一般的に、調理師は「調理師法」に基づき、飲食店や企業の社員食堂、役所、病院、学校などの厨房で栄養や衛生管理のルールを守りながら仕事をします。例えば、学校や病院などでは栄養士と協力しながら給食や病院食を作ります。
しかし、調理師が行う仕事は料理を作るだけではありません。その業務内容は多岐にわたります。
職場にもよりますが、調理師になってすぐに調理を任せられるのではなく、最初は見習いとして調理場の清掃や食材準備などを担当することがあります。その後、1人前として認められると、調理だけでなく、食材の仕入れから店舗の衛生管理、新メニューの開発、さらには売上管理など、多くのことを担当できるようになります。そんな調理師の、主な仕事内容は以下の通りです。
在庫を確認しながら、必要な食材を仕入れます。業者への発注や市場・スーパーなどへの買い付けなど、なるべく無駄のないように調節しながら行います。
営業前に行う、調理前の下準備。材料を切ったりソースを作ったりして、営業中も手早く料理を提供できるようにしておきます。
お客さまからオーダーされた料理を作り、提供します。和食やフレンチ、イタリアンなど、特に盛り付けにこだわる料理は、調理師の美的センスが問われます。また、営業時間内は常に忙しいですが、ランチおよびディナータイムなど集客の多い時間帯は、特に迅速なサービスが求められます。
皿洗いや後片付けは調理師ではなくアルバイトなどが担当する場合もありますが、厨房の衛生管理は食品衛生責任者と共に行います。
調理師の免許を取得する方法は2つあります。1つ目は、厚生労働大臣指定の調理師養成施設を卒業すること。2つ目は、調理師試験に合格することです。調理師試験は年に1回、全国の都道府県ごとに行われます。この試験を受けるためには、給食施設や飲食店、惣菜製造業や魚介類販売業で2年以上の調理実務経験が必要です。つまり、調理師養成学校を卒業していなくても、2年間の実務経験があれば調理師免許の試験にチャレンジできます。
調理師免許があれば、飲食業界はもちろん、病院や学校でも調理師としての知識や技能を生かせます。調理する仕事自体は調理師免許がなくても関われますが、免許があると仕事をする上で有利です。主なメリットは以下の通りです。
飲食店などの就職においては、応募条件の1つとして「調理師免許保有者」を挙げている場合があります。また、給与を通常より高く設定したり資格手当が出たりする企業もあります。
調理師免許は、独立してお店を開く夢を持っている方にも有利になることが多い資格です。飲食業を営むためには、「食品衛生責任者」の有資格者の設置が必要で、本来は資格取得のために、各都道府県の条例に従って6時間以上の養成講習を受講しなければなりません。しかし、調理師免許を持っていれば、講習を受講せずに申請のみで食品衛生責任者の資格を得られます。
就職や独立など、自身のキャリアアップに生かせる調理師免許。調理師養成施設を卒業していなくても、調理現場で2年の実務経験があれば免許取得の試験を受けられるため、すでに実務経験を積んでいる方は比較的挑戦しやすいでしょう。
調理師は、飲食業界の他にも企業の社員食堂や役所、病院、学校など活躍の場が多くあります。また雇用形態も複数あり、正社員・パート・アルバイトなど、自分のライフスタイルに合った働き方を選べるため、家庭を持つ女性にもオススメです。
また、調理師の仕事で身に付けた知識や技術は、家庭生活の料理でも役立つでしょう。さらに、調理師免許を持っていれば、退職しても育児が落ち着いた頃に社会復帰しやすく、再就職先で有利になることも。ぜひ、取得に向けてチャレンジしましょう。
人々の生活の基本である「食」のマーケットには、幅広い業種・職種があります。けれど種類が多い分、「どんなことを学べばいいかわからない」という方も多いのではないでしょうか。そこでここでは、 「食」に関するオススメの資格5つと、それぞれの資格を活かして活躍する方法を、キャリアコンサルタントの資格を持つライターの青木典子さんに解説してもらいました。