保育園の園児たちの日常の言動をTwitterで発信し始めたところ、子どもらしい素直な言葉が「かわいい」「癒される」「ときには大人も考えさせられる」と話題を呼んで大人気となった、てぃ先生。ツイートをもとにした書籍やマンガが発売されTVでも紹介されており、現在はフォロワー数が38万人を超える人気ぶりです。
そんなてぃ先生の投稿を、まずはいくつかご紹介します。
ストッキングは「かわ」じゃないよ~!
園庭へ出る時、男の子(4歳)に「寒いねー」と言ったら、「あっ!」と声をあげたので「どうしたの?」と聞いたら、「ママ『かわ』きたかなー」と言うので「かわって何?」と聞くと、「ママね、あしに かわ きるの」って。もしかしてストッキング?と気づいた瞬間、可愛すぎて笑った。皮じゃないよ。
— てぃ先生 (@_HappyBoy) 2016年1月27日
「てぇ つなご」子どもは好きなものに一直線
散歩前、女の子(4歳)がある男の子とどうしてもペアになりたかったようで、部屋を出る時から「てぇ つなご」と男の子を確保していたのだけど、玄関で靴を履く際、さすがに手を離したと思ったら「くつ はくから、ここ もってて」と結ってある自分の髪の毛を持たせていて笑った。素敵です。
— てぃ先生 (@_HappyBoy) 2016年5月9日
男の子だって、「だっこ」されたい!
突然、男の子(4歳)が「せんせい!ぼく おっきくなったかも!」と言うので「本当だ!大きくなったね!!」と男の子の頭の上に手を乗せたら、「ちがう、おっきくなったから おもいの!もってみて」と言うから抱っこすると、「うそだよ〜!だっこ でした〜!」って。何なんだよ、可愛すぎかよ。
— てぃ先生 (@_HappyBoy) 2016年4月11日
どのエピソードも、子どもの可愛らしさに溢れていて、多くの人の心の琴線に触れるのもうなずけます。
てぃ先生に、投稿している中から特に思い入れがあるツイートを伺ったところ、「どれも大切なエピソードなので選ぶのは難しい」とのこと。また、「実はこんな特別なエピソードがなくても、単純に紙飛行機が遠くに飛んだことに喜んで「バンザーイ」ってやってたりする子どもを見たりするのが一番可愛い」ともおっしゃっていました。
子どもたちのかわいい姿を毎日見ることができる保育士の仕事は楽しそうですが、てぃ先生はいつごろから関心を持つようになったのでしょうか……?
――保育士を目指すようになったキッカケは?
父がサラリーマンだったのですが、「毎日普通に会社に行って同じ時間に帰ってくるような会社員とはちょっと違う仕事がしたい」と考えていて、漠然と手に職をつけたいというイメージを持っていました。
また、もともと子ども好きだったので高校生を卒業する頃には子どもに関わる仕事につきたいと思うようになり、いろいろな選択肢があった中で、一番子どもと接する機会が多そうな保育士という仕事を選びました。
――保育士に抱いていたイメージと実際に働き始めて感じたことにギャップはありましたか?
学生の頃は、子どもと遊ぶのが仕事の8~9割ぐらいで楽しそうな仕事だなとイメージしていたのですが、実際に新卒で働き始めて、毎日、毎週、毎月、年間の保育計画をたてて、それに沿って日々の業務や行事をこなしていくなかで、どうやらこれは思っていた仕事とちょっと違うぞ、となりました(笑)
ただ僕の場合、そこが面白いと感じました。保育士はただ子どもと遊ぶだけではなくて、その遊びの中にある、子どもを成長させるための要素を常に意識するんですね。
例えば鬼ごっこをして遊ぶのであれば、脚力や、モノを目で追う力を鍛える、カーブで曲がる時の体の使い方を学ぶ、といったような要素があるわけですよね。
その時に重要なのが、「鬼ごっこをやった結果こういった能力が育った」というのではなくて、「こういった能力を育てたいから鬼ごっこをやる」ということ。逆なんですよね。
まず目的や狙いがあって、それを実現させるための手段として遊びがあるんです。「子どもたちにこれを身につけてほしいから、これをやる」ということを計画に落としこむのが、保育の日案であり、週案、月案、年間案なんだということを理解したときに、ああ、保育は奥が深い、保育士の仕事って面白いと思いました。
――保育士の1日のスケジュールはどの程度決まっているのですか?
1日のスケジュールは、基本的に朝から夕方まですべて決まっています。その中で子どもたちを自由に遊ばせる時間もありますが、こういったことをやってほしい、という思惑はあります。
例えば、社会性を上げるための活動として、おままごとをして欲しいと考えている場合は、子どもたちのお昼寝中に、さりげなく机の上におままごとセットを並べて、楽しそうな感じにスタンバイしておくんですよ。
そうすると子どもたちは自然とおままごとで遊びはじめます。こうして自由な時間の中でも、子どもたちをうまく導いて、計画していたことをやってもらえるようになってくると、仕事が楽しくなってきます。
ただ、始めからこういったことができたわけではありません。新人の頃に一番悩んだのは、マニュアルがないので、何が正解かわからないことでした。ハンバーガーチェーン店などであれば、これが正解という仕事のマニュアルがあると思うのですが、保育に関しては明確なマニュアルがなくて、先生によっても、持っている教育観というのが違うんですね。
また、特に保育園の場合は複数担任が基本なので、1つの学級に先生が3、4人はいます。そうすると自分はこう思っているんだけど、先輩がこう言ってるから、ということで自分の考えを押さえなければいけない場面もでてきます。
納得できないことも多く、悔しい日々を過ごしていましたが、これではいけないと思い、先輩の先生たちと徹底的に話し合い、子どもたちにとって一番良い方法を模索するようになってからは、気持ちよく働くことができるようになりました。
――保育士の業務で一番重要なことは?
マニュアルのない保育の世界で最も大事なポイントは「準備」と「段取り」ですね。保育の仕事はそれさえしっかりできていれば、うまくいくと言っても過言ではないぐらい大切なことだと思います。
この「準備」と「段取り」をスムーズに行うために欠かせないのが、子どもたちをよく観察することです。普段からよく観察して、その子がいま、どんなことに関心を持っているかを知っておくことが重要です。
例えば、最近あの子は「何でも自分でやりたがる時期」ということを理解していれば、じゃあ、あの子は靴も自分で履きたがるだろうな、ということが予想できますよね。
そうしたら、先回りして下駄箱の靴のマジックテープを外しておいてあげる。そこまで準備をしてあげれば、足を入れるだけで靴を履くことができて、自信をつけさせることができます。
このように子どもを観察し予測をして、「準備」と「段取り」を先回りして日々行い、良い方向に子どもたちを導く。それができるようになると保育士という仕事は、とても楽しくなります。
「子どもと遊ぶのが保育士の仕事」とイメージしていたところからスタートし、そのイメージと実際の業務とのギャップに戸惑いながらも、マニュアルのない保育士という仕事の奥深さに気づき、仕事が楽しくなった、と語るてぃ先生。
後編では、さらに深掘りして、保育士という仕事の魅力ややりがい、どんな人が保育士に向いているかなどを伺います。
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