開け閉めの頻度が少ない押入れやクローゼットは、少しの湿気でもカビが発生しやすい場所のひとつです。押入れやクローゼットでよく見られるカビは「黒カビ(クロカワカビ)」と「ススカビ」という種類です。黒カビは、結露しやすい収納の内部や浴室にできる黒っぽいカビ。ススカビは収納内部や家具の裏などに発生し、灰色の綿ぼこりのようなカビです。いずれのカビも繁殖力が強く、アレルギーの要因や人体に影響が出る可能性があるため、気を付けましょう。
カビに注意が必要な時期は、5月から梅雨期にかけての長雨や、9~10月の台風が発生しやすい季節などです。そのため、カビ対策をして梅雨に備えるのであれば、ゴールデンウィーク以降を目安に準備を始めると良いでしょう。
なお、カビは「発生・繁殖に適した温度」「発生・繁殖に適した湿度」「酸素」「養分」がある場所で発生・繁殖します。この中で、「温度」と「酸素」は調整が難しいものですが、「湿度」と「養分」についてはある程度調整することが可能です。基本的には、湿度を上げず、養分となるものを与えないように注意するよう心掛けましょう。次からは、具体的な例をご紹介します。
カビが発生してしまったときには、お掃除をしてしっかり除去しましょう。まずは、住宅用洗剤などでカビの汚れを丁寧に落とします。住宅用洗剤を使用すれば、ある程度の汚れは落ちてきれいになりますが、仕上げにエタノール(エチルアルコール)で拭いて除菌を行ってください。
ちなみに、消毒用エタノールは原液のまま使用可能。しかし、無水エタノールは水で希釈する必要があります。家庭用の塩素系漂白剤を薄めて同じように活用することもできますが、他の洗剤と混ざると有害物質が発生する可能性があるため、エタノールよりも取り扱いに注意が必要です。また、カビのお掃除では以下の3つに気を付けてください。
1. 水拭きしない(カビは湿気を好むため)
2. から拭きしない(カビの胞子が舞い上がるため)
3. 酢は使用しない(カビの栄養源となるため)
これらの行程は普段のお掃除でもなじみがありますが、カビには逆効果です。うっかり実施してしまわないようにしましょう。
カビのお掃除が済んだら、カビが再び発生しないよう予防対策をします。
汚れが残っている衣類または布団が湿気と組み合わさると、カビの生育に最適な環境を作ってしまいます。その環境とは、湿気・適度な温度(20~30℃)・養分(皮脂汚れや汗に含まれるタンパク質、砂や泥に含まれる無機塩類など)の条件がそろった状態のこと。カビの予防対策のためには、カビの栄養源となる衣類や布団の汚れを、押入れやクローゼットの中から極力減らす必要があります。衣類や布団は、洗濯をして汚れをしっかりと落としてから収納しましょう。
また、カビの発生には湿度も関係しているため、押入れやクローゼット内部の湿度は低くなるようにしましょう。湿度を低く保つ方法としては、「除湿剤を置く」「物を詰め込みすぎない」「こまめな換気を心掛ける」などの習慣が効果的です。このように、押入れやクローゼット内部の湿度を調整し、カビが増える前の段階で繁殖を防ぐことができれば、カビに対する心配はぐっと減らせます。
今回は、押入れとクローゼットのカビ対策についてご紹介しました。湿気剤を置いたり換気を心掛けたりするだけでも、カビを防ぐことは十分可能です。たとえカビを見つけても、繁殖してしまう前にお掃除で除去し、エタノールでの除菌を必ず行えば、根元からカビを取り除くことができるでしょう。