調剤薬局事務のメインとなるのが、レセプト業務です。
レセプトとは、薬を処方した際に公的機関に請求する医療報酬の明細書のことです。窓口で保険証を提出した患者さんには薬代の3割を負担してもらい、残りの7割は保険組合(保険者)に請求しますが、この請求金額は厚生労働省が定める調剤報酬点数表に基づき計算されています。
レセプトは患者さんごとに作成し、月ごとにまとめ、国民健康保険団体連合会や社会保険診療報酬支払基金へ振り分けてから提出します。
レセプト提出は、診察翌月の決められた日までに済ませる必要があります。また、保険番号や処方内容に誤りがあると、返戻(へんれい)処理をしなければいけません。
レセプト業務は、薬局の出入金に関わる重要な業務です。レセプトは患者さん1人につき1枚ですので、薬局の規模によっては大量の枚数を作成することになります。正確かつ迅速に作業できる方が求められるでしょう。
接客業務も調剤薬局事務の仕事です。医師による処方箋を持って来局した患者さんから処方箋を預かり、保険証やお薬手帳の有無を確認。それらを元にPCで患者情報や薬歴を入力します。
薬剤師が薬の効用や使用法について説明し、患者さんに薬を渡します。調剤薬局事務は薬剤師と連携しながらレジ打ちや会計を行い、患者さんがスムーズに会計を済ませられるようサポートします。
このように、調剤薬局事務は患者さんと接する時間が多いことが特徴です。ホスピタリティを重要視している薬局もあるため、患者さんの役に立つ、医薬業界に貢献するという気持ちが大切です。
調剤薬局事務の人気が高い理由のひとつは、資格取得のしやすさです。
例えば、「調剤事務管理士(R)」は受験資格の制限がなく、難易度も高くありません。通信講座などを利用すれば、お子さんのいる方でも育児をしながら資格取得を目指せます。
なお、薬剤の専門知識が必要とされる調剤薬局事務では、有資格者の採用確率が高い傾向にあります。調剤薬局事務には複数の資格がありますが、その中でも人気の資格が「調剤事務管理士(R)」です。
調剤事務管理士技能認定試験は2ヵ月に1度開催されているほか、在宅受験も可能。比較的受験のハードルが低い試験といえるでしょう。また、試験当日はテキストを見ながら知識問題や実技問題(レセプト作成)に取り組むことが認められています。
調剤事務管理士(R)に合格するためには、実技試験と学科試験の2つの合格基準を満たす必要があります。実技試験の合格ラインは「点検問題(1題)と各作成問題(2題)のそれぞれの得点が50%以上、かつトータルの得点が70%以上」、学科試験の合格ラインは「70点以上」です。
超高齢社会に伴い、調剤薬局の需要は高まってきています。駅前に調剤薬局が軒を連ねている光景も珍しくなく、最近は店内に調剤薬局を構えるドラッグストアも見られるようになりました。
調剤薬局事務はパートから正社員まで雇用の幅が広いため、自分のライフスタイルに合わせた働き方を選ぶことができます。また、調剤薬局は店舗数が多いため、家から近い職場を見つけたり、家庭と仕事の両立を実現したりしやすいという特徴もあります。「手に職をつけたい」という方は、調剤薬局事務の資格取得にチャレンジしてはいかがでしょうか。
調剤薬局事務と並んで人気がある医療系資格と言えば、「医療事務」。病院やクリニックの「顔」として、「受付」「カルテ管理」「会計」「レセプト(診療報酬明細書)作成」などの事務業務を行うのが、主なお仕事です。
ここではそんな医療事務について、現場経験も豊富なユーキャンの医療事務講座講師にインタビュー。 「家庭と両立できる?」「資格があると就職に有利?」「資格取得や就職に年齢は関係ある?」……など、気になる5つの疑問をぶつけました。