七夕は、古くから行われている日本の年中行事のひとつです。1年間の重要な節句を表す五節句のひとつであり、季節が変わるという重要な意味を持った日でもあります。
日本における七夕は、中国の「乞巧奠(きこうでん)」という行事と、日本古来の「棚機(たなばた)」という行事、そして中国の織姫と彦星の物語「牛郎織女(ぎゅうろうしゅくじょ)」が融合して生まれたといわれています。
織姫にちなんで、機織りの上達を願う行事です。奈良時代に中国から日本に伝わったといわれています。
針などをお供え物として、星に祈ります。やがて、機織りだけでなく詩歌や習い事の上達も願うようになっていきました。
古来より日本にある禊(みそぎ)のための神事です。
選ばれた穢れなき少女が豊作を祈り、人々の穢れを払うために、水辺の棚(機を織るための小屋)にこもって神を迎え入れたとされています。
中国の民間説話です。時代によって内容が異なり、最も古いとされる説話では、次のように語られています。
天帝の娘である織女(織姫)は機織りの仕事に就いていたが、仕事に忙殺される日々を送っていた。それを見かねた天帝は牽牛郎(彦星)に嫁ぐことを許すが、結婚した後に織女が機織りの仕事をしなくなってしまったため、怒って自分の元に連れ戻し、牽牛郎と会うのは1年に1度だけだと決めてしまった。
その後、牛郎織女の説話は内容が変わっていき、現在よく知られている七夕の伝説に近づきました。
実は、七夕伝説には牛郎織女以外にもさまざまな物語があるのをご存じでしょうか?日本版七夕伝説ともいえる「天雅彦草子(あめのわかひこぞうし)」は、中国由来の物語とは全く異なる物語です。
また、ギリシャ神話のオルフェウスに関する説話は、織姫星(ベガ)にまつわる物語として知られています。その他には、フィンランドに仲睦まじい夫婦・ズラミスとサラミという夫婦の伝説が語り継がれています。ぜひ調べてみてくださいね。
七夕は、短冊の他にもさまざまな飾りをつけますよね。その飾りには、一つひとつに意味があることをご存じでしょうか。七夕飾りの意味を知って飾ってみると、さらに七夕が楽しくなりますよ。
日本の七夕では短冊に願い事を書いて笹につるすのが一般的ですが、これは日本だけで見られる風習です。中国の乞巧奠では、お祈りの際に5色の糸を飾る習慣がありました。
また、乞巧奠が日本に伝わった後、葉の裏に和歌を書き、書道の上達を願うという風習が生まれます。2つが合わさり、現在おなじみとなった「短冊に願い事を書く」風習が江戸時代ごろから民衆に広まったといわれています。
短冊の色は、今でこそ色とりどりのものが使われていますが、もともとは5色です。そして、その5色それぞれに意味があります。
青:周囲への感謝を忘れず自分自身の人間力を高める
赤:親や先祖への感謝の気持ちを表す
黄:人を信頼し、大切にする
白:義務や決まり事を守る
黒:学業の向上
裁縫が得意な織姫にあやかって裁縫の上達を願う他に、病気や災害を避ける身代わりとなる意味もあります。
織姫が扱う糸を表現しており、裁縫の上達を願う意味があります。その他にも、長寿の願いが込められています。
巾着は、昔の財布として使われていました。そのためお金が貯まるようにという願いが込められており、その他にも金運上昇や商売繁盛の意味もあります。
大漁、豊作の願いが込められています。食べ物に困らないように、網で幸せを絡め取るという意味もあります。
七夕飾りを作った際に出た紙くずを、網の形をした屑籠に入れて飾ります。ものを粗末にしないように、また、清潔と節約を心掛けるという願いが込められています。
長寿の象徴として、家族の健康と長寿、家内安全の願いが込められています。家族の中で、最年長者の年齢の数だけ折ると良いとされています。
昔から親しまれている七夕ですが、その歴史や由来を初めて知ったという方も多いのではないでしょうか。
七夕にまつわるさまざまな物語のことを思い浮かべながら、そして七夕飾りに願いを込めながら七夕を楽しんでくださいね。
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