールを把握できる、月間予定のページと併用すると良いでしょう。
その1:消せる3色ボールペンで色分けして書く
黒1色で書くとメリハリがつきにくいので、大事なことを見落とす心配があります。一方、3色で書き分けると、パッと見て視覚に訴えることができるのでミスを減らせます。私は、「赤字=締切り、黒字=外出予定やアポイントメント、青字=自分のタスク」に色分けしています。目立つのはやはり赤字。重要な締切りを見落とさないよう、注意を喚起できますよ。
なお、3色ボールペンですが、インクが消せるものを使うと、さらにミスを減らせるでしょう。たとえば、予定の変更はよくあること。変更前の書き込みを残したままだと、ごちゃごちゃして見えにくくなるので消してしまいましょう。さらに細字で書けるものは手帳に向いています。
その2:You締切り、My締切り、着手日の3点セットを書く
締切りに遅れないためには、本来の締切りの他に、「My締切り」を設けるのが有効です。相手が設定した期日を「You締切り」とし、それより1日以上早めた「My締切り」を、自分で設定します。そして手帳には、「You締切り」と「My締切り」、さらに「着手する日」も書いておきましょう。というのも、締切りだけを書いたのでは、気づいたときには間に合わないこともありますよね。あらかじめ着手日も書いておけば、その仕事にかける十分な時間が取りやすくなります。
また、締切りに間に合っても、ミスがあってはいけません。早目に完成させたら、一晩寝かせてからチェックをしましょう。出来たてホヤホヤのときは、「正しい」という思い込みが邪魔をして、ミスに気づきにくいもの。翌日になってから冷静な目で見直し、修正したり品質を上げたりしてから提出しましょう。
その3:1日3回は手帳を見返そう
いくら手帳に書いたとしても、見返さなければミスはなくせません。私も実は以前、書類の提出期限をうっかり忘れたことがありました。手帳にちゃんと締切りを書いたのに……。なぜ忘れたかといえば、手帳を見返さなかったから。書いただけで安心していた自分を反省しました。以来、デスクにいるときはブックスタンドに手帳を立て、開いたままにしています。
デスクの引き出しやバッグの中に手帳を入れっぱなしにすると、見返す回数は減ってしまいます。毎回取り出すのが面倒になり、「後にしよう」と油断しやすくなるからです。まずは、手帳をデスクの上に出しておくことを意識しましょう。そして、1日3回は手帳を見返すよう、作戦を立ててみてください。