在宅勤務(在宅ワーク)とは、一般に「自宅で業務に従事する働き方」という意味で使われています。よく似た意味合いで「テレワーク」も使われますが、テレワークは自宅に限らず、「スマ-トフォンやPCなどの情報通信機器を用いた、時間と場所にとらわれない働き方全般」を指します。
さらに、在宅勤務は大きく2種類に分けられます。ひとつは、特定の雇用関係を持たず、請負契約(時給ではなく仕事の結果に対して報酬が支払われる)によって働くケースで、個人事業主やフリーランス、SOHOなどがこれに該当します。(厚生労働省はこの働き方を「在宅就業」と呼んでいます。)
もうひとつは、企業と雇用関係を結んだうえで、その業務を自宅で行うケースです。(厚生労働省はこの働き方を「在宅勤務」「自宅でのテレワーク」と呼んでいます。)この場合、労働時間の一部のみを在宅勤務にする場合もあります。
在宅勤務の最大のメリットは、自分で「働く時間」を決められることでしょう。また、通勤が必要ないので、通勤に伴う肉体的・精神的負担もかからず、時間を有効に使うことができます。そのため、仕事の合間に育児や介護、家事などができ、仕事と生活の調和が図れる次世代のワークスタイルとして注目を集めています。
さらに、オフィスで働く場合と違って、別の用事を頼まれたりすることもないので、自分の仕事に集中でき、仕事の生産性や効率性が上がるという声もあります。
ただし、在宅勤務はよいことばかりではありません。周りの目がないため、より高い自己管理能力が求められます。つまり、自分で作業する時間帯や休憩時間を管理し、自分で仕事の質やスピードを維持しなければなりません。
一方企業側からは、労働時間や健康など「労働者の管理が難しい」、「労働者の評価がしにくい」などの課題が挙げられているようです。
まずは、なぜ在宅勤務をしたいのか考えてみましょう。また、どの程度の時間で働きたいのか。どの程度の報酬を目指すのか。自分のキャリアやスキルを棚卸ししながら、自分の希望の働き方を考えてみてください。
最近は、正社員で在宅勤務OKという求人も増えてきています。特に、中小企業では戦略的に多様な働き方を認めることで、出産や子育てなどで退職した優秀な女性を確保する動きが広まっています。専門的な資格やキャリアを持っている場合は、エージェント(人材紹介会社)に登録するなどして、在宅勤務可の正社員を目指すのがおすすめです。
次に、「正社員は負担が大きすぎる」といった理由で正社員以外を希望する場合は、特定の雇用関係のもと時給制で働くのか、あるいは雇用関係を持たず請負契約で働くことになるでしょう。在宅勤務には、文書入力・データ入力・テープ起こしといった比較的誰でもチャレンジしやすいものから、Webエンジニア(プログラミング、システム設計)やデザイン(Webや印刷物のデザイン)、CAD製図、翻訳などのスキルが求められるものがあります。当たり前のことですが、専門的なスキルがあれば差別化できるため、高収入が期待できます。
なお、巷(ちまた)にあふれる「在宅勤務募集」のなかには、高額な試験料や教材費を請求する悪徳商法もあるので、注意しましょう。厚生労働省が『在宅ワーカーのためのハンドブック』を発行しているので、参考にしてください。(このハンドブックは、請負契約によって働くケースを対象にしています。)
子育てや介護中の人にとって魅力的な在宅勤務。よく吟味して、自分の希望に合う働き方を見つけましょう。