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2017.08.03

保育士からの起業。視点を変えてさらに広がった、保育の仕事で叶えたいこと

保育士の仕事場は保育園だけではありません。保育士の経験を生かして起業をし、違った角度から保育の仕事に携わる人もいます。保育や子育てに繋がる「遊び」の情報サイト『HoiCelue♪(ほいくる)』を立ち上げた、保育士の雨宮みなみさんに、保育の仕事で叶えたいことをうかがいました。

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「保育の引き出しを共有できる場所を作りたい」という想い

保育園で保育士として6年間勤務したのち、夫と一緒に起業して、『ほいくる』を立ち上げた雨宮さん。もともと保育士を目指したきっかけは何だったのでしょうか?

「中学時代に職業体験で保育士の仕事に触れ、『自然に笑顔でいられる仕事』だと感じ、保育士になりたいと思いました。その後、保育士を目指せる短大に入学して資格を取り、保育園に勤務したのです」(雨宮さん)

しかし、現場で働くうちに、保育士は多忙で、情報をインプットする時間がないことに気づいたそう。

「子どもが日々成長していく様子を見ることができる仕事は、とてもやりがいがあります。一方で、子どもとの関わり方の幅は、新人とベテランの保育士では当然ながら大きな差があります。いけないことをした子どもに『ダメだよ』と叱る以外に、子ども自身が実際の経験をもとに学んでいく環境を作る術を、ベテランの先生は持っていたんです。でも、日々忙しい保育士は、こうした考えに触れたり、知識を得る機会というのがなかなかもてません。そこで保育士が手軽に情報収集して視野を広げたり、保育の引き出しを増やせるきっかけや環境が必要なのではという想いが強くなり、保育園を辞めて、『ほいくる』を立ち上げることを決意しました」(雨宮さん)

現役保育士の約6割が活用するサイトに成長

比較的安定しているといわれる保育士の仕事を辞めて、起業することへの不安はなかったでしょうか?

「『現場の負担や不安を減らし、意欲や楽しさにつなげるものを作りたい』と思っていたので、不安よりもワクワクする気持ちのほうが大きかったです。『ほいくる』を作ってから、とくに宣伝はしていないのですが、口コミでユーザーが広がっていったのは励みになりましたね。もちろん試行錯誤はあり、最初は月額課金だったものを途中でなくし、まずはより多くの人に使っていただきやすい運営に踏み切りました。社内のメンバーは最初の2名から9名に増え、よりサイトの内容を充実させていくことで、『ほいくる』の認知度も広がってきました。ここ最近になり、少しずつ雑誌などのインタビューも増えてきたので、より多くの方に知っていただけたらと思っています」(雨宮さん)

現在、『ほいくる』は、現役保育士の6割の方が活用しているというデータもあり、多くの保育士さんに支持されています。

「保育や遊びを楽しく記録・共有できる『ほいくるアプリ』も作り、新しいアイデアを共有し合うことで、日々の保育や遊びを広げていくことができるようになっています。今後はアプリをさらに進化させて、よりたくさんの人と保育の引き出しを共有することで、保育士さんの負担の軽減に役立てていただきたいと考えています」(雨宮さん)

保育士に向いているのは子どもと一緒に楽しめる人

保育士として、また起業家として保育業界を見つめてきた雨宮さんから見て、保育の仕事に向いているのはどんな人でしょうか?

「保育士は子どもが好きじゃないとできませんし、好きというだけでもできない仕事だと思います。子どもの成長を間近で見ることができるのでやりがいはありますが、神経も使いますし、体力も必要です。また、子どもは思い通りになる存在ではないので、『こうしなくてはならない』という思いが強すぎると、理想と現実の違いに疲れてしまうかもしれません。子どもに寄り添いながら、保育者として保育の環境をつくることができるバランス感覚が大事だと思います。子どもに対して『教えてあげよう』という目線よりは、子どもと一緒に楽しめる人の方が長く楽しく続けていけるのではないでしょうか。子どもは遊んでいる時間が長く、その中で思いもよらない発想をしていたり、体験や学びを通して成長していくもの。その環境を大切に、それぞれの子どもの個性や成長を見守っていくのも、大人の役割です。私の現在の仕事の中でも、遊びの価値を社会に発信していくことの重要性を認識しているところです」(雨宮さん)

また、規制緩和によって、保育士の働き方も変わってきています。

「保育園不足で増設が続いているため、保育士にとっては、自分の考えや働き方、希望する待遇に合った保育を行っている園を選びやすくなっています。私自身、保育園を転職していますし、転職しながらステップアップを目指すという働き方もあります」(雨宮さん)

保護者と保育士が一緒に育てあうパートナーになるのが理想

待機児童問題など、課題が多い保育業界ですが、最後に雨宮さんが描く、保護者と子どもと保育の未来像とは?

「保護者と保育士が『預ける』『預かる』という関係ではなく、お互いに『育ちを分かち合う』パートナーとして認め合い、学びあえる関係が理想なのではないかと思っています。保護者と保育士は、立場が違う分、子どもへの視点も違っていますが、それはどちらも大切なもの。その思いをお互いに共有することで、子どもの個性をさらに伸ばしていけるのではないでしょうか」(雨宮さん)

【取材協力】

雨宮みなみ(あめみやみなみ)さん
株式会社キッズカラー代表取締役CEO。保育士資格、幼稚園教諭二種免許、社会福祉主事任用資格所持。中学時代から保育士を志望し、20歳から認可保育園などで6年間勤務。2010年、保育士経験を生かして保育士支援、子育て支援事業を行う会社を設立。保育や子育てに繋がる“遊び”情報サイト『HoiCelue♪(ほいくる)』の運営を行う。2014年に第一子を出産。

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