7・8月に試験がある資格は、国家資格・公的資格・民間資格合わせると100以上。国家資格では、「税理士」「社会保険労務士」「司法書士」「弁理士」「中小企業診断士」「一級・二級建築士」「不動産鑑定士」「土地家屋調査士」「保育士」など、メジャーな資格試験にも本番を迎えるものが多くあります。
しかし「暑い」というだけで身体がだるく感じ、気持ちが引き締まらない7・8月。仕事終わりにビールが飲みたくなったりして、なかなか勉強に集中しづらい環境です。それでも迫ってくる試験本番。試験日まであと数週間というとき、どんな心構えで、どんな行動を取ればいいのでしょうか。
これまで464の資格を取得し、All About「資格」ガイドも務める鈴木秀明さんにアドバイスをいただきました。
試験対策の学習には、概念や理論を理解する、用語や数値を覚える、論述のトレーニングをする……などがありますが、試験まで時間が限られてきたなら「暗記」に力を入れてはいかがでしょうか。特に、勉強を始めて間もない頃に覚えたことは、記憶が薄れている可能性あり。それをおさらいしましょう。
「細かな数値や固有名詞なども、試験直前に覚えれば当日まで記憶に残りやすい。逆に言うと、直前期なのに勉強量が足りないと思う場合でも、暗記もので挽回できるチャンスは十分あるということです。覚えにくいものがあれば、ゴロ合わせを何パターンか用意するのも有効。『覚え方』をいろいろ考えるうちに脳に定着するものです」(鈴木さん)
仕事が終わったら家に帰って勉強!――それが実践できる意思の強さがあればいいのですが、「そのまま寝ちゃいそうだな」と思ったら、まっすぐ帰らずにカフェに寄って勉強するのもいいでしょう。
「ちょっと高めのドリンクを注文すると、気分が上がるし、元をとるためにがんばろうという気になりますよ」(鈴木さん)
会社や自宅に近いカフェでもいいのですが、ビジネススクールなどの近くにあるカフェに足を運ぶ手も。ほかにも勉強している人がいることが多いため、その姿に刺激を受け、学習意欲が高まるかもしれません。資格スクールに通っている人であれば、スクールの自習室を活用してもいいでしょう。
「本番が近づき、焦ったり不安になったりする人は、あえていつもどおりの生活ペースで過ごすのがいい。『あと2週間しかない』ではなく『あと2週間もある』と考える。『2週間あればたくさんのことができる。何とかなる』という思考に持っていきましょう」(鈴木さん)
また、不安な気持ちはだれかと会話することで落ち着くもの。自分を応援してくれている友人や勉強仲間を誘って、20分でも30分でも話す時間を持ってはいかがでしょうか。
試験当日に困らないように、次に紹介する3点もぜひおさえておきましょう!
「試験が長時間にわたる場合、朝起きるのが早すぎると試験の最後まで体力や集中力がもたないこともあります。明日の試験に備えて前日は早めに就寝する人もいますが、下手をすると変な時間に目が覚めてしまったり、生活リズムやコンディションが狂ってしまったりする可能性もあるのであまりお勧めしません。基本は、いつもの就寝・起床パターンを保つのがいいでしょう」(鈴木さん)
なお、鈴木さんは試験当日、試験開始から2時間~2時間30分前に起きるのだとか。すると、ちょうど試験が始まる頃に脳がしっかり動き出して「受験モード」になると感じているそうです。
筆記具と受験票は当然ながら必須。そのほか、夏季だからこそ忘れずに用意しておきたいのが、さっと羽織れる上着、水分補給のためのドリンク、汗を拭くハンカチ・タオルです。
「会場によって冷房が効いていないこともあれば、効きすぎていることもあります。会場に着いてみて、暑くても寒くても、それに合わせて調節できる服装を心がけてください。冷房が寒く感じる場合に備え、羽織るものを準備しておきましょう」(鈴木さん)
また、自分にとっての「お守り」になるものも持っておくと、心を落ち着けるのに役立ちます。
家族や同僚、友人などからの激励のメッセージを見て、気分を上げるのもいいでしょう。
「これまで使ってきたテキストやノートを持参するのもいいですよ。もう完璧に内容はおさえたと思えるテキストでも、試験前に読み返してみることで『自分はこれだけ勉強してきた。だから大丈夫』という自信につながります」(鈴木さん)
交通機関のダイヤが乱れることもありますので、会場付近には早めに、できれば遅くとも集合時刻30分前には到着するように家を出たいものです。
「夏はイベントやライブ、お祭などが多く開催されます。それが試験会場の近隣や同一路線の場所で開かれる場合、交通機関が混雑し、遅れが生じることも。そうした可能性も想定して、時間に余裕を持って行動しましょう」(鈴木さん)
試験が近づくと、自然と不安や焦りは生じるもの。そんな時に、勉強法を変えるなど普段と違うことをやったりするよりも、心地よく集中できる自分のペースをつかむことが必要です。夏の時期に試験が控えている人は、ぜひ参考にしてみてください!
Text:青木典子
就職・転職時に必要な履歴書。華やかな学歴や泊が付く資格を書くことができたら、きっと目に留まることでしょう。でも実際のところ、学歴と資格はどちらが役に立つのでしょうか? その真相を知るべく、 東大卒で、その上なんと400個以上の資格を取得しているという、資格アドバイザーの鈴木秀明さんにお話を聞きました。