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2021.01.15

複数資格にチャレンジして「選ばれる介護職」になる!

複数資格にチャレンジして「選ばれる介護職」になる!

超高齢社会の現在、需要が急増している「介護のお仕事」。コロナ禍を背景に雇用不安が広がる昨今、「介護業界への転職を考える人が増えている」との声も聞かれます。今回は介護の仕事の魅力や介護業界で活躍するための方法、複数資格を活かしたキャリアアップの道筋などを紹介します。

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「2025年問題」から考える、介護職がますます必要とされる理由

みなさんは「2025年問題」という言葉を聞いたことはありますか? 2025年、約800万人いる団塊世代(戦後の第一次ベビーブーム期、1947年~1949年頃に生まれた世代のこと)が後期高齢者(75歳以上)となることで生じるさまざまな課題を総称して、「2025年問題」といいます。

具体的には、どのような課題があるのでしょうか。75歳以上になると、一人当たりの医療や介護の費用が増えるという調査結果から窺えるように、後期高齢者になると介護が必要になる割合が高くなります。介護が必要になる高齢者が増えれば、介護職の需要が今以上に高まります。

さらに、2025年には独居か高齢者のみの世帯が約7割を占める見通しで、特に首都圏をはじめとする都市部において今後急速に高齢化が進むと見られています。体が不自由になると、身のまわりのことが一人ではできなくなることがあります。

そんな時、頼りになるのが介護福祉士などの介護職です。実際、介護職の支えによって独居を続けている高齢者もいます。また、独居で生活することが難しくなったため施設へ入所し、介護職の援助を受けて暮らしている人もいます。

高齢者が高齢者を介護する「老老介護」という言葉を聞いたことがある方もいるでしょう。例えば、ともに後期高齢者の夫婦という高齢者のみの世帯の場合、介護職が介入することで介護される側はもちろん、介護する側の負担も軽減されます。「老老介護で共倒れ」という困難な事態を防ぐという側面からも、介護職が果たす役割はますます重要になると言えます。

加えて、認知症高齢者の増加も介護職の需要が高まる理由の一つに挙げられます。ある調査によると、2025年には少なく見積もって675万人、場合によっては730万人を超えると推計されています。

介護の現場を訪れると介護職の援助を受けながら穏やかに暮らす認知症の高齢者にお会いする機会がしばしばあり、介護のプロフェッショナルの活躍が光っています。

このように「2025年問題」という近い将来の課題から考えても、今後ますます介護職が必要とされる時代になるということがお分かりいただけるでしょう。

「長く安定して働ける」「自分自身の成長が感じられる」など魅力が多い仕事

介護職の需要が高まるなか、介護サービスを提供する事業所や介護施設の多くは人材を募っています。ある事業所では「コロナ禍で雇用不安を抱き、別の業種から介護職への転職を希望して面接に来る人もいる」とのこと。長く安定して働き続けることができるのは介護職の大きなメリットだと言えます。

気になる採用の条件ですが、経歴や面接での評価次第では資格と経験がなくても採用する事業者や施設は少なくありません。また、幅広い年齢層が活躍していることも介護職の特徴です。人生の先輩である利用者はもちろん、共に働くさまざまな世代の仲間からも教わることは多いのではないでしょうか。

公益財団法人介護労働安定センターが行った「令和元年度 介護労働実態調査」で、介護職に現在の仕事を選んだ理由をたずねたところ、「働きがいのある仕事だと思ったから」が49.8%と最も高く、次いで「資格・技能が活かせるから」が36.2%という結果になりました。

では、介護職にとっての「働きがい」とはどのようなことなのでしょう。ある介護職は「利用者さんからありがとうと感謝される時に働きがいを感じる」と話していました。ほかにも自分が介護職としてかかわったことで「利用者のQOL(生活の質)が向上した」、「認知症の利用者の笑顔が見られるようになった」などの理由も聞かれます。

複数資格にチャレンジして「選ばれる介護職」になる!

一方、ジャーナリストとして長年介護の現場を取材し、介護福祉士でもある筆者が感じる介護職の一番の魅力は「自分自身の成長が感じられる」ということです。

例えば、入浴という行為だけでも、その方法は一人ひとり異なります。「自分が通常行っている体の洗い方」を利用者に押し付けることは、支援ではありません。自分自身を客観視し、利用者一人ひとりに合った支援をすることが求められます。介護の仕事に携わることで、目の前の利用者の立場になって考える「人間力」が磨かれていくと筆者は感じています。

「エッセンシャル・ワーカー」の介護職に向いているのは、「責任感がある人」

「エッセンシャル・ワーカー」の介護職に向いているのは、「責任感がある人」

新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、海外ではエッセンシャル・ワーカーが感謝と尊敬を集めています。エッセンシャル・ワーカーとは「私たちの日常生活において必要不可欠なサービスを担う労働者」のこと。高齢者の日々の暮らしを支える介護職もエッセンシャル・ワーカーに含まれます。

医療従事者、配達を担う物流事業者、公共交通機関の職員などもエッセンシャル・ワーカーに該当しますが、これらの仕事に共通して求められるのは「責任感」ではないでしょうか。介護職は高齢者の命を預かる仕事だと言えるため、責任感のある人に向いている職業です。

また年齢や性別など分け隔てなくかかわることができる人も介護職に向いていると言えるでしょう。介護の仕事に就きたいという10代、20代のみなさんの話を聞くと「祖父母と話すのが好きだったから介護職を選んだ」という人が意外と多くいました。介護職は長い人生を歩んできた高齢者とかかわる仕事でもあり、人が好きでどんな年代の人とでもかかわることができる協調性が求められます。

複数の資格を取得することで評価が上がり、専門性が高められるメリットも

段階的にキャリアアップができる点も介護職の魅力です。具体的には、介護職員初任者研修→実務者研修→介護福祉士→介護支援専門員(ケアマネジャー)といったステップです。

「介護職員初任者研修」は介護の基本的な知識・技術を学べる研修で、初めて介護を勉強する人に適しています。施設や在宅介護の事業所では求人の応募条件として「介護職員初任者研修以上」と提示しているところが多いようです。採用される確率が高くなるため、介護の現場で働きたい人はまずこの研修を受講するのがおすすめです。

「実務者研修」は介護福祉士の資格取得につながる研修で、痰の吸引などの医療的なケアを習得できるなどのメリットがあります。「実務者研修以上」になると訪問介護事業所で「サービス提供責任者」の役割を任せられることもあります。「訪問介護」とは介護保険のサービスで、ヘルパーが利用者宅に出向いて必要な支援を行います。サービス提供責任者はヘルパーの指導役や相談役なども担います。

一方、介護について高い知識と経験があるとみなされるのが「介護福祉士」です。無資格者が介護の業務をする場合に「介護福祉士」の名称を名乗ることができない、いわゆる「名称独占」の国家資格です。

介護福祉士は利用者の介護を行うだけでなく、介護職をまとめるリーダー的な役割も求められます。施設ではフロアリーダーとして新人職員の指導を行う立場を任されるケースもあります。

さらに、介護福祉士、医師、看護師などの国家資格を持ち、実務経験5年以上などの条件を満たし、試験に合格すると「介護支援専門員(ケアマネジャー)」として働くことができます。ケアマネジャーは介護が必要な人に対して介護の計画を立案し、必要なサービスの手配、調整などを行います。

複数資格にチャレンジして「選ばれる介護職」になる!

気になる給与についてですが、「令和元年度 介護労働実態調査」によると、正規職員で通常月の税込みの平均月収は、訪問介護員が20万5402円、サービス提供責任者が22万4613円、施設で働く介護職員は20万4468円、介護支援専門員が23万8371円となっています。ただし勤務年数が長い、資格がある、役職に就くなどの要件に応じて昇給する場合が多いようです。

上記の資格以外にも、施設などで利用者に提供するレクリエーションの知識やコミュニケーションのスキルなどが向上する「レクリエーション介護士」や、認知症の方への応対方法を身に付けることができる「認知症介助士」などは介護現場で役立つ専門的な知識が得られます。

最近は面接や評価シートなどにより職員の人事評価を行い、質の高いサービスが提供できる人材の獲得・確保に取り組む介護施設が増えつつあるように感じます。向上心を持って学び続ければ自ずと職場の評価は上がるでしょう。あなたも複数資格にチャレンジし、「選ばれる介護職」を目指してみませんか?

【執筆者プロフィール】
小山朝子(こやま あさこ)さん
介護ジャーナリスト、介護福祉士。20 代から約10年にわたり、洋画家の祖母を介護。現在は講演、執筆のほか、各種メディアでコメント。近著『世の中への扉 介護というお仕事』(講談社)が厚生労働省社会保障審議会推薦児童福祉文化財に選ばれる。日本在宅ホスピス協会役員、東京都福祉サービス第三者評価認証評価者、All About(オールアバウト)「介護福祉士」ガイドなどを務める。
 

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