「旬」とは、食材となる生き物が最も良い条件で生育する時期を指します。恵まれた環境で育った動植物ほど食材としての栄養価が高く、味もおいしくなるのです。また、旬の食べ物は、「その時期の人間にとって必要な栄養素が豊富だからおいしい」とも言われています。
例えば、3月~5月の春が旬の食べ物は、寒い冬の間あまり活動的に過ごさなかった人々の活力を目覚めさせる、ビタミン類やミネラルなどの栄養素が豊富。特に、ビタミンCを多く含む食べ物が目立つという特徴があります。
冬を越して暖かい春を迎えると、寒さで弱った体の調子を整える栄養素を体が求めはじめます。そのため、筋肉や血管を丈夫にするビタミンCをはじめとしたビタミン類、骨を強くするカルシウムなどのミネラルを豊富に含む旬の食べ物をとると、「おいしい!」と感じる、と言われているのです。
では、野菜や果物、魚介類で春に旬を迎えるものを見てみましょう。
春野菜は、香りが強いものや芽物野菜が多く、これらは解毒効果や排出力が高いのが特徴です。例えば、菜の花やフキノトウ、タラの芽、ニラなどの苦みは、野菜にとっては害虫から身を守るためのものですが、人間にとっては体内で解毒を促す効果があります。
また、春野菜を代表する野菜の1つである春キャベツは、他の季節のキャベツに比べて葉が柔らかく、みずみずしくてほんのりとした甘みがあります。多く含まれる栄養素は、ビタミンCやビタミンUなど。胃腸の調子を整える、肝臓の働きを助ける、健康的なお肌を作る、といったことに役立ちます。
春の果物も積極的に取りたい食材です。春の果物はビタミンCが豊富。紫外線が強いと言われている5月は、ビタミンCをしっかりとるのが理想的です。人気なのがイチゴやキウイフルーツで、共にビタミンCがたっぷり。お肌や体を元気にしてくれますし、爽やかな甘酸っぱい味わいはこの季節ならではです。
魚介類ならカツオやサワラ、マス、アサリ、イセエビ、タコなど。あっさりして脂肪分が少なめのものが多く、冬に不足しがちなビタミンやミネラルを補ってくれます。
冬から春にかけての季節の変わり目は、気温の変化が激しく、体調を崩しがちに。栄養価が高い旬の食材を料理に取り入れて、体のメンテナンスを行いましょう。
次に、春の食材を効果的に使ったおすすめの料理方法をご紹介しましょう。おいしいだけでなく、栄養もしっかり取れる調理方法です。
野菜をたくさんとることができ、食材のうまみを生かしつつ、油をほとんど使わずに作れるヘルシーな蒸し料理。電子レンジを使えば簡単にできるので、時短料理としても人気です。
いちおしは、春野菜&アサリの蒸し料理。菜の花、タケノコ、アスパラなどの春野菜とアサリを蒸します。野菜には、春キャベツや新ジャガイモ、春ニンジンなどを使っても美味いですよ。
世代を問わず愛されるパスタ料理。ゴロゴロと具だくさんに作れば、味はもちろん、栄養面でも満点です。
春らしいひと皿を目指すなら、野菜は王道の春キャベツや菜の花、タケノコ、新玉ねぎ、ソラマメなどで。魚介類はアサリやイカ、タコが使いやすいでしょう。冷製パスタなら、カツオのたたきも◎。食材を変えれば雰囲気がガラリと変わるのも、パスタ料理の魅力です。いろいろな春食材を使って試してみましょう。
今回は、3月~5月の春に旬を迎える食材とその特色についてご紹介しました。
春は四季の中でも、菜の花やいちごなど、旬でなければ出回らなかったり、高価になったりする食材が多い季節といえるでしょう。「これぞ、春の味!」というものが多いので、ぜひ五感で季節を感じてください。
1年間の旬の食材をチェックして、いつでもおいしく、栄養価の高い食事ができるようになったらステキですよね。ここでは、 冬(12月~2月)に食べておくべき旬の食材をご紹介。おいしい食べ方もお教えしますので、ぜひチェックしてみてください。