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2020.02.13

「思っていた色と違う!」を防ぐ。カラーコーディネーターに聞く店頭やネット通販で失敗しない洋服の選び方

「思っていた色と違う!」を防ぐ。カラーコーディネーターに聞く店頭やネット通販で失敗しない洋服の選び方

お店やネット通販で気に入った洋服を選んだのに、自宅で包みを開けてみると「アレッ!?」という経験はありませんか。思っていたよりも色が派手だったり、くすんでいたり。残念な気持ちになって、タンスの肥やしになってしまうことも......。どうしてそんなことが起きるのでしょう。色の見え方の違いについて、カラーコーディネーターの松本英恵さんに伺いました。

  • ライフ

「洋服が店頭で見た色と違う!」という失敗はなぜ起こる?

「洋服が店頭で見た色と違う!」という失敗はなぜ起こる?

お店で見るのと自宅とで、色が違って見えるのはなぜ?

「一番の違いは照明」と松本さんは開口一番におっしゃいます。レストランなら料理がおいしく見えるように、ホテルのラウンジなら落ち着いた雰囲気で……。お店にはそれぞれの目的に合った照明が使われています。
「照明には、面の明るさを示す『照度』や光の色合いを示す『色温度』、色の見え方を示す『演色性』による違いがあり、それぞれのかけ合わせでその場所に適した照明が選ばれています。
例えば、高級ブランドの店舗では、落ち着いた雰囲気でゆっくり時間をかけて買い物を楽しんでいただくために、色温度が低い黄みがかった光で、太陽光で見た時のような自然な見え方をする演色性の高い照明が使われています。一方、色温度の高い青みがかった光は、明るく爽やかな活動空間に適しているので、オフィスの照明に向いています」(松本英恵さん)

なるほど、もともとの照明の環境が違うから、お店で見たのと家で見るのとが違うのは、無理もないことなんですね。
さらに、住宅に使われている照明にも、光色による違いがあるのです。
「『電球色』『昼白色』『昼光色』などに分かれ、部屋によって使い分けると、快適な空間を演出できます。暖色系の電球色はリビングや和室、寝室によく使われており、白っぽくて明るい昼光色は書斎や勉強部屋に向いています」(松本英恵さん)
ということは、家の中でも場所によって違う色に見える、ということにもなりますね。これは一度、確かめてみる価値はありそうです。

お店で実際の色に近い色味を確かめるコツは?

家で見たら失敗、という思いをしないために、お店で洋服の色を見る時のポイントを教えてください。
「試着室は鏡との距離が近いので、全体像が見えているようで、実はそうではありません。全体のバランスを確かめる意味でも、できれば試着室から出て、店内の大きな鏡で確認することをおすすめします。また、お店の中も全体照明やスポットライトなど、いろいろな種類の照明が使われています。店内でも明るい場所、そして、白っぽい照明のところで見るのが、一番無難に見えるので、そういう場所を探して確認してみましょう」(松本英恵さん)

「色は太陽光の下で見るのが、一番自然に見えます。だから路面店なら、お店の方にお願いして、お店の外で見せてもらうのもテクニックの一つです。あるいは、窓際などで見るのもアリですね。
いまどきのお店なら、画像共有アプリやショップブログなどでコーディネートのスタイリングショットを載せているところもあります。太陽光の下に出られないお店でも、それらの画像から、外で着た時の色を確認することができます。その上で、手元にある実際の洋服の色と比べてみるのも、失敗を防ぐことになると思います」(松本英恵さん)

ネット通販で、洋服の色で失敗しないための選び方

ネット通販で、洋服の色で失敗しないための選び方

ネット通販で買った服が「思っていた色と違う」ということになるのは?

次はネット通販での色について。これこそ、たくさんの人が「包みを開けてみたらビックリ」という経験をしているのではないでしょうか。
大手の通販サイトから、個人出品のネットオークションやフリマアプリまで、ネット通販といってもその環境はさまざま。その違いが色にも反映されているようです。

「ネット通販は画像が命。どれだけ現物と近い色の写真を載せているかが決め手になります。一般的な大手通販サイトであれば、専用のスタジオでプロのカメラマンが高性能のカメラで撮影し、写真が現物と同じような色になっているかどうかを確認した上で掲載します。でも個人が出品するネットオークションやフリマアプリでは、そこまでの配慮を求めるのも難しいですよね。それが『思っていた色と違う!』ということを引き起こしていると思います」(松本英恵さん)

また、購入する側がネットを見る環境も、スマホやPC、タブレットと多岐にわたり、ディスプレイやモニターの性能もさまざまです。色はそれぞれの環境に左右されるので、実際の色との違いをゼロにするのは難しい。ネット通販と色の見え方の問題は、永遠のテーマと言えそうです。

ショッピングサイトを見たり、ネット通販をしたりする時に、色について気を付けるべきことは?

便利で手軽なネット通販。色についても、うまく付き合っていきたいものです。どんなことに気を付ければよいのでしょう。

「前述の通り、大手通販サイトの多くは、色に関するチェック体制が整っているので、そういうサイトを選ぶこと。個人出品のものでも、ブランドやスペックが分かれば、同じものを大手通販サイトで探してみて、色を比較してみてもよいでしょう」(松本英恵さん)

そして、私たちが購入する際の環境の整備としてもできることがあります。

「ブルーライトへの対応です。スマホやPCの画面から発せられるブルーライトは目や脳への影響があるのではないかと言われるようになり、モニター画面にフィルムを貼ったりしてブルーライトをカットしています。ところがブルーライト対策をしたモニターは、黄みがかって見えるようになります。つまり、目には良くても、ネット通販には向かない環境を作ってしまうのです。そのためネット通販の際は、ブルーライト対策のない画面で見ることをおすすめします。例えば、スマホのアプリやPCのOSに備わっている、ブルーライトの切り替えができる機能を活用すると、ネット通販での失敗を防ぐことができます」(松本英恵さん)

さらに、そもそもの色の見え方、という問題もあります。同じ色でも背景が暗いと、背景が明るい場所よりも明るく見えたり、面積が広くなると明るい色はより鮮やかに見えたりします。

「スマホやPCの画面で見えるのは、現物の何分の1もの小さな画像です。それが現物として届くと、色の面積が大きくなる分、鮮やかに見えます。『ショッピングサイトで見た時よりも、届いてみたら派手だった』というのは、面積による色の見え方の違いが関係しているのではないかと思います」(松本英恵さん)

小さな画像だけで見るのではなく、スマホでもPCでも、全画面表示に切り替えて確認すると、色のイメージも変わりそうですね。

加えて松本さんは、「ネット通販は、色の失敗も前提に考えて」とアドバイスします。

「大手通販サイトのオンラインチャットなどを活用すれば、気になる点を購入前に問い合わせることができます。また、無料返品できるサイトもあります。色の見え方・感じ方は人それぞれで絶対というものはありません。どうしても何らかの差やズレは起こり得るものですが、それを埋めるのが、問い合わせや無料返品などのサービスです。ある程度は割り切って考えて、これらのサービスを活用するのも、一つのやり方だと思います」(松本英恵さん)

洋服選びで失敗しない!系統別・色の見え方の特徴とは?!

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暖色系や寒色系など、色の見え方の特徴は?

ここまで、ショッピングの時と、家で広げた時の見え方の違いを中心にお話ししてきました。でも、洋服はそれを着て、どこかに出かけることが前提にあります。特にオフィスや会食、パーティーなど、何か目的があって選ぶのなら、その場所のことを考えて選ぶべき、と松本さんはおっしゃいます。

「はじめにお話しした通り、高級ブランドの店舗は、落ち着いた雰囲気を醸し出すために黄みがかった照明を取り入れているところが多いのです。こういう店では、暖色系や黒の洋服がステキに見えて、ちょっとゴージャスな感じが漂います。そこで買った服をホテルの会食に着ていけば、照明の環境が似ているので、見栄えがします。おしゃれに投資をした分、きっとステキな時間が過ごせると思います。
一方、同じ店に寒色系の洋服が並んでいても、あまりピンとこないかもしれません。でも、それがスーツなど、オフィスに着ていく服なら大丈夫。オフィスの照明は色温度が高い、青みがかった光が採用されているので、ネイビーのすっきりした印象が映えます」(松本英恵さん)

一般に、黄色っぽい光の下では暖色系はより温かい雰囲気になり、白っぽい光の下では寒色系のスッキリ感が際立ちます。これを知っておくと、シーン別の応用が利きますね。

色の専門家として気を付けていることは?

着るシチュエーションを考えて購入すると、必ずしも「お店やネット通販で見た色と違って失敗した」ということにはならないのかもしれませんね。

「はい。家の外に出ると、太陽光の下で見ることになるので、家の中よりも色がきれいに見えます。だから旅行など、アウトドアで過ごすことが多い時の服は、外で見栄えがするものを。家の中で沈んで見えても、外できれいなら、結果オーライだと思います。
でもその反対に、旅先で見てきれいな色だと思って買ったのに、帰って着てみたら『アレッ?』ということもあります。これは地球の緯度や太陽の角度、湿度によって、太陽光の明るさやきれいに見える色が変わるから。色の見え方には、いろいろな要素が関係しているのです」(松本英恵さん)

洋服の色選びで悩む20代女性へのメッセージ

最後に、洋服の色で失敗したくない20代女性に向けて、松本さんからメッセージをいただきました。

「今はいろいろな価格帯の洋服があります。懐が寒くならない程度の値段の洋服で失敗して、経験を積み上げることも大切だと思います。もしかすると、失敗したと思っていた洋服も、シーンを選べばとても着映えする服になるかもしれません。
そして、価格が高いもの、大事なところで着たい服は、いろいろな光の下で確認して、手間ひまをかけて選んでください。20代の今のうちに、いろいろな冒険をしておくと経験値が上がります。30~40代になってからも、おしゃれを楽しめるようになりますよ」(松本英恵さん)

取材協力
松本英恵さん(まつもとはなえ)さん
フリーランスのカラーコンサルタントとして活動。WEBや雑誌など多数のメディアで活躍。商品やウェブサイトのカラー監修の実績も多い。また、売る側、買う側の気持ちが分かるカラーとイメージのエキスパートとして、「似合う色」「売れる色」「心をつかむ色」をテーマに、研修講師としても活動している。
著書に、『人を動かす「色」の科学 1杯のコーヒーから始まる身近で不思議な世界』(サイエンス・アイ新書)など。
 

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